「ソーシャルレンディング投資でレバレッジは使えますか」
「ソーシャルレンディング投資を検討しています。
FX投資などを通し、レバレッジを用いた投資に慣れているのですが、ソーシャルレンディングでも同様の仕組みはありますか。
ソーシャルレンディング業者別にレバレッジ比率が定められている場合、各社のレバレッジ比率を教えてください。」
(40代・男性・ソーシャルレンディング投資歴:なし)
目次
レバレッジとは
「レバレッジ」とは、直訳すれば、「テコの原理」のこと。
投資等の、いわゆる”経済活動”においては、端的に言えば、「自己資金だけではなく、他人の資本(お金など)を用いて投資等を行うことによって、自己資本に対する利益率を向上させること」を指します。
例えば、自己資金が100万円、投資利益率が10パーセント(年率)だとすると、1年後の投資収益は10万円。これは、自己資本に対して、10パーセントに相当します。
これに対して、自己資金100万円以外に、他人の資本、例えば、銀行から借り入れた400万円を、同時に同じ投資商品に投資すると、投資元本は500万円となり、1年後の投資収益は50万円となります。
銀行に対して年利3パーセントの金利(年間で400万円×3パーセント=12万円)を支払ったとしても、38万円(50万円-12万円)の利益が残ることとなり、これは、自己資金(100万円)に対し、38パーセントに相当します。
このように、同じ投資商品に投資する場合でも、レバレッジを効かせることによって、自己資金に対する利益率を向上(前述の例でいえば、10パーセント→38パーセント)させることが出来るわけです。
参考:
レバレッジ|Wikipedia
ソーシャルレンディングでは(FXのような)レバレッジの仕組みは提供されていない
現在、国内のFX業者を経由した取引では、証拠金(投資家がFX業者に預け入れる資金)の25倍まで、レバレッジを活用した取引を行うことが可能です。
反面、現在国内で営業しているソーシャルレンディング事業者の中に、上記したようなレバレッジ取引の仕組みを取り入れている業者は存在しません。
デポジット制度(預託金制度)を採用しているソーシャルレンディング事業者(例:クラウドクレジット、オーナーズブック、等)の場合、ファンドの買い付けは、あくまでも、預託金口座の中の残高分までしか、行うことができません。
預託金制度を採用していないソーシャルレンディング事業者(例:SBIソーシャルレンディング、等)の場合でも、投資家は、投資申込を済ませた後、ごく速やかに、投資申込を行った投資額全額の送金を行う必要があります。
「レバレッジを用い、預託金の〇倍まではファンドの買い付けを行うことが出来る」などといった制度・仕組みや、現在の国内ソーシャルレンディング業界においては、取り入れられていません。
それでもなお、レバレッジを活用してソーシャルレンディング投資に取り組みたい場合は…
どうしても、レバレッジを活用したソーシャルレンディング投資を行いたい、という場合、素直に他者から資金を借り受けて、ソーシャルレンディング投資を行うしか、方法はありません。
銀行等金融機関や、知人・親族から資金を借り受けて投資を行う、という形態となりましょうが、第一に、銀行等金融機関が、投資を目的とする資金の融資をしてくれるかどうか、は、不明瞭です。
知人や親族から資金融資を受けてソーシャルレンディング投資を行う、ということも、物理的には可能でしょうが、後述するようなソーシャルレンディング投資特有のリスクを考えれば、おすすめできる投資手法とは言えません。
ソーシャルレンディングではレバレッジの活用は推奨できない
実際問題として、ソーシャルレンディング投資は、決して「ローリスク」な投資手法ではありません。
ソーシャルレンディング事業者各社が提示している目標利回りは、銀行等の定期預金と比較すれば、確かに高率ですが、あくまでも、「目標とする」利回りに過ぎません。
目論見通りの利回りが達成できなかったとしても、ソーシャルレンディング事業者から補填などが為されることは有りません。
また、延滞・貸し倒れリスクの存在も、決して看過できません。
ソーシャルレンディング投資における分配金(ソーシャルレンディング事業者から投資家への分配金)の支払い原資は、ソーシャルレンディング事業者が自身の融資先から回収した元利金です。
このため、もしも融資先からソーシャルレンディング事業者への元利金返済に遅延が生じた場合、ソーシャルレンディング事業者から投資家への分配・償還にも、当然、遅れが発生してしまうこととなります。
さらに、もしもソーシャルレンディング事業者が、融資先からの元本回収に失敗した場合(元本の一部しか回収できなかったり、元本を全く回収できなかった場合)、投資家が出資した元本についても、毀損してしまうこととなります。
これに対して、投資家が、銀行等金融機関などの他人から資金融資を受けてソーシャルレンディング投資を行っている場合(=レバレッジを活用して投資を行っている場合)、資金提供元への元利金の返済は、必ず期日までに行う必要があります。
例えば、銀行から1,000万円を借り入れ、その全額をソーシャルレンディングに投じ、かつ、投じた資金の半分しか、分配・償還を受けることが出来なかった場合、残りの500万円(及び、金利)については、投資家が自力で用立て、返済する必要があります。
FX投資の場合であれば、レバレッジを活用して高額の取引を行ったとしても、投資家の損害は、預託している証拠金までに抑えられる、「ロスカット」の仕組みなどが提供されていますが、ソーシャルレンディングの場合は(※そもそも、レバレッジ機能自体が提供されていないわけですから)そのようなセーフティーネット機能は提供されていません。
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