ロボアドバイザーの「はじめどき」はいつなのか|ロボアドバイザー投資を始める時期について悩んでしまう理由とは
そろそろはじめどき?ロボアドバイザーとは
投資家が、ロボアドバイザーの発する複数の質問に対して回答することで、ロボアドバイザーが、各投資家のリスク許容度診断を行い、それぞれのリスク許容度に見合った、最適なポートフォリオを提案。最終的には、ポートフォリオを実際に構築するために必要な、様々な銘柄(投資信託)の自動的な買い付けを執行するサービスを、「ロボアドバイザー」と呼びます。
ロボアドバイザー投資の流れ
投資家が、初めて、ロボアドバイザー・サービスを利用する場合、概ね、下記のようなステップを辿る事となります。
- ブラウザやアプリケーションを利用して、ロボアドバイザーの発する、10個前後の質問に対して、投資家自身が回答を行う。
- ロボアドバイザーは、投資家から得た回答をもとに、各投資家のリスク許容度を自動的に診断する。
- ロバアドバイザーは、各投資家に対して、リスク許容度に許容度に見合った、最適なポートフォリオを提案する。
- 投資家がロボアドバイザーの提案するポートフォリオ内容に同意し、ロボアドバイザーの定める最低投資可能金額を入金すると、ロボアドバイザーは、実際のポートフォリオを構築するために、必要な投資信託銘柄等を自動的に買い付ける。
- ロボアドバイザーによる資産運用が開始し、その後、各銘柄の値上がり・値下がりに応じて、投資家の最新のポートフォリオが、当初設定した最適ポートフォリオと比較して、乖離してきた場合、その乖離の幅に応じて、ロボアドバイザーは、値上がりした資産の売却や、値下がりしている資産の買い足しによって、ポートフォリオ再調整、すなわち、リバランスを自動的に執行する。
始めるなら今?ロボアドバイザー投資のメリットとは
面倒なリバランスをロボアドバイザーに一任できる
昨今、インデックス投資が大きな注目を集めていますが、インデックス投資を長期的に実践する場合、各銘柄の値動きに応じて、投資家自身が、リバランスを定期的に実行する必要があります。
このリバランスには、一定の手間暇がかかるほか、含み益の生じている資産を売却すると、含み益の実現によって課税関係が生じるなど、様々な考慮すべきポイントがあります。
この点、ロボアドバイザーを利用すれば、税効果も考慮に入れたリバランスを自動化することができますので、投資家にとって、ひとつのメリットといえます。
リスク許容度診断・最適ポートフォリオ提案を無料で受けられる
投資家が、インデックス投資を始める場合、あらかじめ、自分自身のリスク許容度を客観的に把握し、その上で、リスク許容度に見合った、最適なアセットアロケーション、すなわち資産クラス別のポートフォリオを作成する必要があります。
インターネットなどで利用できるポートフォリオ作成ツールなどもありますが、特に投資初心者にとっては、どのような資産クラスを、どのような割合で保有すれば良いのか、と言う点は、いささか判断に苦しむポイントといえます。
この点、ロボアドバイザーを利用すれば、投資家自身が、ロボアドバイザーの発する質問に回答することによって、リスク許容度を簡単に把握することができるほか、自身のリスク許容度に見合った、最適なポートフォリオの提案を、(助言型ロボアドバイザーを利用すれば)無料で受けることができます。
マルチアセット・ポートフォリオの運用が、初心者でも簡単に行える
マルチアセット・ポートフォリオの運用は、投資に慣れた人でも、手間がかかるものです。
- リスク許容度の把握から、
- アセット・アロケーションの決定、
- アセットクラスごとのインデックス選び、
- インデックスごとの投資信託選びなど、
様々な作業を、投資家自身で、書籍・インターネット等で情報収集しながら、こなしていく必要があるためです。
その点、ロボアドバイザーを利用すれば、プロ投資家・ベテラン投資家レベルのマルチアセット・ポートフォリオを、数クリックで簡単に作成し、自動的に運用することが可能となります。
投資していることを(いい意味で)忘れることが出来る
ロボアドバイザーを利用すれば、投資家自身が、日々のインデックス投資を意識する機会はかなり減ることとなりますので、良い意味で、投資家自身が、「投資している」と言う事実を、忘れることができます。
日々の値動きを過度に意識し続ければ、ちょっとした相場の下落にも過敏に反応し、狼狽売り等の機会も増え、結局、資産運用を長期にわたって続けることが難しくなる、と言われています。
この点、ロボアドバイザーを利用すれば、投資家の意識の外側でロボアドバイザーが自動的に投資を執行してくれますので、インデックス投資成功の王道と言われる、長期の積み立て・分散投資を、自動的に執行することが可能となります。
始める時期は逸した?ロボアドバイザー投資のデメリット
投資信託の信託報酬のほかに、ロボアドバイザーへの運用手数料が生じる
投資家がインデックス投資に取り組む場合、投資信託を活用することが一般的であり、この際、投資家は、投資信託の運用会社に対して、信託報酬と言われる運用手数料を支払う必要があります。
参考:
ロボアドバイザーと投資信託、投資家にとってはどっちがいいのか|メリット&デメリット徹底比較
また、投資家が、インデックス投資のために、ロボアドバイザーを活用する場合、投資家は、投資信託の運用会社に対する信託報酬に加えて、ロボアドバイザーの運営会社に対して、年率で、預かり資産残高の1パーセント程度に相当する、ロボアドバイザー利用料を支払う必要があります。
この利用料は、たとえ、ロボアドバイザーの運用成績そのものが、マイナスであったとしても、継続的に発生し続けることとなりますので、投資家のインデックス投資の長期的な損益に、大きな影響を与えることとなります。
iDeCo口座やNISA口座の利用が出来ない
投資家が、インデックス投資を始める場合、まずは、iDeCo (個人型確定拠出年金制度)の利用限度額を把握した上で、ネット証券などを利用して、iDeCo口座を開設し、iDeCoの利用限度額の範疇で、投資信託購入を開始することが一般的です。
加えて、毎月の積み立て投資金額に余裕がある場合、別途、つみたてNISAの口座を開設し、そちらでも、毎月3万円程度ずつ、インデックス・ファンドの購入を行うことがよくあります。
いずれも、政府の投資支援制度であり、税制面などで、大きな優遇措置を期待できる制度とされていますが、ロボアドバイザーの場合、基本的に、こうした投資支援制度を活用することができません。
国内のロボアドバイザー協会では、唯一、ウェルスナビが、一般NISAに対応していますが、ウェルスナビも含めて、つみたてNISAに対応しているロボアドバイザー事業者は存在しません。
また、iDeCo口座に関しては、国内のすべてのロボアドバイザー事業者が、非対応となっています。
投資家に、資産運用のノウハウが蓄積されない
ロボアドバイザーを利用する場合、投資家は、自分自身のリスク許容度の診断や、アセットアロケーションの決定等に関しても、すべて、ロボアドバイザーに対して任せきりになります。
- 各資産クラス別にインデックス(指数)を選択する、と言う作業も、
- また、インデックスごとに、利用する投資信託を選択する、といった作業に関しても、
すべてロボアドバイザーに一任することとなるため、投資家自身においては、投資に関するスキル、ノウハウが、全く蓄積されません。
参考:
ロボアドバイザーは情弱向きなのか|批判も受ける手数料構成など、「情弱」主張の根拠を探る
気になるロボアドバイザー。始める時期としてはいつが適切なのか
昨今、特に若い個人投資家の間で、大きな注目を集めつつある、ロボアドバイザー。
実際に始めてみたいと考えている投資家は多くいますが、その具体的な「はじめどき」に関しては、迷っている人が多いのが実情です。
ロボアドバイザー投資の「はじめどき」に迷う理由
多くの投資家が、ロボアドバイザーの始める時期に関して迷っている理由は、
- 「できるだけ安値で投資信託を買いたい」
- 「投資信託の”高値買い”は避けたい」
という願望・思惑があるためです。
確かに、安値で投資信託を仕入れることができれば、その後の値上がりに応じて、大きな値上がり益を得ることが期待できます。
また、万が一、バブルの崩壊直前などに、投資信託を「高値づかみ」してしまえば、その後の不況の間、かなりの長期にわたって、資産評価額が累積投資元本額を下回る、いわゆる元本割れの状態を受忍しなければならなくなる可能性があります。
ロボアドバイザーの「はじめどき」を見極めるのは、プロ投資家でも難しい
投資家であればだれしも、基本的には、投資対象が安値のタイミングから、投資・運用を開始したいものですが、そもそも、株価の安値・高値を正確に知ることは、プロ投資家でも困難である、と言われています。
「今が安値だ」と思って市場に参入したとしても、その後さらに株価が下落することも、十分にあり得ます。
特に投資の世界では、「落ちてくるナイフをつかむな」と言う格言もあるほど、
- まだ下落するのか、
- それともここから上昇相場に転じるのか、
を見極める事は、難しいことなのです。
実際、アクティブ・ファンドを運用しているファンド・マネージャー等においては、常に、銘柄ごとの安値・高値を見極めようと努力していますが、その努力が実り、インデックスを上回る投資成績を、恒常的に残し続けているファンド、ないしはファンドマネージャーは、ごく一部であると言われています。
様々な情報入手手段や、高機能のコンピューティング・システムなどを保有しているプロ投資家や機関投資家にとってすら難しいと言われる、高値・安値の見極めを、一般個人投資家が正確に行う事は、現実問題としては、不可能に近いと言われています。
参考:
ロボアドバイザーは儲かるのか|投資家、及び、ロボアドバイザー運営会社、双方の目線から検証
一番嫌なのは、始めるタイミングをずるずると逸し続けること
ロボアドバイザーを用いたインデックス投資において、最も避けるべきリスクの1つは、「資産運用の、最適な、はじめどき」を狙い続けているばかりで、一向に投資をスタートできないような状態を継続してしまうことです。
- もう少し下がったら始めよう、と思って静観していると、案外(ずっと)株価が下がらない
- 「よし、十分に下がった!明日からロボアドバイザーを始めよう」と思っても、翌日もう少し株価が下がっていると、気勢をそがれる
などといった事は、よくあることです。
そうこうしているうちに、肝心の資産運用のはじめどきを逃し、気づけば数年間にもわたって、資産を現預金として保有し続けてしまった、などと言う話は、枚挙に暇がありません。
実際は、「ドルコスト平均法」のメリットで、”はじめどき問題”は解消できる
ロボアドバイザーの始める時期に関して悩んでいる投資家において、1つ、留意すべき事項としては、ロボアドバイザーを実際に始める「時期の問題」(=タイミング上の問題)に関しては、少なくとも数十年単位の長期投資を前提とする以上は、ある程度無視できる、ということです。
仮に、ロボアドバイザー投資を始めてから、すぐに相場が急激に下落し、その後数年間にわたって、インデックスが安い状況が継続してしまったとしても、そもそも20年から30年もの長期投資を前提とするのであれば、そうした時期はむしろ、インデックスや株式を安値で仕入れる絶好のチャンスだ、と割り切ることが可能です。
逆に、ロボアドバイザー投資を始めてから、すぐに各種のインデックスが値上がりし始めたとしたら、それは単にラッキーなことであり、引き続き、追加投資をすればいいことです。
ロボアドバイザーを用いて、数十年単位の長期投資に取り組む場合、毎月の積み立て投資を設定することが一般的ですが、毎月定額のロボアドバイザー投資を継続することによって、ドルコスト平均法のメリットを生かし、毎回の投資信託買い付け価格を、多少なりとも平均化することが可能となります。
ロボアドバイザーは、
- 投資対象となる投資信託が安いときには、たくさん仕入れ、
- 逆に、株高によって投資信託が高値にあるときは、少ししか買い付けを行わないことによって、
いわゆる「高値づかみ」を避ける工夫としても活用できるわけです。
ロボアドバイザー業者のキャンペーンなどを「はじめどき」と割り切るのも〇
それでもなお、ロボアドバイザーの「始めるべき時期」に関して悩んでしまう、という人においては、ロボアドバイザー事業者各社が、ポイントサイトなどで展開しているキャンペーンを、ロボアドバイザーを始めるきっかけ(=タイミング)として、割り切ってしまうのも、ありかもしれません。
国内のロボアドバイザー事業者の多くが、「ハピタス」や「モッピー」などといったポイントサイトで広告を展開しており、キャンペーンの開催時期とうまくタイミングを合わせることが出来れば、そのままロボアドバイザー投資に用いることができる現金のキャッシュバックを受けることができるなど、様々なチャンスがあります。
Author Info
-
fill.mediaは、国内の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)、及び、不動産クラウドファンディング業界情報の検証メディア。
ロボアドバイザー情報専門の検証チームでは、日本国内、並びにアメリカを中心とした海外国にて展開されているロボアドバイザー(RA)サービスに関する最新情報を提供するほか、ロボアドバイザー業界の市場調査、各社の新サービスの検証などを実施する。
メディア掲載歴(一部・順不同)
・朝日新聞デジタル&m
・財経新聞
・SankeiBiz
・RBBTODAY
・楽天Infoseekニュース
・excite.ニュース
・BIGLOBEニュース
・@nifty ビジネス
・Mapionニュース
・NewsPicks
・ビズハック
・MONEY ZONE
・Resemom
・SANSPO.COM
・Trend Times
・zakzak
・とれまがニュース
・徳島新聞