【由来から再検証】ソーシャルレンディングはFinTech(フィンテック)か
個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。
FinTech(フィンテック)とは
ここ数年、よく見聞きするようになった、FinTech(フィンテック)という言葉。
まずは、その言葉の定義・由来から、確認してみましょう。
FinTech(フィンテック)の語源・由来
FinTech(フィンテック)というのは、
- Finance=ファイナンスと、
- Technology=テクノロジーとを合わせた、
造語です。
似たような造語はいくつかあります。
- Education(教育)× Technology=EdTech(エドテック)
- Medical(医療)× Technology=MedTech(メドテック)
- Advertisement(広告)× Technology=AdTech(アドテック)
等が有名ですね。
いずれも、Technology(先端技術)を用いた効率化等により、各産業の既存構造を大きく変革する様子を指します。
FinTech(フィンテック)の具体例
ここからは、FinTechの具体的なケースをいくつか見てみましょう。
家計管理
マネーフォワードやZaim等の、家計管理サービスは、ごく身近なFinTech事例のひとつといえます。
各個人の銀行取引情報やクレジットカード取引情報を自動収集し、家計簿として記帳してくれるほか、月々の家計損益や資産状況に合わせて、適したクレジットカードや保険商品等の提案を行ってくれるようなサービスです。
投資関係
ウェルスナビやTHEOといった、ロボットアドバイザーサービスを使用したことのある方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
そうした投資関係サービスもまた、FinTechの一分野といえます。
企業会計分野
読者様の中で、企業の会計分野に関与しておられる方の場合、freee等に代表される、クラウド型会計ソフトの存在をご存知の方も多くおられるものと思います。
前述のマネーフォワード等と似通っていますが、各企業の銀行口座取引や、法人クレジットカード取引履歴を自動取得し、複式簿記による記帳処理等を行ってくれるサービスです。
決済関連
ここ最近、特に大きな広がりを見せている、キャッシュレス決済。
こうした決済分野もまた、FinTechが得意とする分野のひとつです。
ソーシャルレンディング=FinTech(フィンテック)?
様々な分野で広がりを見せている、FinTech(フィンテック)。
こうした中、個人投資家を中心に注目を集めている、ソーシャルレンディングについても、時折、「FinTech」分野の新サービスとして例示される機会があるようです。
果たして、ソーシャルレンディングは、FinTechの活用領域のひとつといえるのでしょうか。
現状のソーシャルレンディングは、FinTech(フィンテック)というほどの物では無いのでは
これはあくまでも、私の個人的な考えですが、現時点での日本国内のソーシャルレンディングは、「FinTech」と大仰に語るほどの内容では、無いのではないか、と感じています。
国内ソーシャルレンディングの基本的な構図としては、
- 第二種金融商品取引業の登録事業者である、ソーシャルレンディング事業者が、投資家との間で、「匿名組合契約」を締結し、
- 資金を、第三者企業に対し、「金銭消費貸借契約」により、融資したうえで、
- 匿名組合(ファンド)の事業において生じた利益を、投資家に対して分配する、
というものです。
「匿名組合契約」というスキームも、「金銭消費貸借契約」という契約も、はるか昔から存在する構成であり、目新しさはありません。
- ソーシャルレンディング事業者(匿名組合契約における、営業者)と、投資家(匿名組合契約における、匿名組合員)との間の、匿名組合契約締結手続きが、オンラインで完結する、という点や、
- 関連紙面が電磁的に交付される、という点においては、
インターネット技術を活用した効率化が寄与しているものと思いますが、それらを考慮に入れても尚、「FinTech」と大体的に打ち出すほどの、革新的技術が用いられているか、というと、私の個人的な考えとしては、「?」というところです。
以後のソーシャルレンディングの発展の方向性によっては、FinTechといえるようになるかも。
現状のソーシャルレンディングについては、上記したような認識でおりますが、ソーシャルレンディングの今後の発展の方向によっては、「これぞ、FinTech」と呼べるような形態へと進化していく可能性も、感じています。
与信スコアリングを活用して、「個人」も借り手市場に取り込む
現行ソーシャルレンディングにおいては、ソーシャルレンディング事業者から資金を借りる「借り手」は、企業等の事業者であることが一般的です。
資金の貸し手側の都合として、
- 資金需要が旺盛な(=1回の融資金額が大きい)企業を相手にしたほうが、効率がいい。
- 大量の、かつ、小口の資金需要者について、逐一、与信管理をするのは、大変だ。
等といった事情があるものと推察しています。
しかしながら、上掲したようなFinTech活用によって、個人の銀行取引履歴やクレジットカード使用履歴をもとに、より高精度の与信管理を、さらにスピーディーに行えるようになれば、
「与信スコアリング上位10パーセントをターゲットとする、個人の資金需要者向けに、資金融資をするファンド」
等といったソーシャルレンデイング案件が、組成されてくるようになるかもしれません。
そうなると、ソーシャルレンディングの「借り手市場」は一気に広がることとなるでしょう。
各投資家の資産状況に応じた、ソーシャルレンディングファンドの自動提案
現在ロボットアドバイザーが提供しているサービスの、「ソーシャルレンディング版」といったようなイメージです。
個人の資産状況や、月次の資産増減状況を加味した、より具体的なアドバイザリーとすることが出来れば、さらに深みのあるサービスへと発展していく可能性があると思います。
まとめ
大きな伸びしろを持つ、FinTech。
現行の国内ソーシャルレンディングは、まだ、FinTechと大仰に呼べるほどの構成となっているとは思いませんが(※個人的な見解です)、以後の発展の方向性によっては、その可能性は十分にあると思います。
一(いち)個人投資家として、その発展を見守っていきたいと思っています。
それでは、今回の寄稿は以上とさせて頂きます。
拙文に末尾までお付き合いいただき、有難うございました。
※本記事は、寄稿者の個人的な見解であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。
高利回りを狙える新たな投資手法として、広く注目を集めている、ソーシャルレンディング。
しかし、業界にはまだ、未成熟な部分も多く、複数の「危険会社」の存在も気にかかります。
ソーシャルレンディング投資スタートにあたりましては、あらかじめ、こちらの過去記事も、ご覧になってみてください。
↓
ソーシャルレンディング【おすすめ会社&危険会社ランキング】最新版
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ファンドの自動提案&自動積立なんかが本格的に始まればマジで面白い。
クラウドクレジットあたりが出資元と組んで何か始めてくれることに期待。
コメントを頂き、有難うございます。
ご指摘のクラウドクレジットの場合、2018年下旬に、ファンドレコメンド機能の開発本格化を公表しています。
・クラウドクレジット、世界中のファンドへの分散投資を推奨するファンドレコメンド機能の開発を本格化
https://crowdcredit.jp/info/detail/276
機能リリースが為され次第、当ラボと致しましても、検証等致したいと考えております。