【ソーシャルレンディングファンド分析】OwnersBook「渋谷区商業ビル第3号ファンド第1回 」の場合。
個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。
ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを題材に、各社の特徴や、ファンドごとのリスク・リターンのバランス等を検証する本企画。
今回は、OwnersBook(オーナーズブック)が2018年に資金募集を行ったソーシャルレンディングファンド、「渋谷区商業ビル第3号ファンド第1回」を題材に、読み解きを進めて参りましょう。
本ソーシャルレンディングファンドの概要
同社のホームページから確認した、本ファンドの概要としては、下記の通りです。
なお、案件1、及び案件2のうち、資金の大半を融資する「案件1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。
本ソーシャルレンディングファンドの詳細情報ページのURL
こちらです。
↓
https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1120/
資金の借り手
東京都渋谷区に所在する、設立3年未満の総合不動産会社AB、との表記があります。
同社の主な事業は、
- 不動産投資事業
- 不動産売買・仲介事業
とのこと。
2018年2月に設立された法人であり、同社提供の情報によれば、第1期(2019年2月期)は経常黒字での着地を見込んでいる、とのこと。
貸付資金の総額
60,000,000円(6千万円)の貸付となります。
借り手の資金使途
総合不動産会社ABの事業資金である限り、資金使途についての定めはない、とのこと。
本ソーシャルレンディングファンドの貸付・運用の期間
13ヶ月の貸付・運用となります。
設定担保
総合不動産会社ABの所有する下記物件に、抵当権が設定されます。
- 建物状況:
1978年12月に建築された、地上7階建ての店舗・共同住宅ビル。抵当権設定の対象部分は、当該建物1階の店舗部分の一区画(区分所有)。
建物全体の管理は大手建物管理会社に委託され、総合不動産会社ABによれば、建物全体の管理費・修繕積立金等につき3万円に満たない滞納があるものの、管理規約等通りに徴収され、屋上防水工事や配管工事等の大規模修繕工事が計画に即して実施され、消防指摘事項に係る修繕等も適切に実施されている、とのこと。総合不動産会社ABによれば、本建物は旧耐震基準に準拠しており、新耐震基準には準拠していない、とのこと。ただし、管理組合宛てに提出された耐震診断結果によると、必要な補強工事を行うことで新耐震基準に適合するとのこと。しかしながら、本補強工事の実施については未定、とのこと。
- 交通・接近条件:
東京都渋谷区幡ヶ谷に位置しており、京王電鉄京王新線へのアクセスが至便な立地、とのこと。 - 賃貸借の状況:
2018年9月27日時点では、空室となっている、とのこと。 - 物件評価額:
OwnersBook評価額は、外部専門家による査定額を参考に7,520万円と査定している、とのこと。
設定される抵当権は、第一順位(先順位無)、とのこと。
返済原資
総合不動産会社ABによると、返済原資として、今回担保に供される物件の売却の他、他の金融機関等からの借入等を想定している、とのこと。
わたしたち個人投資家の期待利回り
5.0パーセントとのこと。
本ソーシャルレンディングファンドの資金募集達成度は
本ソーシャルレンディングファンドは、満額の資金募集を達成しています。
運用・返済状況は
本匿名組合の償還予定日(※ファンド組成時の予定)は、2019/11/20。
本記事執筆本日現在、鋭意運用中、というところと思料されます。
本ソーシャルレンディングファンドのポイント
私が考える、本ファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、いずれも、私の個人的な見解です。
利回りは相場。先順位無の第一順位抵当権である点、8割を(ぎりぎり)切るLTVは評価できる。
予定利回り5パーセントは、高くも無く、さりとて、低くも無く、まあ、相場かな、という印象です。
今回担保に供される不動産には、先順位の抵当権が設定されておらず、OwnersBookの債権が、第一順位となります。この点は、万が一の時の債権回収プロセスを考えれば、安心材料と言えます。
LTV(Loan To Value)は、6,000万円/7,520万円=79パーセントほど。
ギリギリとは言え、8割を切っていますから、単純なLTVの観点からは、ある程度、安心感のあるファンドと言えるでしょう。
評価額算出方法について、今少し詳説があれば…。
※写真はイメージです。
本ファンドに関し、借り手事業者(総合不動産事業者AB)の業歴は、無きに等しい(2018年2月設立)ので、
本ファンドにの安全性の検討においては、純粋に、担保を見るしかありません。
すなわち、担保物となる不動産の評価額(6千万円)の妥当性こそが、本ファンドの安全性判断の拠り所となります。
その点を踏まえたうえで、
- 築40年のビルの、1階の店舗部分一区画(区分所有)。
- 新耐震基準に準拠するための改修工事には、どの程度の費用がかかるのか、(本ファンド情報を読み込む限りにおいては)不明。
- 実際に、新耐震基準に準拠するための改修工事が、真に実施されるのか、否か、も、不明。
- 担保物となる区画(店舗)は、現在、空室であり、賃借人は付いていない。
上記の状況を、どう考えるか。
店舗部分の一区画、とのことですが、具体的な面積情報等が無いため、
類似物件取引事例からの評価額類推や、
不動産サイトでの賃料参照をベースとした評価額類推が、効きません。
こうした状況を、どう判断するか。
OwnersBookの運営会社、ロードスターキャピタル株式会社は、不動産のプロフェショナルであり、
不動産物件の評価に係る目利き力は、折り紙付きなのでしょう。
その評価額は、確かに、信頼に値する(※私の個人的な見解です)わけなのですが、
その評価額の妥当性を、多少なりとも、個人投資家の立場から、類推・納得できるような情報が、
もう少しだけでも、ファンド概要に盛り込まれていると、安心感が高まるように、思うのですが…。
本ソーシャルレンディングファンド検証のまとめ
ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを検証し、各社の特徴や、ソーシャルレンディングファンドごとの特色、そして、ファンド概要の読み解きのヒントを探る本シリーズ。
今回は、オーナーズブックのソーシャルレンディングファンド「渋谷区商業ビル第3号ファンド第1回」を題材に、検証をさせて頂きました。
しつこいようで申し訳ありませんが、
本記事文中の表現は、いずれも、私のごく個人的な意見に過ぎません。
その点は、くれぐれも、ご承知おきください。
しかし、あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、
ファンド概要の読み込みの具体例として、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。
なお、私は現在、国内23社のソーシャルレンディング事業者に、資金を分散投資しておりますが、
その中でも、OwnersBookは、(※今回のファンド検証に関しては、いささか、辛口となりましたが)他のソーシャルレンディング事業者と比べて、私が多くの資金を投資させて頂いている事業者のひとつです。
引用元:OwnersBook
- 東証マザーズ上場企業、ロードスターキャピタル株式会社による運営。
- 全案件(ファンド)に、不動産担保がセッティングされている。
等と言った特長のある事業者ですが、その分、個人投資家からの人気が高く、
今回取り上げたファンドの場合も含め、
資金募集開始から、あっという間に、資金枠が埋まってしまう、というケースが多く見られます。
「いざ」という時の投資機会を逃さぬためにも、
あらかじめ、投資口座開設だけでも、済ませておくことをお勧めします。
同社の投資口座開設は、こちらの公式ページから手続き可能です。
↓
OwnersBook(公式)
なお、同社の投資口座開設手続きは、いたってシンプルですが、
「初めてで不安」という方は、あらかじめ、こちらの別記事もご参照下さい。
↓
[blogcard url=”https://social-lending.online/sl-companies/ownersbook/ownersbook-kaisetsu/”]
それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。
追伸:
大手ソーシャルレンディング事業者数社を、投資家登録数や累積投融資額、利回りや手数料、といった指標で、横断的に比較検討した、こちらの過去記事も、おすすめです。是非、ご覧になってみてください。
↓
【ソーシャルレンディング比較検証】事業者規模、年利平均、投資家登録数、初心者へのおすすめ度…。主要ソーシャルレンディング各社を、複数の視座から横断比較。
本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。
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