「ロボアドバイザーって、結局どうなの?」投資家目線から見た、ロボアドバイザー利用の効能とは

実際どうなの?ロボアドバイザーとは

投資家に対して複数の質問を投げかけることにより、投資家のリスク許容度を自動的に算出。
各リスク許容度に見合った最適ポートフォリオの提案を行ったうえで、投資家からの同意が得られれば、ポートフォリオ構築のために必要な銘柄の自動取得、並びに、適宜のリバランス等を実施してくれる投資サービスが、昨今話題の「ロボアドバイザー」です。

ロボアドバイザー投資の仕組み

ロボアドバイザー投資の仕組みを理解するにあたっては、まずロボアドバイザーの下記のような機能の内容を理解する必要があります。

リスク許容度診断

ロボアドバイザーは、投資家に対して、5点~10点程度の質問(投資家の年齢や、資産残高、投資目的等に関する質問がメインとなります)を発することによって、各投資家のリスク許容度を、自動的に算出しています。
リスク許容度は、、概ね5段階程度で評価されることが多く、年齢が若く、資産残高が多い投資家ほど、リスク許容度は高く診断されます。
逆に、高齢の投資家や、資産残高が少ない投資家においては、リスク許容度が低く診断されることが一般的です。

最適ポートフォリオの提案

ロボアドバイザーは、各投資家のリスク許容度に応じて、最適なポートフォリオを提案します。
ポートフォリオには、

  • 米国株式や、
  • 日本やヨーロッパなど、米国以外の地域の先進国企業株式、
  • 米国財務省など、先進国政府が発行する債券、
  • 新興国政府発行の債券、
  • 金(きん)などに代表される、コモディティ、
  • 不動産(REIT)

などが含まれます。

ロボアドバイザーの主な投資対象はETF(上場投資信託)

ロボアドバイザーは、投資家に対して提案したポートフォリオを実際に構築するために、個別の株式銘柄を1つずつ購入しているわけではありません。
ロボアドバイザーが実際に投資対象とするのは、数百から、場合によっては数千もの銘柄を組み入れ対象としている、投資信託です。

投資信託の場合、投資信託の運用会社に対して、信託報酬と呼ばれる運用手数料を支払う必要がありますが、ロボアドバイザーの多くは、非上場投資信託と比較して、信託報酬が特に安いとされる、上場投資信託、すなわちETFを投資対象とすることが一般的です。


参考:
ロボアドバイザーと投資信託、投資家にとってはどっちがいいのか|メリット&デメリット徹底比較

ロボアドバイザーの実施するリバランスとは

資産運用が開始して、しばらく時間が経過すると、その間の各銘柄の値上がり・値下がりといった値動きに応じて、投資家の最新のポートフォリオのバランスが、当初その投資家に対して「最適ポートフォリオ」として提案された内容と比較して、乖離してきてしまうことがままあります。
この場合、ロバアドバイザーは、値上がりした銘柄の売却や、値下がりしている資産クラスの買い足しによって、ポートフォリオの内容を再調整する、「リバランス」を自動的に執行します。

また、ロボアドバイザーの中には、このリバランスを執行する際に、値上がり資産の売却と合わせて、値下がり資産も適宜売却することによって、「税金最適化処理」を施すロボアドバイザーも存在します。

ロボアドバイザーって、結局どうなの?

数年前から日本でも広がりを見せ始め、昨今、多くの投資家を惹きつけている、ロボアドバイザー。
投資の裾野は広がる一方ですが、その反面、実際にロボアドバイザー投資を体験した投資家からは、「実際に使ってはみたけれど…」という、ネガティブな感想が寄せられることもままあります。

実際問題として、ロボアドバイザーは、投資家・ユーザーの目線から見て、どうなのでしょうか。

リバランスの自動化は確かに価値があるが…

ロボアドバイザーのリバランスの自動化は確かに価値があるが…
ロボアドバイザー特有の機能として注目されることも多い、自動リバランス。投資家にとってメリットがある、とする意見もありますが、その効能を疑問視する意見も散見されます。
※画像はイメージです。

インデックス投資に取り組む以上、定期的なリバランスは必要

投資家がインデックス投資を始めてから、数年が経過すると、その間の銘柄の値上がり値下がりに応じて、ポートフォリオのバランスが、当初設定した内容から、自然と乖離してしまいます。
この場合、乖離をそのまま放置してしまうと、

  • リスクはあまり負うべきでない投資家が、課題なリスクを取って資産運用をしてしまったり、
  • 逆に、しっかりとリスクを取って、高い期待利回りを追求していくべき投資家が、過度に保守的な運用をしてしまう、など、

様々な弊害が生じることとなります。

このため、ポートフォリオのバランスを適正に保つため、値上がりした資産クラスの売却や、値下がりしてしまった資産クラスの買い足しによって、ポートフォリオの「リバランス」を実施することが必要となります。

しかし、どのくらいの頻度で、どのようにリバランスを実施すればいいのか、は、投資家の間でも意見が分かれる部分であり、基準は曖昧です。
含み益のでている銘柄を売却する場合、含み益の実現に伴う、課税の問題もあります。

さらに、

  • どの程度の含み益で満足するべきなのか、
  • そのまま保有を続け、むしろ買い足しをした場合、短期的には多少の高値買いとなったとしても、長期的には、さらに利益が出るのではないか、

など、投資家の心理的な迷いが、売却によるリバランスを先延ばしにしてしまう傾向があります。

売却によるリバランスよりもさらに難しいのが、値下がりしてしまっている資産クラスをさらに買い足す、追加投資によるリバランスです。
既に値下がりしている資産クラスの将来リターンに対して、投資家は懐疑的になっていることが一般的ですから、その銘柄をさらに買い足すことに対して、心理的な抵抗感を覚えることが一般的です。

その資産クラスに対する信頼感が強く、「ドルコスト平均法のメリットを生かして、割安に資産を購入する機会だ」と考えることができれば良いのですが、そもそもその資産クラスの期待利回りが低い場合等においては、わざわざ追加投資をすることに対して、ためらいを感じる投資家も少なくありません。

その点、ロボアドバイザーの場合、リバランスを一任できる、という利点があります。
「もはや、リバランスについて迷わなくて済む」というだけで、ロボアドバイザー利用に対して価値を見出す投資家もいるほどです。

でも、ロボアドバイザーのリバランスってどう?

ロボアドバイザーのリバランスが便利なのは確かだが、わざわざ株式系のETFを、資産運用期間の途中で売却する意味はあるのか、という点に関して、疑問を呈す投資家は少なからず存在します。

現に、長らくインデックス投資に取り組んでいる投資家の中には、ロボアドバイザーによる、株式資産クラスの途中売却に関して、懐疑的、どころか、かなり否定的・批判的な見方をする投資家も少なくありません。

様々な資産クラスを組み合わせた、マルチアセット・ポートフォリオを運用していたとしても、そのポートフォリオの最終的な利回りに最も貢献するのは、米国株式を中心とした、先進国株式である、と言われています。
長期的に最も期待利回りの高い、株式系の資産クラスを、資産運用の過程で、リバランスのために売却してしまうことに関しては、長期的な利回りを重視する投資家を中心に、疑問視する声が強くあります。

また、「債券ETFをわざわざ買い足すことに、長期的な意味はあるのか」という見方をする投資家もいます。

確かに、ポートフォリオに債券を組み入れる最大のメリットは、株式系の資産クラスのみを保有する場合と比較して、値動きが逆行する傾向の強い債券を一定程度組み入れることによって、ポートフォリオ全体のボラティリティー(リスク)を低く保ちたい、と言う目的に一致し得る、という点です。

実際問題として、債券系のETFはそもそも、長期的な期待利回りが決して高くなく、むしろ、株式系のETFのみを単独で保有した方が、ポートフォリオの期待利回りは高くなります。
こうした事情を理解しているインデックス投資家から見ると、わざわざ、ポートフォリオのリバランスのために、期待利回りの低い債券を買い足すなど、もってのほかである、という見方をする投資家も少なくありません。


参考:
ロボアドバイザーは儲かるのか|投資家、及び、ロボアドバイザー運営会社、双方の目線から検証

投資からの人間の感情の排除、はわかるけど…

ロボアドバイザー活用で、投資からの人間の感情の排除、はわかるけど…
ロボアドバイザーにトレードを任せれば、感情任せの投資で失敗するリスクは小さく出来ます。反面、単なる買い付け自動化のために、年率1パーセント前後もの手数料を支払う必要があるのか、と疑問視する声もあります。
※画像はイメージです。

確かに、感情に左右されずに投資継続できるのは大きい

ロボアドバイザー活用の最大のメリットの1つとして挙げられるのは、様々な銘柄の買い付けや売却時点において、投資家の主体的な判断を省き、取引から、投資家の個人的な感情を排除することができる、という点です。

確かに、特に相場の急落時においては、値下がりに動揺して資産の投げ売りをしてしまうのではなく、冷静に、資産を割安に買うチャンスだと考え、むしろ積極的に追加投資をすることの方が、長期的なリターンを高める結果となることが多いと言われています。

特に、投資初心者においては、そうした冷静な判断を行うことが難しく、相場の急落に合わせて、資産を投げ売りし、資産運用を中断してしまうリスクが高いと言われており、こうした投資家が、ロボアドバイザーに資産運用を任せることができれば、上記したようなリスクを(ある程度は)低く保つことができますので、長期的な目線に立てば、投資家にとって利益が大きい、と言うこともできます。

でも、ネット証券で少額を自動積立投資しているのと比較して、どうなの?

上記したように、ロボアドバイザーに資産運用を任せることで、投資家の感情をトレードから排除するメリットがあるのは確かですが、一方で、楽天証券やSBI証券といったネット証券会社を活用し、小額で自動積み立て投資を設定した場合でも、基本的には、同じようなメリットを得ることができる、との指摘もあります。

相場の急落時に心理的な動揺を感じるかどうかは、トレードに人間の手が直接関わっているかどうかに依存しているのであり、人間の作業を要さずに取引を完結したい、というだけであれば、わざわざ高率な手数料を支払ってロボアドバイザーを利用せずとも、ネット証券で自動積み立て投資設定をしておけば済む、という投資家の主張にも、説得力はあります。

運営会社と投資家の利益相反が生じづらい、とは言うけれど…

国内のロボアドバイザー事業者の大半が、投資家からの預かり資産残高に連動した手数料体系を採用しています。

  • 投資家からの預かり資産残高が増えれば、ロボアドバイザー事業者側の運用手数料も増え、
  • 投資家においても、自身が預けている資産残高がロバート会社の運用によって増えれば、これに越した事は無いわけですから、

両者の間では、利益相反が生じづらい、とも言われています。

でも、「預かり資産残高の1パーセント」って、実際どうなの?

確かに、運用資産残高に連動した利用手数料、というのは、一見分かりやすいのも事実です。
しかしながら、投資家が(ロボアドバイザーを利用せず)自分でインデックス・ファンドを取得し保有する場合、投資信託の信託報酬を負担するだけで済む、というのもまた、まぎれもない事実です。

特に、上場投資信託(ETF)を積極的に利用すれば、経費率は、0.1パーセント未満に収まることもざらです。
その点、10倍以上のコストがかかるロボアドバイザーを使う、という選択に関しては「結局、どうなの?」という疑問の目を向ける投資家も少なくありません。

実際に、ロボアドバイザーの手数料構成について詳しく知るインデックス投資がからは、ロボアドバイザーの手数料体系について批判的な見解が寄せられることも多く、「ロバアドバイザーは使うに値しない」と断言する投資家もいるほどです。

少額投資が可能、とはいうけれど…

確かに、数万円~10万円程度の少額からポートフォリオを構築できるのは、ロボアドバイザーの魅力のひとつ

国内のロボアドバイザーの大半は、資産形成過程の若年投資家層を基本的なターゲットとしており、最低投資額も、証券会社が運用している有人型のファンドラップ・サービス等と比較すると、はるかに低額に抑えられています。

実際に、国内の主要ロボアドバイザーと言われる「ウェルスナビ」や「テオ」といったサービスにおいては、最低1万円~10万円程度の小額から、ロボアドバイザーを用いた資産運用が利用できるように、サービス設計が為されています。

でも、ネット証券で数百円でバランスファンドを購入する場合と比べて、どうなの?

このように、少額から投資をスタートできると言う点を、投資家向けのアピールポイントとしているロボアドバイザー・サービスは少なくありませんが、長くインデックス投信取り組んできた個人投資家からは、「それでは、特異な長所としては、不十分である」と言う声も聞かれます。
実際、楽天証券やSBI証券といったネット証券会社をうまく活用すれば、数百円程度の少額から、様々な資産クラスへと資産を分散投資する「バランス型」の投資信託へと、小口投資を行うことが可能です。

機関投資家レベルの分散投資を実現、というけれど…

ロボアドバイザーサービスの多くが、個人投資家に向けて、「各国の機関投資家並みの分散投資を(至極簡単に)実現できる手段」として、自社サービスをアピールすることが多くあります。
確かに、国内の主なロボアドバイザーは、株式や債券、コモディティーなどといった、様々な資産クラスに対して、複数の投資信託(主にETF)を活用することによって、資産を分散投資します。
また、1つの株式ETFも、そのポートフォリオには、数百から数千もの株式銘柄が含まれていますので、「数点のETFへと投資するだけで、十分な分散投資がなされている」と評価することもできます。
「卵をひとつの籠に盛るな」の投資格言を、投資初心者でも簡単に実践できるのは、ロボアドバイザーのメリットの一つと言えます。

自分でインデックスファンドを買うのと比較すると、どうなの?

このように、ログアドバイザーの活用メリットの1つとして、「分散投資効果」が挙げられることがよくありますが、インデックス投資に長く取り組んでいる投資家からは、「わざわざロバートバイザーを活用せずとも、そんな事は簡単に実現できる」との批判も寄せられています。

実際問題として、ロボアドバイザーが投資対象とする投資信託の多くは、投資家が自分自身でネット証券会社に口座を開設すれば、オンラインでいつでも売買できるよな投資信託が多々含まれています。
わざわざロボアドバイザーに対して手数料を支払うようなことをせず、投資家が自分でいくつかの投資信託を組み合わせれば、ロボアドバイザーが構築するほぼ同じような投資ポートフォリオを投資家自身で作成することも可能です。

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ロボアドバイザー検証チーム
fill.mediaは、国内の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)、及び、不動産クラウドファンディング業界情報の検証メディア。
ロボアドバイザー情報専門の検証チームでは、日本国内、並びにアメリカを中心とした海外国にて展開されているロボアドバイザー(RA)サービスに関する最新情報を提供するほか、ロボアドバイザー業界の市場調査、各社の新サービスの検証などを実施する。

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