【融資型クラウドファンディング】ソーシャルレンディングと、その他のクラウドファンディングの違いを考える。
目次
「ソーシャルレンディングと、クラウドファンディングの、違いは、何ですか?」
ソーシャルレンディング・ラボの読者様から、
「ソーシャルレンディングと、クラウドファンディングは、違うのでしょうか?」
「ソーシャルレンディングと、クラウドファンディングの、違いは、どのような点なのでしょうか?」
といった趣意のご質問を頂戴することがあります。
本記事においては、ソーシャルレンディングとクラウドファンディングの関係・違い、といった点について、ソーシャルレンディング・ラボの見解を述べさせて頂きます。
クラウドファンディングは、「資金の集め方」
クラウドファンディング、という言葉を、英語表記すると、”Crowd Funding”となります。
“Crowd”という単語は、直訳すれば、「群集」すなわち、たくさんの人々の集まり、を意味します。
※「クラウドコンピューティング」の「クラウド」は、「雲」を意味する”Cloud”です。
クラウドファンディングの「クラウド」と、クラウドコンピューティング(もしくは、「クラウド技術」など)の「クラウド」とは、全く異なりますので、この点、留意が必要です。
また、”Funding”という単語を敢えて直訳すると、「資金調達」「資金財源」等と言った意味があることが分かります。
すなわち、クラウドファンディング(Crowd Funding)とは、
- たくさんの人々(群集)から、
- 資金を募り、調達する。
という行為、すなわち、ひとつの資金調達手法、より簡単に言えば、「資金の集め方」を示す言葉であることが分かります。
ソーシャルレンディングは、クラウドファンディングの一種(融資型)、と考えることが妥当
一言に「クラウドファンディング」といっても、下記、いくつかの類型に分かれています。
【読売新聞解説も】購入型クラウドファンディング
企業や個人事業主が、新商品の開発を計画し、その計画の実現のために資金を募る、という際に、よく用いられるのが、この「購入型クラウドファンディング」です。
資金を出資した側としては、開発される新商品について、予約購入等を行うことが出来、他の一般エンドユーザーよりも早く、当該新商品を手にできる(=計画が実現した場合)、といったメリットがあります。
購入型クラウドファンディングの、グローバルレベルでの有名サービサーとしては、kickstarter(キックスターター)が挙げられるでしょう。
引用元:https://www.kickstarter.com/
参考:
kickstarter(キックスターター)|公式サイト
また、国内の購入型クラウドファンディングについては、読売新聞の下記記事にて、比較的詳しく解説されています。
引用元:読売新聞
購入型クラウドファンディングの仕組み詳細や、企業の参入状況等について、詳説が為されています。
日本国内の購入型クラウドファンディング・サービサーのうち、有力・有名なところとしては、下記例が挙げられます。
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
引用元:CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
株式会社CAMPFIRE(東京都渋谷区)が運営する、クラウドファンディング・サービス。
2019年7月現在、資金募集を行ったプロジェクト数は23,000件を突破しており、集まった資金額は、128億円に達しているとのこと。
上掲情報引用元:https://camp-fire.jp/about
Readyfor(レディフォー)
引用元:Readyfor(レディフォー)
READYFOR株式会社(東京都文京区)が運営。
創業者であり、代表取締役を務める米良はるか氏は、人気ビジネス番組「カンブリア宮殿」への出演歴でも知られます。
Makuake(マクアケ)
引用元:Makuake(マクアケ)
株式会社サイバーエージェント傘下、株式会社マクアケが運営するクラウドファンディングサービス。
同社代表の中山亮太郎氏は、書籍『日本最大級Makuakeが仕掛ける! クラウドファンディング革命 面白いアイデアに1億円集まる時代』の著者としても有名です。
寄付型クラウドファンディング
前掲の購入型クラウドファンディングの場合、出資者としては、出資の見返りに、商品購入等のメリットを期待します。
しかし、寄付型クラウドファンディングの場合、そうした、分かりやすい形態でのメリット・見返りは、提供されません。
出資した資金は、あくまでも、寄付金として、資金募集者へと提供されます。
なかには、寄付金控除等のスキームにより、税務面でのメリットを享受できることを提唱する、寄付型クラウドファンディングサービスもあるようです。
一部例としては、「返礼品無」タイプのふるさと納税も、ある種、寄付型クラウドファンディング、と類型することも、出来るかもしれません。
ファンド型クラウドファンディング
事業投資型クラウドファンディング、とも呼ばれるのが、こちらの「ファンド型クラウドファンディング」です。
資金を募る事業者は、純粋に営利目的な新規事業(不動産の取得、等の場合も、ひとつの”事業”としてカウントされます)を立ち上げ、当該新規事業への出資を広く募ります。
例えばそれが、不動産の信託受益権をファンドとして購入し、後程売却する、という事業の場合、広く出資者から集めた資金により、不動産信託受益権等をバリュー価格で購入し、リブランド等を通して価値を高めたうえで転売、その後、出資者に対して、利益を配当します。
株式投資型クラウドファンディング
前掲のファンド型クラウドファンディングと比較的類似していますが、ファンド型クラウドファンディングの場合、出資者はあくまでも、”ファンド”という事業への出資を行っている立場であるのと違い、株式型クラウドファンディングの場合、出資者は、出資を受ける企業の「株式」の間接的なホルダーという立場を得ることとなり、ひいては当然、出資先企業のIR情報等についても、株式型クラウドファンディング事業者を介し、一部公開を受けることが可能となります。
日本国内の株式投資型クラウドファンディングサービサーとしては、字義通り、ユニコーン企業への投資を提唱する、「ユニコーン」等があります。
引用元:ユニコーン
参考:
ユニコーン(公式サイト)
不動産クラウドファンディング
昨今、大きな盛り上がりを見せているクラウドファンディング分野に、「不動産クラウドファンディング」があります。
不動産クラウドファンディングの基本スキーム
- 宅地建物取引業者が、新たに、不動産特定共同事業法に基づく許可を取得し、「不動産クラウドファンディング事業者」となる。
- 不動産クラウドファンディング事業者は、自身のホームページ上で、特定の不動産を投資対象とするプロジェクト(ファンド)を公開し、投資家からの出資を募る。
- 投資家は、不動産クラウドファンディング事業者のHPを通じて、任意のファンドに出資申込を行う。出資が成立すると、不動産クラウドファンディング事業者と投資家との間で「不動産特定共同事業契約」が締結される(不動産クラウドファンディング事業者は、不動産特定共同事業者。投資家は、事業参加者)。
- 不動産クラウドファンディング事業者は、投資家から募った資金を活用し、不動産の取得、リノベーション等を実施する。
- 不動産クラウドファンディング事業者は、ファンドの運用期間中に、物件から生じた賃料収入(インカムゲイン)及び売却益(キャピタルゲイン)を元手に、投資家への利益分配を実施する。
- 不動産クラウドファンディング事業者は、最終的には不動産を売却し、その売却代金を元手に、投資家への元本償還を実施する。
不動産クラウドファンディングのメリット
投資家においては、不動産クラウドファンディング事業者の募集ファンドに出資することで、下記のようなメリットを期待することが出来ます。
- 数万円程度の少額から、不動産(より正確には、不動産を投資対象とするファンド)に投資できる。
- ソーシャルレンディングと同様、提示されている期待利回りが高い。
- ソーシャルレンディングと違い、運営会社の共同・劣後出資によって投資家の優先出資元本を保護する「優先劣後スキーム」が採用されている。
- Rimple運営のプロパティエージェント、ジョイントアルファ運営の穴吹興産、TREC Funding運営のトーセイなど、東証一部上場企業による新規参入も相次いでいる。
融資型(貸付型)クラウドファンディング
出資者が出資した資金は、クラウドファンディング事業者を経由して、第三者事業者へと、金銭消費貸借契約に基づき、貸し付けられる(=融資される)こととなります。
融資型(貸付型)クラウドファンディング事業者としては、貸付先から貸付金債権を利息含め回収したうえで、出資者へと償還します。
まさにこの類型こそが、ソーシャルレンディングとなります。
ソーシャルレンディング=融資型(貸付型)クラウドファンディング
- 広く群集(=クラウド)から資金を集め(=ファンディング)、
- そうして集めた資金を、第三者債務者へと融資・貸し付ける(=レンデイング)、
こうして読み解いていくと、ソーシャルレンディングは、クラウドファンディングの一類型、「融資型(貸付型)クラウドファンディング」に該当することが分かります。
このことは、実際に、ソーシャルレンディング事業者の許認可形態を見てみると、よく実感できます。
一例として、大手ソーシャルレンディング事業者、SBIソーシャルレンディングのホームページを見てみると、下記が明記されています。
引用元:https://www.sbi-sociallending.jp/
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このように、
- 投資家から資金を募る、「第二種金融商品取引業」事業者としての立場と、
- 集めた資金を第三者に貸し付ける、「貸金業登録」事業者としての立場を有し、
ソーシャルレンディング事業を営んでいることが分かります。
※なお、ソーシャルレンディング事業者によっては、第二種金融商品取引業を担う法人と、融資・貸金業務を担う法人を分離し、経営しているケースも見られます。
融資型クラウドファンディングならではのメリット
クラウドファンディングの他の類型(購入型クラウドファンディングなど)と比べて、融資型クラウドファンディングの最大のメリットは、「比較的利回りの高い資産運用に活用できる」という点です。
融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)事業者が募集しているファンドは、各ファンドごとに、期待利回りが提示されていますが、これだけ低金利の世の中にあって、かなりの高利回りが提示されていることが分かります。
具体的な想定利回りは、融資型クラウドファンディング事業者や個別ファンドによって千差万別ですが、
- 不動産担保付き(関連質権も含む)のファンドの場合で、2パーセント前後~5パーセント程度
- 担保設定の無いファンド(利回りが優先されたファンド)の場合で、8パーセント前後
など、投資家目線で見ると極めて魅力的な利回りが並んでいます。
寄付でも、物販でもなく、純粋な資産運用として取り組むことのできるクラウドファンディング、として、融資型クラウドファンディングは、上記のような魅力・メリットを有しているといえます。
そのほかにも、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)には、下記のようなメリットがある、とされています。
- 各ファンドには、1万円程度の少額から出資が出来る。
- 国外案件を専門的に取り扱うソーシャルレンディング事業者を活用すれば、海外の案件にも投資できる。
- マイクロファイナンス機関向けの融資案件など、社会的インパクトを重視したプロジェクトもある。
- 上場企業に対して融資するファンドや、融資にあたり、借り手の不動産等に担保権が設定されるファンドもある。
融資型クラウドファンディングならではのデメリット・リスク
上掲の魅力の反面、融資型クラウドファンディングの場合、「融資型」ならではのデメリット・リスクがあります。
それは、肝心の「融資」が、借手から返済されないケースのリスクを指します。
融資型クラウドファンディング事業者から、各投資家への分配・償還の原資は、融資を受けた借り手企業が、融資型クラウドファンディング事業者へと返済した、いわゆる「元利金」です。
このため、融資先企業からクラウドファンディング事業者への返済が滞れば、クラウドファンディング事業者から投資家への分配・償還にも、必然的に、遅れが生じてしまうこととなります。
また、融資金の全額回収が出来なかった場合、投資家の出資した元本に、毀損が生じることとなります。
この点は、融資型クラウドファンディングならではのリスク・デメリットとして、忘れてはなりません。
そのほかにも、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)には、下記のようなデメリットの存在が指摘されています。
- 「銀行等の金融機関から融資を受けられない企業が、ソーシャルレンディング事業者から融資を受ける」という事情がある。
- NISA口座やiDeCo口座からの投資は行えない。
- 日本投資者保護基金の補償対象外である。
- 出資持分については換金できないため、リスク資産としての流動性が低い。
- 運営会社の倒産リスクから、倒産隔離が為されていない。
ソーシャルレンディングとクラウドファンディングの関係のまとめ
いかがでしたでしょうか。
少しでも、読者様にとって、有益な情報をお届けできたのであれば、幸甚です。
それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会いいたしましょう。
※本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。
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