ソーシャルレンディング・サービス「アップルバンク」にて新ファンドが公開。借り手については匿名化が継続
アップルバンクが公開した新ファンド、「リースバックシステム事業支援ローンファンド【川崎市高津区戸建】9号」。
引用元:https://www.applebank.jp/fund/detail?fund_id=578
maneoマーケットに参加するソーシャルレンディング事業者、アップルバンクにおいて、新ファンド「【最大期待利回り14%】リースバックシステム事業支援ローンファンド【川崎市高津区戸建】9号」が公開された。
資金の募集総額は、195万円と、1ファンドあたりとしては少額。
投資家向けに提示する期待利回りとしては、年利7.50パーセント(ただし、最大では14パーセント)とし、運用期間としては、12カ月間を予定する。
資金の直接的な借り手となる、アップルバンク関連会社AL社を経由し、上場不動産事業者SH社に対し、融資金が渡るという。
参考:
【最大期待利回り14%】リースバックシステム事業支援ローンファンド【川崎市高津区戸建】9号|アップルバンク
最終的な資金需要者(上場不動産事業者SH社)が購入する不動産に、担保権も設定されるというが、スキームに関与する企業の具体的な法人名は、アップルバンク社を除き、匿名化が継続された状態。
担保権が設定される不動産についても、対象不動産を特定できるような住所・地番情報等は非開示とされている。
ソーシャルレンディング・ラボからは、アップルバンクのコンタクトフォームを経由し、借り手に関する具体的な情報の開示(匿名化解除)予定の有無について、コメントを要請しているが、現時点では、回答は得られていない。
ソーシャルレンディングにおける「匿名化」とは
日本では、貸金業法の規制により、貸金業の登録を受けていない個人・法人が、第三者に対して資金を融資し、利息・元金の返済を受ける行為を、「事業」として行うことは、禁じられている。
ソーシャルレンディングでは、投資家は、
- 貸金業者(ソーシャルレンディング事業者)の募集するファンドに対して出資し、
- ソーシャルレンディング事業者が、借り手企業から回収した利息金から、分配金を得て、
- 最終的には、ソーシャルレンディング事業者が融資先から回収した元金を原資に、元本償還を得ることとなる。
投資家が、借り手企業に対して直接融資をしているわけではないが、もしも、投資家が融資先企業の具体的な商号を把握しているのであれば、貸金業の資格を持たない一般個人(投資家)が、ソーシャルレンディング事業者を経由することで、実質的に、貸金業を営んでいるのと同質、と見做される恐れがあった。
こうした懸念から、ソーシャルレンディング事業者各社は、投資家に対して借り手企業名等を開示しない、いわゆる「借り手の匿名化」を実施。
ソーシャルレンディングの黎明期以来、長きに渡り、ソーシャルレンディング業界の「暗黙の慣習」とされてきた。
しかしながら、「融資先情報を開示する必要が無い」という状況を逆手にとった、一部のソーシャルレンディング事業者を中心に、資金の大半を身内企業(代表者の親族が経営する企業等)へと融資するなど、不正行為が続出。
状況を重く見た、監督官庁(金融庁)は、2019年3月に、
- ソーシャルレンディングに投資し、収益を得る、という、投資家の行為は、貸金業行為には、あたらない。
- ひいては、ソーシャルレンディング事業者は、投資家に対し、融資先の具体的な商号等情報を開示しても、差支えない。
とする、公式見解を発表。
ソーシャルレンディング業界の透明性を向上すべく、ソーシャルレンディング事業者各社に対し、投資家に対する情報開示を進めるように促した。
こうした趨勢を受け、クラウドクレジットなど、かねてより、投資家に対する情報開示に積極的だった事業者を中心に、借り手企業に関する具体的な情報公開が進んだ。
しかし、融資先情報の開示が、必ずしも、絶対必要条件としては定められていないため、一部のソーシャルレンディング事業者においては、融資先情報の匿名化が継続しているのも現状。
参考:
【2021年4月最新版】ソーシャルレンディングおすすめ9社&危ない3社比較ランキング【投資初心者必見】
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