投資初心者がはまりやすい、「ロボアドバイザーの罠」とは

実は罠だらけ?近年話題のロボアドバイザーとは

投資家が、ロボアドバイザーの発する、5点から10点程度の質問に対して回答すると、ロボアドバイザーが、各投資家の資産状況や、投資目的に応じた、リスク許容度を自動的に診断。

5段階程度に分かれたリスク許容度に応じて、各投資家にとって最適なポートフォリオを提案し、投資家が各ポートフォリオ内容に同意した場合、ポートフォリオを実際に構築するための銘柄購入を自動的に執行、その後の値動きに応じたリバランスまでは一任することができるのが、昨今、特に若年個人投資家の間で話題となっている、ロボアドバイザーと呼ばれるサービスです。

ロボアドバイザー利用のステップ

投資家がロボアドバイザーを利用する場合、多少の差異こそありますが、基本的には、下記のようなステップを辿る事となります。

①リスク許容度診断を受ける

まず投資家は、ロボアドバイザーのウェブサイトやアプリケーションを使って、ロボアドバイザーの発する約10点程度の質問に対して、回答を行う必要があります。

ロボアドバイザーの質問内容は、主に下記のような項目に渡ります。

  • 投資家の年齢、年収
  • 資産の残高
  • これまでの投資経験
  • 今回の資産運用の目的
  • 予定している運用期間
  • 相場が急落した場合にどのような対応をとる予定か(リスクを取って追加投資をするのか、保有している資産を売却して市場から撤退するのか)

ロボアドバイザーは、投資家の回答内容に応じて、各投資家に関して、概ね5段階程度のリスク許容度を算出します。
基本的には、年齢が若く、今後の人的資産が大きい投資家においては、リスク許容度を高く診断します。
逆に、すでに高齢であり、今後の人的資産がやや小さいと判断される場合、リスク許容度は低く診断されることとなります。

②最適ポートフォリオの提示

続いて、ロボアドバイザーは、各投資家のリスク許容度に応じて、最適なポートフォリオ(資産クラスの組み合わせ)を、投資家に対して提示します。
ロボアドバイザーの提案するポートフォリオには、下記のような資産クラスが含まれることが一般的です。

  • 米国株式
  • 米国以外の先進国の株式
  • 中国やロシア、ブラジルなど、新興国の株式
  • 先進国の債券
  • 新興国の債券
  • 金(きん)などのコモディティー
  • 不動産(REIT)

基本的には、前段で診断したリスク許容度が高い投資家ほど、ポートフォリオに占める「株式」の比率が高くなります。
これは、様々な資産クラスの中で、株式が、最も期待利回りが高く、かつ、最もリスクが大きいためです。

また逆に、前段で診断したリスク許容度が低い投資家の場合は、ポートフォリオにおいて、債券の占める割合が大きくなります。
債券は、期待利回りが低い代わりに、ボラティリティー(リスク)も小さいという傾向があるためです。


参考:
ロボアドバイザーのポートフォリオ運用の仕組み・メリット&デメリットを考える

③投資信託の自動買い付け

ロボアドバイザーは、各資産クラスごとに、投資する投資信託(ETFを含む)を決定し、実際にポートフォリオを構築するために、必要な量の投資信託の買い付けを行います。

④リバランス

ロボアドバイザーによる資産運用が開始してから時間が経過すると、当初取得した投資信託ごとの値上がり・値下がりに応じて、投資家の最新のポートフォリオの状況が、ロボアドバイザーが当初設定したアセット・アロケーションの内容と比較して、乖離してきてしまうことがよくあります。

この場合、ロボアドバイザーは、値上がりした資産の売却や、値下がりしている資産の買い足しによって、ポートフォリオの内容を再調整する、いわゆる「リバランス」を自動的に執行します。

ロボアドバイザーの罠とは

ロボアドバイザーの「手数料」の罠

ロボアドバイザーの「手数料」の罠
ロボアドバイザーの高率な手数料構成に対しては、疑問の目を向ける投資家も少なくありません。
※画像はイメージです。

インデックス投資を進めるにあたり、投資家が、自分で投資信託を購入し、保有する場合、投資家は、投資信託の運用会社に対して、所定の信託報酬を支払っていれば事足ります。

インデックス投資に用いられるパッシブ型ファンドの信託報酬は、

  • 非上場投資信託の場合で0.2%以下程度、
  • 上場投資信託(ETF)の場合では、0.05%以下となるものも多くあります。

これに対して、投資家が、ロボアドバイザーを利用して、同じようにインデックス投資を行う場合、投資家は、

  • 投資信託の運用会社に対して支払う信託報酬のほかに、
  • ロボアドバイザーの運営会社に対して、「ロボアドバイザー利用手数料」を支払う必要があります。

ロボアドバイザー利用手数料の具体的な料率は、ロボアドバイザーの運営会社によって様々ですが、概ね、年率で、預かり資産残高の1%程度の手数料が生じることが一般的です。

このため、投資家が自分でインデックス投資を行う場合と比較して、ロバアドバイザーを利用すると、投資家が負担するコストは、5倍から10倍以上程度に膨らむことなります。

そして、ロボアドバイザー運営会社に対する手数料の支払いは、仮に、ロボアドバイザーの実際の運用成績がマイナスであったとしても、変わらずに生じ続けることとなります。


参考:
ロボアドバイザーと手数料|投資家にとって、ロボアドバイザーの手数料は、高いのか

ロボアドバイザーの「債券組み入れ」という罠

ロボアドバイザーの運用するポートフォリオの中には、先進国の債券や、経済新興国の債券が組み入れられることがよくあります。

ロボアドバイザーがポートフォリオに債券を組み入れる理由は、異なる資産クラス同士、特に「株式」との間の低い相関係数によって、ポートフォリオ全体のリスクを低く保ちたい、と言う点にあります。

債券組み入れによる分散投資効果は薄れつつある

確かに、現代ポートフォリオ理論が登場した当初においては、株式と債券との間の相関係数は、ほぼ逆相関と言われるような時期が多く、株式が値下がりしている時でも、債券がむしろ値上がりするなどして、互いの値動きの逆光により、ポートフォリオ全体のボラティリティー(値動き)が、低く抑えられる効果が見られたものです。

しかしながら昨今、複数の資産クラスにまたがった、マルチアセット・ポートフォリオ運用の一般化などの影響を受け、株式と債券との間の相関係数は、かつてのようには低くない時期が多く生じるようになっています。
例えば、昨今のリーマン・ショックの時などは、株式相場の下落と足並みを揃えるようにして、債券相場も下落し、資産クラスの分散を行っている投資家においても、少なくとも一時的には、大きな損失を被ることとなりました。

債券価格は、今後下落する余地の方が大きい

加えて、債券に関しては、

  • 今後の価格上昇の余地はあまりなく、
  • むしろ、既発債に関しては、価格が下落する余地が極めて大きい、

と言う難点が指摘されています。

現在、各国の債券の利回りは、歴史的な低水準となっており、今後、債券利回りがさらに下がる余地は大きくありません。
むしろ、金融引き締めなどの影響によって債券の利回りが高くなることが予想されており、実際に債券の利回りが向上すると、既に発行されている債券(=既発債)の利回りは相対的に魅力が薄くなりますので、結果的に、既発債の価格は下がることとなります。

こうした点から、ポートフォリオに債券を組み入れることは、「将来的に値下がりすることが分かっている資産クラスを、みすみす、ポートフォリオに含めるようなものだ」との、強い批判をする向きもあります。


参考:
ロボアドバイザーを解約すべき7つの理由|ロボアドバイザー解約のメリット&注意点もチェック

投資家が現預金で資産を保有することを防ぐために、債券を保有しているだけ?

インデックス投資に長く取り組んでいる投資家からは、「資産全体のリスクを有意にコントロールしたいのであれば、わざわざリスク資産として債券を取得するようなことはせず、運用ポートフォリオの外側に、生活防衛資金を兼ねて、月間の生活費の数倍から10倍弱程度の資金量を預金しておけば良い」と主張する向きもあります。

しかし、仮に、インデックス投資家が実際にそのような行動をとってしまえば、ロボアドバイザーは、(現預金部分から手数料を収受する事は当然できませんから)ロボアドバイザー利用手数料を増やしていくことが困難となります。

こうした事情を踏まえ、特にロバアドバイザーに対して否定的な立場をとる投資家からは、「ロボアドバイザーは、ユーザが現預金で資金を保管するのを防ぐため、債券をポートフォリオに(特に有意な根拠もなく)組み込んでいるだけだ」などと、些か激しめの主張をする向きもあります。

iDeCoとつみたてNISAが使えないという罠

iDeCoとつみたてNISAが使えないという罠
国内の投資一任型ロボアドバイザーの場合、iDeCoやつみたてNISAといった、インデックス投資家に人気の高い投資支援制度も、活用することが出来ません。
※画像はイメージです。

昨今、インデックス投資は、個人投資家の間で大きなブームとなっていますが、インデックス投資に取り組み始める投資家の基本的なステップには、ある一定の共通項があります。

それは、インデックス投資に取り組む投資家の多くが、

  1. まずは、iDeCo(個人型確定拠出年金制度)の投資可能枠を最大限活用し、
  2. それでもなお、毎月の積み立て投資余力がある場合は、つみたてNISA口座を別途開設し、毎月3万円強程度の資金を投資する

と言う流れをとっている、という点です。

まず、iDeCoの場合、毎月の積み立て投資資金(拠出金)が、全額所得控除になると言う、大きな税務上のメリットがあります。
また、老後に、それまで積み立てた資金を引き出すときには、その受け取り方法に応じて、「退職金控除」ないしは「公的年金等控除」を活用することができるため、受け取り時の税務面に関しても、手厚いフォローがなされています。

一方、つみたてNISAの場合は、最長で20年間にわたり、つみたてNISA口座内で取得している投資信託の値上がり益や分配金について、完全に非課税で運用できると言う、長期投資家にとってはたまらないメリットがあります。

しかしながら、目下、日本国内でサービス展開している投資一任型のロボアドバイザー事業者の中で、iDeCo、および、つみたてNISA口座での取引に対応している事業者は、存在しません。


参考:
ロボアドバイザーと、つみたてNISA|つみたてNISAのメリット&デメリット、ロボアドバイザーとの併用・比較について検証

「完全成果報酬型」ロボアドバイザーの罠

前述した通り、国内の投資一任型のロボアドバイザー事業者の大半は、年率で、預かり資産残高の1%程度のロボアドバイザー利用手数料を徴収することが一般的です。
この手数料構成に対して違和感を覚える投資家が少なくないことから、新興のロボアドバイザー事業者の中には、こうした「預かり資産残高連動型」の手数料構成ではなく、ロボアドバイザーの運用成績(成果)に応じて手数料を徴収する「完全成果報酬型」の手数料体系を採用するケースも出てきています。

しかしながら、完全成果報酬型のロボアドバイザーの場合、そもそも、値上がり部分に対する成果報酬の料率が、極めて高い、というデメリットがあります。
成果報酬の具体的な料率については、ロボアドバイザー運営会社によって様々ですが、概ね、値上がり益の10%程度の手数料が徴収されることが一般的です。

また、こうした完全成果報酬型のロボアドバイザーの場合でも、基本的な資産運用の構造は、一般的なロボアドバイザー・サービスと同様で、

  • ロボアドバイザー独自の運用によって利益が出る、と言うよりは、
  • ロボアドバイザーが取得・保有している投資信託、ひいては、様々なインデックス指数が、ポートフォリオに含まれている各銘柄の好業績等によって値上がりした、と言うだけの理由で、

投資家に運用益が生じる、と言うケースが多くあります。

投資家の中には、「インデックス指数が伸びただけで運用益が出ているのにも関わらず、ヘッジファンドの運用会社のようにして、ロボアドバイザー運営会社が、その運用成果に対して成果報酬を取る、と言うのは、納得できない」という批判をするケースもあります。

ロボアドバイザーの「リバランス」という罠

ロボアドバイザーは、投資家のポートフォリオに含まれている各投資信託の値上がり・値下がりといった値動きに応じて、リバランスを実施することがあります。

しかしながら、このリバランスによって、含み益の生じている資産クラスが売却されることで、課税関係が生じてしまうケースが多々あります。
また、リバランスによって売却されることが多いのは、ポートフォリオの期待利回りの牽引役と言われる、株式系の資産クラスであることが一般的です。
リバランスによって株式系の資産クラスのシェアが低くなり、相対的に、債券系の資産クラスのシェアが高まると、当然のことながら、ポートフォリオ全体の将来的な期待利回りは、低減することとなります。

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ロボアドバイザー検証チーム
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