ソーシャルレンディング【Fund-Insight】LENDEX「不動産担保付きローンファンド24号」
個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。
ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを題材に、各社の特徴や、ファンドごとのリスク・リターンのバランス等を検証する本企画。
今回は、LENDEXが2018年6月~7月にかけて資金募集を行ったソーシャルレンディングファンド、「不動産担保付きローンファンド 24号」を題材に、読み解きを進めて参りましょう。
目次
本ソーシャルレンディングファンドへの投資申し込み完了のエビデンス
今回のファンドについては、本ブログ管理人も個人的に出資をさせてもらったファンドです。
LENDEXのマイページ、「投資履歴」からのスクリーンショットがこちら。
↓
スクリーンショットにもある通り、今回は、13万円の投資申込とさせて頂きました。
本ソーシャルレンディングファンドの概要
同社のホームページから確認した、本ファンドの概要情報としては、下記の通りです。
なお、「投資案件1」及び「投資案件2」のうち、資金の大半を融資する、「投資案件1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。
スキーム図
ごくシンプルな物ですが、同社のホームページから確認したスキーム図がこちら。
↓
引用元:https://lendex.jp/main/fund_detail/35/
資金の借り手
埼玉県内の不動産事業者L、とのこと。
LENDEXの過去ファンドを一通り調べてみましたが、おそらく、
- 不動産担保付きローンファンド 20-1号~5号
- 不動産担保付きローンファンド 23号
上記6ファンドの借入人となっている、「不動産事業者L」と同一であろうと、わたしは推察しています。
借入額としては、
不動産担保付きローンファンド 20-1号で4,010,000円、
不動産担保付きローンファンド 20-2号で4,010,000円、
不動産担保付きローンファンド 20-3号で4,010,000円、
不動産担保付きローンファンド 20-4号で4,010,000円、
不動産担保付きローンファンド 20-5号で22,510,000円、
不動産担保付きローンファンド 23号で95,740,000円、
合計で1億3千万円以上を集めています。
担保(※詳しくは後述)については、今回の「不動産担保付きローンファンド 24号」においては、上記6ファンドとは別の担保物が提供されていますから、まあ、大丈夫だろうとは思いますが…。
「不動産担保付きローンファンド 20-1号」の組成が2018年5月16日でしたから、わずか2か月弱の間に、ずいぶんと資金を集めているな…という点が、気にはなりました。
貸付資金の総額
何はともあれ、今回のファンドについては、63,010,000円の募集を行う、とのこと。
満額が集えば、LENDEXから「不動産事業者L」への貸付累計は2億円前後となるわけですね(※実際には、一部のファンドが早速償還期日を迎えていくわけですが)。
借り手の資金使途
「不動産事業者L」は、今回のLENDEXからの借入金を原資に、千葉県船橋市の不動産(収益ビル)を購入する、とのこと。
貸付・運用の期間
2018年7月13日 〜 2019年6月12日の11か月間、とのことです。
設定担保
「不動産事業者L」が今回購入する不動産(収益ビル)が、そのまま担保物として設定されます。
先順位無の第1順位抵当権の設定、とのこと。
当該不動産に関する、東急リバブル株式会社の評価額(評価手法としては、収益還元法を採用)としては、8,210万円とのこと。
融資金額は最大で6,300万円とのことなので、最大値であったとしても、評価額の77パーセント弱(6,300万円÷8,210万円≒76.7)です。
掛目としては7割を超えていますから、まあまあ、アグレッシブと言えるでしょうが、とはいえ、8割オーバーしているわけではありませんが、度が過ぎている、とは感じません。
※あくまでも、評価額が妥当ならば、という条件付きですが。
返済原資
「不動産事業者L」としては、今回購入する物件に、修繕作業を行い、その後、第三者に転売を行う計画であるようです。
↓
引用元:https://lendex.jp/main/fund_detail/35/
うまく売り抜けることが出来れば、良いのですが…。
何はともあれ、第一義的には、「不動産事業者L」としては、上記の転売によって得る売却代金をもってして、LENDEXへの返済の原資に充てる計画のようです。
売り抜けの進捗によっては、他の金融機関からの借り換えも検討する模様です。
↓
返済は当該不動産の売却による売却代金、又は他の金融機関からの借り入れによっておこなわれます。
引用元:https://lendex.jp/main/fund_detail/35/
わたしたち個人投資家の期待利回り
8パーセント、とのことです。
資金募集の達成度は
引用元:https://lendex.jp/main/fund_detail/35/
↑
100%の資金達成を果たしています。
運用・返済状況は
返済予定は2019年6月ですから、本記事執筆本日現在、運用期間中にあたります。
利払い延滞等は発生していない模様です。
本ソーシャルレンディングファンドのポイント
私が考える、本ソーシャルレンディングファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、あくまでも、私の個人的な見解です。
(評価額に納得できるなら)至極良心的なファンドと言える。
あくまでも、評価額に納得できるなら、という条件付きですが、それさえクリアできるなら、
- 不動産担保付き
- 先順位無しの第1順位抵当権(シニアローン案件)
- 掛目は8割弱
- 上記の通り、ある程度堅めの設定でいながらにして、利回りは8パーセント
上記のように考えることが出来るわけで、そうなると、総じて至極良心的なファンド設計、と勘案出来ます。
鍵は、担保物の評価額。
天下の東急リバブルの評価額に疑義を呈するつもりはありませんが、
「東急リバブルが8,210万円って言ってるんだから8,210万円で間違いない」
と簡単に納得してしまうのは、いかがなものかと考えます。
出来るだけ、詳しく調べてみましょう。
ロケーション
担保物たる不動産は、千葉県船橋市に所在しており、かつ、
引用元:https://lendex.jp/main/fund_detail/35/
JR総武本線の、「1日の乗降客数が10万人以上の駅」から、徒歩6分ほどの場所にある、とのこと。
引用元:https://www.jreast.co.jp/estation/result.aspx?mode=2&rosen=41=1=%91%8D%95%90%96%7B%90%FC
JR東日本のサイトを見る限り、そもそも、千葉県船橋市内に、総武本線の駅は、船橋駅しかないようです。
同じくJR東日本のサイトで、各駅の乗車人員も公表されています。
それによると、船橋駅の乗車人員は、
引用元:http://www.jreast.co.jp/passenger/index.html
↑このように公表されています。
数字は、左から、「定期外」、「定期」、「合計」、「前年比」、と並んでいます。
なお、JR東日本のサイトでは、「2016年度」の数値が最新情報でした。
かつ、
(乗車人員には、乗車の人員のみで、降車の人員等は含まれておりません。)
引用元:http://www.jreast.co.jp/passenger/index.html
↑こんな風に明記もあります。
あくまでも参考程度にね、ということでしょう。
何はともあれ、1日の乗降客数(乗車人員だけでなく、降車人員も加算)として、10万人オーバー、というのは、まあ、ある程度、堅い、というところなのではないでしょうか。
これらの情報を踏まえ、本件担保物は、「船橋駅」から徒歩6分程度のところに所在している、と、仮定をしてみます。
建物の具体的な様相をイメージしてみる。
引用元:https://lendex.jp/main/fund_detail/35/
↑土地は約50坪。
建物の延べ床面積は73坪ほど。
50坪、っていうと、普通の戸建て(住宅)の土地面積ですよね。
決して広い土地ではありません。
建ぺい率はどのくらいなのでしょうか…。
そもそも当該土地の用途地域が分かりません。
引用元:https://lendex.jp/main/fund_detail/35/
↑このへんの情報を見る限り、一応、商業地域でしょうか…。
だとすると建ぺい率は、とりあえず8割で見ておくのが無難でしょう。
建ぺい率めいっぱいで建築していると仮定すると、50坪の土地に対して、建築面積は40坪。
建物の延べ床面積が73坪とのことなので、本件担保物不動産は、少なくとも2階建て以上の建物だろうと推察されます。
逆に、駐車場やアプローチ用に敷地を残し(=建ぺい率一杯とはせずに、余裕を残して)、20坪くらいの建築面積にしている場合は、4階建てくらいもあり得ますね。
ここまでの調べで、(あくまでも、推察ですが、)
「船橋駅から歩いて6分くらいのところにある、2~4階建てくらいの、比較的こじんまりした、建物なのかな…」
というイメージがわいてきます。
※繰り返しとなり恐縮ですが、あくまでも、わたしの個人的な推察です。
(収益還元法とのことなので)とりあえず坪単価家賃を調べてみる。
いろいろと調べていて、何やら面白そうなサイトを見つけました。
その名も、「飲食店.COM」。
引用元:https://www.inshokuten.com/
このサイトで、(※あくまでも、飲食店向けですが)テナントの賃料相場を調べることが出来ます。
船橋駅周辺としては、こんな感じらしいです。
↓
引用元:https://www.inshokuten.com/bukken/kanto/market/rent/result/?lineKeyId=6&stationKeyId=408
とりあえず鵜のみにしますと(失礼)、平均坪単価として18,000円くらいなのかな、と。
ただし、最低坪単価では、6,000円、との記載もありますね。
今回の担保物不動産の場合、建物の延べ床面積は73坪ほどですから、月間賃料は、とりあえず、最低を想定し、6,000円×73坪=44万円ほど、とイメージしておきます。
年間賃料は530万円ほどが見込めるのかな、と推察してみます。
もうちょっと考える。
年間賃料530万円ほどに対して、経費率は25パーセントほど、と仮定しましょう。
すると、年間の利益は400万円ほど、となります。
収益還元法で評価を行う以上、物件の利回りにも見当をつけておく必要があります。
最低限のイメージを獲得するために、「健美家」と「楽待」あたりをチェックします。
※「健美家」や「楽待」に掲載されている不動産投資物件は、基本的には、あくまでも住宅物件ばかりです。今回の担保物は一応、事業用物件のようですので、単純な比較は出来ません。
引用元:https://www.kenbiya.com/pp0/s/chiba/funabashi-shi/z=r1/
↑健美家も、
引用元:https://www.rakumachi.jp/syuuekibukken/area/prefecture/dimAll/?page=2&st[]=2199090&sort=gross_return&sort_type=desc
↑楽待も、
概ね、利回り5パーセント、くらいが、堅めに行く場合の相場イメージのようです。
そして、先ほどの年間想定利益400万円を、利回り5パーセントで割ると、
400万円÷0.05=8,000万円、と出ます。
振り返って、東急リバブルの評価が、8,210万円です。
このようにして考えると、東急リバブルによる評価は、決して、べらぼうな物ではなく(失礼)、ある程度、妥当な(かつ、堅めな)数字を出しているのではないかな、と思えてきます。
総論
あくまでも、個人的に、ですが、本ファンドにおいて担保権が設定される不動産の評価額について、(長きにわたる試行錯誤の結果)ある程度の納得が出来ましたので、(検討にずいぶん時間がかかっちゃったのですが)思い切って、投資申込をさせて頂く事に致しました。
総じていえば、
- 評価額が妥当でありさえすれば、至極良心的なファンド設計といえる。
- 評価額の妥当性について、可能な限りの検証を行ったところ、ある程度の妥当性について、納得感を得ることが出来た。
上記が、本ソーシャルレンディングファンドに係る、私の見立て・総論となります。
本ソーシャルレンディングファンド検証のまとめ
ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを検証し、各社の特徴や、ソーシャルレンディングファンドごとの特色、そして、ファンド概要の読み解きのヒントを探る本シリーズ。
今回は、私も個人的に出資した、LENDEXのソーシャルレンディングファンド「不動産担保付きローンファンド 24号」を題材に、検証をさせて頂きました。
しつこいようで申し訳ありませんが、
本記事文中の表現は、いずれも、私のごく個人的な意見に過ぎません。
その点は、くれぐれも、ご承知おきください。
しかし、あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、
ファンド概要の読み込みの具体例として、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。
ソーシャルレンディング事業者としての規模や、ファンド平均利回り、ソーシャルレンディング投資初心者へのおすすめ度等、複数の角度から、国内有力ソーシャルレンディング事業者をランキングした、こちらの過去記事も、是非ご覧になってみてください。
↓
ソーシャルレンディング会社ランキングの決定版。複数の視座から、国内人気ソーシャルレンディング事業者を、徹底ランキング致しました。
それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。
本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。
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