【NHK報道も】ソーシャルレンディング大手maneo(マネオ)に損害賠償を求め、投資家が東京地方裁判所にて集団訴訟提起。
各種報道によりますと、全国の、50名以上の投資家が、大手ソーシャルレンディングサービス「maneo(マネオ)」の運営者、maneoマーケット株式会社等を相手取り、約11億円の損害賠償請求を、3月8日、東京地方裁判所にて、提訴することとなりました。
NHKをはじめ、報道各局も、このニュースを大々的に報じています。
目次
裁判の契機ともなった、ソーシャルレンディングとは
投資家から、高い利回りを狙える新たな投資手法として、注目を集めている、ソーシャルレンディング。
企業等の資金需要者からも、柔軟かつスピーディーな審査を期待できる、新たな資金調達手法として、関心を集めています。
反面、貸金業法の規制の関係で、投資家に対して、借り手事業者の具体的な商号情報等が開示されない、等、様々な問題点が指摘されており、一部のソーシャルレンディング事業者においては、監督官庁からの行政処分や、ファンドの延滞など、トラブルも起きています。
ソーシャルレンディングの仕組み
一般的なソーシャルレンディングのスキームとしては、まず、第二種金融商品取引業の登録を受けたソーシャルレンディング事業者が、ファンドを組成し、投資家は、このファンドに対し、匿名組合出資を行います。
ソーシャルレンディング事業者は、第二種金融商品取引業の登録以外にも、貸金業事業者の登録を受けており(※1)、投資家から集めた資金を、別の第三者へと、金銭消費貸借契約により、融資します。
その後、ソーシャルレンディング事業者から資金を借り受けた、借り手事業者は、ソーシャルレンディング事業者に対し、元利金を返済。
そうして返済を受けた資金を原資に、ソーシャルレンディング事業者は、ファンドに出資した投資家に対して、元本・利益の分配を行います。
ソーシャルレンディング事業者から借り手事業者に対して貸し付けられる資金の金利は、一般的な銀行の貸出金利と比較して、高利であることが多いため、ソーシャルレンディング事業者の収入(=営業者報酬)を差し引いても尚、投資家にとっては、高利な運用商品としての魅力がある、と考えられています。
しかしながら、無理に高利息の資金調達を行った借り手事業者が、ファンドの満期償還期限間近になっても、ファンドへの元本返済原資を確保することが出来ず、結果として、ファンドへの元利金返済を遅らせてしまい、延滞・遅延が発生、その影響で、ソーシャルレンディング事業者から個人投資家への分配にも、遅れが生じてしまう、というトラブルが、複数、発生しています。
(※1)第二種金融商品取引業の登録事業者と、貸金業の登録事業者を、別の関連法人にて執り行っているケースもあります。
ソーシャルレンディングの問題点
今般、最も大きな問題として指摘されているのは、ソーシャルレンディング事業者から資金を借りる借り手事業者の情報が、投資家に対して、秘匿されている点です。
貸金業法第三条第1項において、融資を事業として行う者は、貸金事業者としての登録を受けなければならない旨が定められています。
「借り手事業者の情報が、個人投資家に対して開示されてしまえば、貸金業を営む資格のない一般個人投資家が、ソーシャルレンディング事業者をパススルーすることによって、貸金業を営んでいるのと、実質的に、何らか変わらなくなってしまう」
との指摘を受ける恐れがある関係で、現在のソーシャルレンディングにおいては、
- 投資家は、あくまでも、ソーシャルレンディング事業者が組成する匿名組合(ファンド)に対して、「出資」を行う立場とし、
- ソーシャルレンディング事業者としては、個人投資家に対して、借り手事業者に関する情報を匿名化することによって、
上掲の規制を回避しているのが現状です。
借り手事業者情報が匿名化されてしまっていることにより、投資家としては、自らが出資するファンドが、どのような企業に対して、融資を行う予定となっているのか、精緻な確認を行うことが出来ず、あくまでも、ソーシャルレンディング事業者の提示するファンド概要情報(=資金の借り手に関する情報は、イニシャル表記等により、簡素に表示されているに留まる)の内容を信頼するしかない、という立場におかれます。
また、借り手事業者情報が匿名化されていることに関連し、借り手事業者が所有し、ソーシャルレンディング事業者からの貸付に伴い担保権が設定される担保物(不動産であることが一般的)に関する具体的な情報も、投資家に対して、原則として、非開示となっています。
このため、投資家においては、担保権が設定される不動産の詳細情報(不動産を特定できる地番情報等)についても、正確な把握を行うことができず、ひいては、当該不動産の担保評価が、果たして、正当なものなのか、どうか、といった、融資審査において極めて重要な要素となる点についても、精緻な確認を行うことが出来ない立場にあります。
裁判にて提訴されることとなった、maneo(マネオ)とは
引用元:maneo(マネオ)https://www.maneo.jp/
2007年に創業した、国内ソーシャルレンディング業界の草分け的存在。
成立ローン総額は、本日時点で、1,580億円以上、投資家登録数は、8万人を超えており、国内ソーシャルレンディング業界においては、大手といえる存在です。
上掲情報引用元:maneo(マネオ)https://www.maneo.jp/
maneo(マネオ)のビジネスモデル
第二種金融商品取引業の登録事業者である、「maneoマーケット株式会社」が、投資家勧誘などを行い、集められた資金については、貸金業事業者登録を受けている、「maneo株式会社」が、別の借り手事業者に対して、融資します。
不動産担保付ローンファンドなど、様々なタイプのファンド商品が組成・公開されており、ローンファンド貸付件数は、12,000件を超えています。
上掲情報引用元:maneo(マネオ)ローン返済実績(事業性ローン)https://www.maneo.jp/apl/fund/repayment/info
また、
「maneo(マネオ)に投資家口座登録を行えば、その他複数の連携事業者の貸し出し案件にも出資できるようになる」
として、主に第二種金融商品取引業の登録を持たない貸金業事業者(※2)をマーケットに参画させ、ソーシャルレンディング業界におけるプラットフォーマーとしてのビジネスにも積極的に乗り出してきました。
(※2)連携事業者の中には、関連会社にて第二種金融商品取引業の登録を有している事業者も存在します。
maneo(マネオ)に対する行政処分について
投資家から集めた資金の具体的な管理状況・使用用途について、第二種金融商品取引業登録事業者として、必要な管理・監督を怠っていた、として、maneoマーケット株式会社が、2018年7月、監督官庁である関東財務局から、行政処分(業務改善命令)を受けています。
maneo(マネオ)の延滞発生状況
本記事執筆本日現在、maneo(マネオ)においては、多数のファンドにおいて、元利金返済の延滞・遅延が発生しています。
延滞・遅延の多くは、2018年7月の行政処分以降に集中して発生しており、投資家の間に、動揺が広がっています。
今回の東京地方裁判所での提訴に関する、maneo(マネオ)HP上における情報掲載状況
引用元:maneo(マネオ)「お知らせ」https://www.maneo.jp/apl/information/news?category=news
↑本記事執筆時点現在、maneo(マネオ)ホームページ上の「お知らせ」一覧において、今回の提訴に係る同社の公式見解の公表は為されていません。
ソーシャルレンディング大手maneo(マネオ)に対する集団訴訟に関する、NHK等報道各社の報道状況
ソーシャルレンディング事業者を相手取った損害賠償請求訴訟としては、過去最大級の規模であることなどから、報道各社においても、今回の東京地方裁判所におけるmaneo(マネオ)に対する集団訴訟に関し、大体的に報じています。
【日本経済新聞】ネット融資仲介最大手「maneo」を集団提訴へ
引用元:日本経済新聞「ネット融資仲介最大手「maneo」を集団提訴へ」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42161860X00C19A3CR8000/
【朝日新聞】ソーシャルレンディング最大手を提訴へ「11億円損害」
引用元:朝日新聞「ソーシャルレンディング最大手を提訴へ「11億円損害」」https://www.asahi.com/articles/ASM374K6VM37UUPI008.html
【NHK】「ソーシャルレンディング」投資家が仲介会社を提訴へ
引用元:NHK NEWS WEB「「ソーシャルレンディング」投資家が仲介会社を提訴へ」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190307/k10011839541000.html
maneo(マネオ)への集団訴訟・裁判に関し、ソーシャルレンディング投資家の反応
ソーシャルレンディング投資家が集う情報交換掲示板「レンダータウン」では、maneo(マネオ)への集団訴訟提起に関して、様々なコメントが寄せられています。
NHKでマネオが名指しで報道されていたのは、マネオにとっては大きなダメージだろう。
引用元:レンダータウン「maneo 掲示板3」https://render-town.com/forums/topic/maneo-3/
当然マネオには頑張ってもらうし、消えてもらっては困る。潰れてもらう必要はなく、これからも金儲けしたければしっかり対応しろ、というだけ。
NHKも信用回復しろ、といってたけど、ただそれだけ。
引用元:レンダータウン「maneo 掲示板3」https://render-town.com/forums/topic/maneo-3/
>>107
お前ら、落ち着け
分かる人はわかると思うが
maneoが飛んだら、みんな終わり
そこを履き違えないように
奴らが営業を続けてもらわないと被害が甚大になる
「すみません、倒産します」
ってなったら、投資者は順位的に最後の方になって、
回収の見込みが本当に薄くなる
何度も言うがMRIインターナショナルの時は、
行政が取消処分を早々に食らわしたおかげで、
被害者にはほとんど金は戻ってこなかった
いまに至っては、投資者はクレバーにならないといけないと強く思う
引用元:レンダータウン「maneo 掲示板3」https://render-town.com/forums/topic/maneo-3/
事態の先行きに、注目が集まります。
「マネオは終わった」の厳しい声も。
依然として、国内ソーシャルレンディング業界では、融資金額等諸数値において大手といえるマネオに関し、レンダータウン上では「(マネオは)終わった」との厳しい声も投稿されています。
日経でとりあげられたかー
マネオ終わったな
本気で資金出そう
引用元:https://render-town.com/forums/topic/maneo-3/
マネオ終わったな
引用元:https://render-town.com/forums/topic/maneo-3/
どう頑張っても第二のクラバンにはなれないな。あとは凋落していくのみ。煽り抜きで、1年後も存続してるかどうか分からなくなってきた。今回のグリフラ分配引き延ばしでさすがにキレた投資家多いと思う。他にもガイアクラリCFFアメファン、問題が山積しすぎてとても処理できる量じゃない。マネオ終わった
引用元:https://render-town.com/forums/topic/maneo-3/
同社の今後の対応委細に、関心が高まっています。
ソーシャルレンディングと裁判
ソーシャルレンディング事業者等を相手取った裁判例・訴訟準備例としては、下記のようなものが挙げられます。
「みんなのクレジット」をめぐる裁判
引用元:enjin「みんなのクレジット(現スカイキャピタル)に関する集団訴訟」https://enjin-classaction.com/project/detail/?projectId=1049567822
集団訴訟プラットフォーム「enjin」では、ソーシャルレンディングサービス「みんなのクレジット」の運営会社に対する集団訴訟が、「訴訟開始」と為されています。
「ラッキーバンク」をめぐる裁判
引用元:朝日新聞「ソーシャルレンディングで損害、集団提訴「虚偽の勧誘」」https://www.asahi.com/articles/ASM1P3WDVM1PUUPI004.html
2019年1月、ソーシャルレンディング事業者「ラッキーバンク・インベストメント社」等を相手取った裁判について、朝日新聞にて報道が為されています。
「トラストレンディング」をめぐる裁判
引用元:あおい法律事務所ブログ「トラストレンディング被害弁護団 二次募集のお知らせ」http://aoi-law.com/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E8%A2%AB%E5%AE%B3%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%9B%A3%E3%80%80%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E5%8B%9F%E9%9B%86%E3%81%AE%E3%81%8A/
東京都千代田区の弁護士事務所「あおい法律事務所」のブログにおいて、ソーシャルレンディング事業者「エーアイトラスト株式会社」に対する裁判に係り、弁護団の二次募集に関する情報が掲載されています。
「次のソーシャルレンディング業者はどこか」の議論も
maneoマーケット株式会社への提訴報道等以降、ソーシャルレンディング投資家の情報掲示板「レンダータウン」では、「次に提訴されるソーシャルレンディング事業者はどこか」「次に大きなトラブルを起こすソーシャルレンディング事業者はどこか」の議論が巻き起こっています。
次はどこ?
スマトレ?
引用元:レンダータウン(https://render-town.com/forums/topic/american-f/)
次はキャッシュフローやな
引用元:レンダータウン(https://render-town.com/forums/topic/crowd-l4/)
高利業者でもここだけはまともだと思ってたが、またしても裏切られるとは
所詮は他人の金という認識しかないんだろうな
俺はギリで撤退完了できたが、テキサスで食らった人心中お察しする
次はスマートレンドの番か?さくらは地味ながら実直にやっているみたいだな
引用元:レンダータウン(https://render-town.com/forums/topic/american-f/)
一時期ガイアがやらかした影響で金が集まらなくなってたが、投資家に対する丁寧な説明などして徐々に信用が
戻ってきたところだったのにな。やっぱり最後はこうなるのか。次はスマレンあたりが危ない。LC、プレリート、アップル、さくらしか残らなさそう
引用元:レンダータウン(https://render-town.com/forums/topic/american-f/)
でもいずれにしろ
マネオからの資金引き上げは起こるだろう
次はクラウドリースが団体訴訟準備してるし
引用元:レンダータウン(https://render-town.com/forums/topic/maneo-3/)
maneo、及び、maneoマーケットに参加しているソーシャルレンディング事業者において、次々と発生する不祥事に、投資家が、警戒感を強めている様子がうかがえます。
個人投資家を中心に、高い盛り上がりを見せるソーシャルレンディング業界。
しかし、当ラボの見解と致しましては、複数の「危険会社」も存在します。
ソーシャルレンディング投資検討にあたっては、あらかじめ、こちらの過去記事もご参照下さい。
↓
ソーシャルレンディング危険会社ランキング【最新版】
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