ロボアドバイザーと積立投資|積立投資のメリット・デメリットのほか、「一括投資」との比較も検証

ロボアドバイザー投資とは

ロボアドバイザーの発する、10問前後の質問に対して、回答を行うことで、ロボアドバイザーが、回答者(ユーザー)のリスク許容度を自動的に診断し、そのリスク許容度に見合った、最適ポートフォリオの提案、及び、取得推奨銘柄の提示を行ってくれるのが、「助言型ロボアドバイザー」と呼ばれるサービスです。

さらに、「投資一任型ロボアドバイザー」と呼ばれるサービスの場合、投資家が、ロボアドバイザーの提案するポートフォリオ内容に同意すると、

  • ポートフォリオ形成のために必要な、具体的な投資銘柄の取得や、
  • その後、銘柄の値上がり・値下がりに応じてポートフォリオが変動した場合、最適なポートフォリオへと自動的に再調整してくれる「リバランス」等といった機能を、

投資家に対し、年率換算で1パーセント前後程度の手数料で、オンラインで提供してくれます。

ロボアドバイザー投資の仕組み

一般的な投資一任型ロボアドバイザーを利用する場合、概ね、下記のような流れを辿ることとなります。

  1. ロボアドバイザーからの質問に対して、オンライン、ないしは、モバイルアプリ上で、回答する。
  2. ロボアドバイザーは、投資家の回答内容に応じて、投資家の「リスク許容度」(※1)を自動的に算出する。
  3. ロボアドバイザーは、投資家に対し、前述の「リスク許容度」に見合った、「最適ポートフォリオ」(※2)の提案を行う。
  4. 投資家が、上記の「最適ポートフォリオ」の内容に同意し、別途、ロボアドバイザーが定める、最低投資金額を入金すると、ロボアドバイザーは、最適ポートフォリオの構築するために必要な銘柄の取得(※3)を、自動的に行う。
  5. その後、取得した銘柄の値上がり・値下がり等によって、投資家のポートフォリオが、投資開始時点で作成された「最適ポートフォリオ」の内容から乖離してしまった場合、ロボアドバイザーは、自動的に「リバランス」(※4)を行い、投資家のポートフォリオを再調整する。

(※1)ロボアドバイザーが算出する「リスク許容度」とは

ロボアドバイザーは、前段において、投資家に対し、下記のような項目の質問を行います。

  • 投資家の年齢
  • 年収
  • 金融資産の残高
  • これまでの投資経験
  • 投資の具体的な目的
  • 相場下落時に想定している対応
  • 目標運用期間

上記質問に対する、投資家からの回答を吟味して、ロボアドバイザーは、その投資家が、どの程度のリスクならば許容できるか、を診断します。
投資における「リスク」は、投資収益の「標準偏差」ですから、

  • 標準偏差が、「+3パーセント」~「-3パーセント」となる=低リスク
  • 標準偏差が、「+10パーセント」~「-10パーセント」のようになる=中リスク
  • 標準偏差が、「+30パーセント」~「-30パーセント」となる=高リスク

のように、数段階に分かれて判断されます(※投資において、ハイリターンを求めれば必ずハイリスクに収れんし、逆に、リスクを低減したい場合、ローリタ-ンを許容する必要があります)。

基本的には、「年齢が若く」「年収が高く」「金融資産残高が多く」「これまでの投資経験が豊富で」「相場の下落時にも”買い足す”」などと回答する場合、リスク許容度は高く診断されます。
人的資産が豊富で、下落への耐性が強い、と判断されるためです。

逆に、「年齢が高く」「年収が低く」「金融資産が小さく」「これまでの投資経験が少なく」「相場の下落時に”売却し、撤退する”」等と回答すると、リスク許容度は低く診断されることとなります。

なお、ロボアドバイザーによっては、投資家自身が、診断されたリスク許容度を、手動で変更できるものもあります。

ロボアドバイザーの診断するリスク許容度について詳しくは、別記事を参照下さい。

(※2)ロボアドバイザーの提案する「最適ポートフォリオ」とは

投資における「ポートフォリオ」とは、異なる銘柄、ないしは、資産クラスの組み合わせを指します。
ロボアドバイザーの場合、個別の銘柄については、上場投資信託等へと投資することによって、既に時価総額加重で分散(ポートフォリオ化)されています。
このため、ロボアドバイザー投資において「ポートフォリオ」という場合、個別の「銘柄」の組み合わせ、というよりは、「株式」「債券」「コモディティ」など、異なる「資産クラス」の組み合わせのことを指すのが一般的です。

現代ポートフォリオ理論において、互いに相関係数が小さい資産クラス(ないしは、銘柄)を組み合わせることによって、

  • リターン(期待収益率)は、「リターンの大きい資産クラス」と「リターンの小さい資産クラス」との、中程度となるが、
  • リスク(標準偏差)については、「リスクの小さい資産クラス」のリスクをも、下回る(=標準偏差が小さくなる)

ことが説明されています。

なぜ、標準偏差が異なる、複数の、互いに相関係数の小さい資産クラスを組み合わせることで、標準偏差が、個々の資産クラスの標準偏差よりも小さくなるのか、というと、要は、互いの値動きが逆行するため、値動きが中和される、という原理に拠ります。

そして、様々な資産クラスを、様々な比率で(例:株式80:債券20:コモディティ10、という組み合わせもあれば、株式50:債券30:コモディティ20、という組み合わせもある)組み合わせのが、「ポートフォリオ」ですが、投資家が合理的な存在である、と仮定すると、「リスク程度が同一ならば、そのうち、もっともリターンの大きいポートフォリオを選択する」ことが自明である、とされています。
この、「同程度のリスクを取る、と仮定したうえで、リターンを最大化するポートフォリオ」が、各リスク許容度における、「最適ポートフォリオ」に該当します。

このため、各投資家の最適ポートフォリオは、それぞれの投資家の「リスク許容度」によって異なります。

また、基本的に、ポートフォリオに占める「株式」の比率が高まれば高まるほど、期待収益率は高まるが、併せて、リスク(標準偏差。ボラティリティとも換言できる)も高まります。
逆に、ポートフォリオに占める「債券」(=株式とは相関係数が低い資産クラスです)の割合が大きくなればなるほど、リスクは小さくなりますが、期待できるリターンも小さくなっていきます。

これらの事情により、

  • 前段の「リスク許容度」が大きい投資家の場合、株式の比率が高く、債券の比率が小さいポートフォリオを「最適である」として提案されますし、
  • 逆に「リスク許容度」の小さい投資家に対しては、ロボアドバイザーは、「株式比率が低く、債券比率が高い」ポートフォリオを、最適ポートフォリオとして提案します。

なお、投資家において、ロボアドバイザーが提案するポートフォリオ内容に対して異見がある場合、「リスク許容度」を手動で調整するなどして、ポートフォリオ内容を変更することが可能とされているケースもあります。

(※3)ロボアドバイザーの取得する銘柄とは

ロボアドバイザー(ここでは、投資一任型)が取得する銘柄は、ロボアドバイザーによって様々ですが、基本的には、

  • ロボアドバイザーが、国内外の投資信託(ないしは、上場投資信託)を取得するか、
  • ロボアドバイザーは、一旦、自社が運用にあたる投資信託(ロボアドバイザー投資家専用の投資信託)を購入し、その投資信託が、国内外の投資信託や株式等を取得したり、先物取引等を行う

という、2種類の分別されます。

前者の代表格としては、国内ロボアドバイザー業界において「大手」と言われることの多い「ウェルスナビ」等が該当します。
ウェルスナビの場合、資産クラス別に、下記の6つ~7つのETFを、具体的な投資対象銘柄としています。

資産クラス 銘柄名 備考
米国株式 VTI 主要組み入れ銘柄には、アップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグルの親会社)、アマゾン、フェイスブック、テスラなどがある。
日本・ヨーロッパ株式(米国を除く先進国株式) VEA 組み入れ上位は、サムスン電子、ネスレ、ロッテ、トヨタ、アストラゼネカなど。
新興国株式(中国企業等) VWO 組み入れ上位銘柄は、台湾セミコンダクター、テンセント、アリババ、中国建設銀行など。
米国債券 AGG 米国財務省が発行する国債等に対して分散投資。
物価連動債 TIP アメリカ合衆国財務省が発行する、物価連動国債に投資。
AGGの場合、インフレーション(物価の上昇)に対して弱い、という弱点があるが、これを補うことが目的。
リスク許容度1、及び2のポートフォリオに対してのみ、組み入れ。
金(きん) GLD 金融危機によって株価が大きく下落する等の「有事」において、むしろ値上がりが期待できる(=株式との相関係数が低い)。
不動産 IYR アメリカの不動産市場に対して分散投資。

(※4)ロボアドバイザーの行う「リバランス」とは

資産運用開始後、取得した銘柄に、値上がり・値下がりが生じると、ポートフォリオの実際の内容が、当初作成した「投資家のリスク許容度に見合った、最適なポートフォリオ」の内容と、乖離してきてしまうことがままあります。
また、投資家自身が年を取ることによって、投資家のリスク許容度は、時間の経過とともに変化します。
すなわち、投資家の加齢によって、当該投資家にとっての「最適なポートフォリオ」もまた、変化することとなります。

こうした「乖離」や「変化」に対応せずに、ポートフォリオを放置してしまうと、

  • 本来は大きなリスクを取るべきではない投資家が、リスクの大きいポートフォリオ(株式系の資産クラスがメインとなるポートフォリオ)を運用することになってしまったり、
  • 逆に、人的資産が大きく、積極的にリスクをとりつつ、リターンの最大化を目指すべき投資家が、保守的なポートフォリオ(債券系の資産クラスがメインのポートフォリオ)を運用してしまったり、

などといった事態が生ずることとなります。

このため、ロボアドバイザーは、

  • 資産運用開始(及び、直近のリバランス)から、一定の期間が経過したり、
  • 市況に、何か大きな急変があった場合、

定期的に、ないしは、臨時で、ポートフォリオの再調整(=リバランス)を実施します。

なお、実施されるリバランスの具体的な内容としては、

  • 値上がり等によって、ポートフォリオに占める割合が、不適当に肥大してしまっている資産クラスを、売却したり、
  • 値下がり等によって、ポートフォリオに占める割合が小さくなってしまっている資産クラスを、買い足す

ことがメインです。

このうち、前者のリバランスにおいては、含み益が生じている資産クラスを売却することで、課税関係が生じるケースがあります。
この際、ロボアドバイザーによっては、含み益の実現に合わせて、相対で、含み損を実現させて、課税額の最適化を図るサービスが提供されていることもあります。

ロボアドバイザーの行うリバランスについて詳しくは、別記事を参照下さい。

ロボアドバイザー投資のメリット

投資家がロボアドバイザーに投資する場合、基本的に、下記のようなメリットに期待することが出来ます。

  • 証券会社の提供する「ラップ口座」(ファンドラップ)等の、有人型の投資一任サービスと比較すれば、手数料(※5)が安い。
  • 確定申告不要の「特定口座(源泉徴収あり)」が利用できるため、税務申告の手間暇が省力出来る。
  • 投資家自身の感情に左右されることなくトレード(売買)が執行されるため、短期的な相場下落等に影響されることなく、投資の王道と言われる「長期投資」が自然と実行できる。
  • ETF等からの分配金は、自動的に再投資されるため、複利効果を得やすい。
  • ETF等を通して、世界経済全体へと、幅広く分散投資を行うことが出来る。
  • 積立投資サービスを提供しているロボアドバイザーが多く、「ドルコスト平均法のメリット」を享受できる。
  • 投資に関する知識が無い投資家でも、自身のリスク許容度の診断、及び、リスク許容度に見合ったポートフォリオの作成を、手軽に、かつ、無料で行うことが出来る。
  • マネーフォワード等の家計簿管理アプリの「自動連携機能」を利用できるロボアドバイザーもある。

(※5)ロボアドバイザーの徴収する手数料とは

「リスク許容度の診断」「(リスク許容度に応じた)最適ポートフォリオの提示」までを行う、「助言型ロボアドバイザー」の場合、手数料無料で利用できますが、その後の「具体的な銘柄の取得」や「リバランス」まで行う、いわゆる「投資一任型ロボアドバイザー」の場合、投資家が、ロボアドバイザー利用のための手数料を支払う必要があります。

投資家がロボアドバイザーに対して支払う手数料の、具体的な料金体系としては、主に、下記の2通りがあります。

  • 資産残高(評価額)に連動する手数料体系
    「預かり資産残高の、〇パーセント相当額を、手数料として徴収」というパターン。
    目下、国内のロボアドバイザー業界においては、主流派と言えます。
    料率はロボアドバイザー事業者によってまちまちですが、概ね、資産評価額の1パーセント程度が相場です。
    投資家からすると、「目安の手数料が、簡単に計算できる」というメリットがある反面、「投資成果がマイナスの場合でも、手数料が発生してしまう」というデメリットがあります。
  • 投資成果(リターン)に連動する手数料体系
    「成果報酬型」等と呼ばれる料金体系です。
    ヘッジファンドなどではよく採用される手数料体系ですが、国内のロボアドバイザー業界においては、採用されているケースは稀です。
    なお、「完全成果報酬型」としているロボアドバイザーのほかに、「預かり資産残高連動」と「成果報酬」とを組み合わせた、ハイブリッド型の手数料体系を敷いているロボアドバイザーもあります。
    なお、成果報酬型の手数料体系の場合、投資家からすると、「リターンに応じて手数料を支払うため、納得感が大きい」というメリットがある反面、「成果部分に対する手数料の料率が高い」というデメリットがあります。

ロボアドバイザーの手数料体系について詳細は、別記事をご覧下さい。

ロボアドバイザー投資の注意点

  • 投資に慣れたユーザーにとっては、使い勝手が悪い。また、リスクをとることを厭わない投資家にとっては、ロボアドバイザーの提唱するポートフォリオ運用には、メリットが感じられない(※6)。
  • ideco(イデコ)と違い、投資金額は、所得控除の対象とはならない。また、つみたてnisaと違い、運用益は非課税とならない(※ただし、NISA口座での買い付けを行う機能を搭載しているロボアドバイザーの場合は別段)。
  • 利回りが事前に決まっていないため、ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングとは違い、収益の見込みを立てづらい。
  • 積立投資を行わず、資金を一括で投下したほうが、最終的なリターンが大きくなる可能性がある。
  • 数点の質問だけで、各投資家の「真の」リスク許容度を診断できるのか、という疑義がある。
  • ロボアドバイザー事業者と投資家との間で、利益の不一致が生じる恐れがある(※7)。
  • ロボアドバイザーが得意とするリバランスによって、却って、課税関係が生じたり、(株式系ETFの複数回に渡る売却等で)最終的なリターンがむしろ低下してしまう恐れがある。
  • 投資一任型ロボアドバイザーの大半で、一般NISA、及び、つみたてNISAの非課税枠が利用できない。

(※6)リスクを厭わない投資家にとって、ロボアドバイザー活用のメリットが希薄な理由

ロボアドバイザーが投資対象としているETFの多くは、(多少の経費率上昇を厭わなければ)投資家自身が、証券会社等を通じて購入できるものばかりです。
ただし、各投資家において、

  • 自身のリスク許容度を算定したり、
  • そのリスク許容度に応じた、最適ポートフォリオを作成したり、
  • 資産運用の過程で、適宜のリバランスを行う、

といった作業は、なかなか煩雑です。

逆に言えば、「複数の資産クラスを組み合わせた、ポートフォリオを作成し、そのポートフォリオに基づいて運用をすること」及び「適宜、リバランスを実施すること」こそが、ロボアドバイザーの優位性の根拠となります。
では、「複数の資産クラスを組み合わせた運用」を、なぜ、わざわざ、しなければならないか、というと、それは、投資ポートフォリオ全体のリスク(=収益の標準偏差)を押し下げるため、です。

ロボアドバイザーの多くは、投資の具体的なリターンの源泉としては、米国株式を中心とした、先進国株式、及び、中国企業等を中心とした、新興国株式を挙げています。
すなわち、純粋に、投資のリターンの事だけを考えれば、資産クラスの分散など考慮せず、ただひたすら、米国を中心とした先進国株式、及び、中国・台湾等を中心とした、新興国株式のインデックス(に連動するETF)を購入していればよい、ということとなります。

しかし、その場合の課題は、リスク(=標準偏差。ボラティリティ、とも換言できます)が大きい、ということです。
基本的に、投資のリターン(期待収益率の平均)が大きい資産クラスや銘柄は、リスク(ボラティリティ)も大きい、というのが大原則であるから、です。

ロボアドバイザーの多くが理論的な根拠としている「現代ポートフォリオ理論」では、「全ての投資家は、リスクを嫌う(=ボラティリティを恐れる)」と仮定されています。
そこで、ロボアドバイザーは、先進国株式とは基本的に相関関係が小さい(=相関係数が低い)資産クラスと知られる「債券」や「金」などといった資産クラスに対して、資金を分散投資することで、ポートフォリオのボラティリティ(リスク)を下げているわけです。

リターン リスク(標準偏差)
株式 10パーセント 10パーセント
債券 2パーセント 5パーセント


※数値は仮定

例えば、上記の2つの資産クラス(株式と債券)があったとします。
また、2つの資産クラスの間には、負の相関関係(一方が上がれば、もう一方は下がる)がある、と仮定します。

この場合、2つの資産クラスを、ちょうど半分ずつ、組み合わせたポートフォリオを作成すると、

  • そのポートフォリオのリターンは、両者の平均程度(6パーセント程度)となりますが、
  • リスク(標準偏差)は、債券の標準偏差をも下回り、2~3パーセント程度となります。

なぜ、このような事態が生ずるか、というと、互いの相関係数が小さい関係で、お互いの値動き(値上がり・値下がり)が打ち消され、結果として、極めてボラティリティの小さい(=リスクの小さい)値動きとなるため、です。

これは、現代ポートフォリオ理論において、「リスクを嫌う」と仮定されている投資家にとっては、確かにメリットと言えます。
しかし、「全ての投資家がリスクを嫌う」とは、必ずしも言い切れないのが実情です。

特に、「決まった期限で換金する予定はないため、一時的な相場下落は問題ない。大きく値上がり・値下がりを繰り返しながら、数十年単位で、年率換算(平均)で10パーセント程度の、高い利回りを収受してほしい」と考えている投資家にとっては、上記のような組み合わせ(債券をポートフォリオに組み入れる)は、デメリットしかありません(標準偏差は確かに下がるが、その引き換えに、リターンが低減してしまう)。

リスクを厭わず、(投資している)資産の評価額が、時には元本の半分程度となったとしても「全く気にしない」という投資家にとっては、現代ポートフォリオ理論の提唱するポートフォリオ運用は、メリットがありません。
すなわち、こうした投資家にとっては、ロボアドバイザー活用には、メリットがありません。

(※7)ロボアドバイザー事業者と投資家との間での、利益の不一致とは

例えば、「預かり資産残高の1パーセント相当の手数料を徴収する」としているロボアドバイザー事業者がある、と仮定します。
そして、そのロボアドバイザー事業者が、第三者割当増資によって、1億円の資金調達を行った、とします。
また、このロボアドバイザー事業者は、

  • 1億円全額を、自身の投資アルゴリズム改善に費やしてもいいし、
  • はたまた、1億円全額を、新たな投資家獲得のための広告宣伝費に投下しても良い、

とします。

この場合、既存の投資家、及び、ロボアドバイザー事業者にとっては、それぞれ、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

アルゴリズム開発 広告宣伝
既存投資家 自身が預けている資産が、増えるかもしれない。 既存投資家からすれば、新規投資家が増えたところで、特にメリットは(少なくとも、短期的には)ない。(※)
ロボアドバイザー事業者 開発したアルゴリズムが、真に投資成績を上向かせてくれるかは、定かではない。株式市況等の外部要因が悪化した場合、アルゴリズムの良悪に関わらず、リターンが低下することもある。 新規投資家が増えれば、当然、新規預かり資産も増える。ひいては、預かり資産残高に連動し、自身の手数料収入も確実の増加する。


(※)中長期的には、広告宣伝によって新規投資家が増えることで、ロボアドバイザー事業者の経営が安定化し、手数料の引き下げなど、投資家への還元策が実施される可能性もありますが、ここでは一旦考慮外とします。

このように、1億円程度の資金の使い道ひとつをとっても、ロボアドバイザー事業者と、既存投資家との間には、利益不一致が生じる可能性があります。

さらに、そのロボアドバイザー事業者が、上場企業である場合、その企業の株主の意向に対しても、配慮が必要となります。
例えば、ロボアドバイザー事業者に税引き後純利益が生じた場合、そのロボアドバイザー・サービスを利用している個人投資家としては、その利益を、今後のための研究開発費に活用してほしい、と考えるかもしれません。
一方、そのロボアドバイザー運営会社の株式を保有している機関投資家は、残余利益の配当を要求してくる可能性もあります。

こうした、ロボアドバイザー投資の問題点について詳しくは、別記事をご覧下さい。

ロボアドバイザーを用いた積立投資とは

ロボアドバイザーを用いた積立投資とは
国内のロボアドバイザー事業者の大半が、投資家の銀行口座から、毎月定期的に資金を引き落とし、その資金で追加投資を行う、「積立投資」機能を提供しています。中には、積立投資の設定を条件とした、プレゼントキャンペーンを開催しているケースもあります。
画像引用元:ウェルスナビ

国内のロボアドバイザー事業者の多くが、投資家の銀行口座等から、資金を定期的に(例:毎月1回)引き落とし、その資金で、ETF等の投資対象銘柄を追加取得する「積立投資」機能を提供しています。

ロボアドバイザー事業者各社の積立投資への取り組み状況

国内主要ロボアドバイザー事業者各社の、積立投資機能の有無等については、下記のようになります。

ロボアドバイザー事業者 積立投資可否・概要
ウェルスナビ 積立投資機能を提供している。また、引き落とし手数料は無料。1ヶ月の間に複数回の引き落とし・積立を設定することも可能。積立額は1万円から(WealthNavi for ネオモバの場合は、5千円から)。
ウェルスナビによれば、ユーザーの半数以上が、積立投資機能を利用している。
テオ(THEO) 積立投資可。なお、積立額は、1万円以上1,000円単位で設定できる。
積立日は、毎月6日、12日、20日、26日の4つの中から選択できる。
テオ(THEO)側への入金は、引き落とし日の3営業日後。
楽ラップ 積立投資機能提供済。なお、積立額の設定は、1万円以上1円単位で可能。積立日は、毎月10日、ないしは、25日のどちらか。
ON COMPASS 積立投資が可能。「毎月積立」の場合、積み立て額は、1,000円以上・1,000円単位で設定できる。また、ボーナス月に積立額を増やす、「増額積立」の設定も、年に2回まで、行うことが出来る。その他、「スポット追加投資」も可能。
LINEスマート投資 毎週500円からの積立投資が可。なお、積立額は、500円から最大10万円まで、500円単位で選択できる。
FOLIO ROBO PRO 2021年4月に、積立投資機能の提供開始を発表。
毎月の積立額は、1万円から500万円の範囲で、任意に設定できる。
SUSTEN(サステン) 積立は、毎月1万円から。ボーナス月の積立額は、別途設定可。また、積立のための引き落とし手数料は無料。
ダイワファンドラップオンライン 積立投資可。毎月の積立額は、1万円以上、1円単位で設定できる。ボーナス月の積立額は別途設定可。
らくらく投資 積立投資機能が提供されている。また、積立の決済には、楽天カードが利用できる。
マネックスアドバイザー 積立投資機能は、毎月1万円から利用できる。「スマート積立」機能によって、積立額を利用したリバランスも実施出来る。
Wealth Wing 積立投資可。積立額は1万円から設定できる。銀行引き落とし日は概ね毎月下旬で、1週間程度で入金反映が為される。
投信工房 積立額の設定は、1回100円から可。積立の具体的なペースは、「毎日・毎週・毎月」から選択できる。


情報引用日:2021年8月27日

ロボアドバイザーによる積立投資のメリット

ロボアドバイザー事業者の提供する積立投資機能を利用する場合、投資家としては、下記のようなメリットに期待できることとなります。

「ドルコスト平均法」によって取得単価を平均化し、”高値掴み”を防ぐ

ロボアドバイザーの積立投資機能の場合、

  • 1回の積立で、(取得対象となるETF等を)「どの程度の量」取得するか、を設定するのではなく、
  • 1回の積立で、「いくら分」投資を行うか、を設定するものです。

すなわち、「定量」の買い付けではなく、「定額」の買い付けを行うのが、ロボアドバイザーの自動積立投資の基本的な仕組みです。

このため、

  • 値上がりによって、取得対象資産(例:投資信託)の1口あたり単価が高い場合は、「少なく」購入し、
  • 逆に、値下がりによって、取得対象資産の単価が安い場合は「多く」購入する、ことによって、

取得対象資産の購入価額を「平均化」することが出来ます。

これが、いわゆる「ドルコスト平均法」の仕組みにあたり、その最大のメリットとしては、「資産の”高値掴み”を回避できる」という点です。

例えば、日経平均株価は、1989年12月29日に、「史上最高値」である、3万8,915円をつけましたが、その後、バブルが崩壊し、長期の低迷期に突入します。
2021年8月26日現在、依然として、上記の「史上最高値」は更新されていませんから、仮に、1989年12月29日当日に、投資用資産の全額を、日経平均に対して連動する投資信託等に投資した投資家がいた、とすると、その投資家のポートフォリオは、今でも尚、元本割れの状態を継続しています。

逆に、イラク戦争開始直後の、2003年4月頃(4月28日に、日経平均は、7,607円を付けました)や、リーマン・ショック直後の2008年10月(同月27日に、日経平均は、7,162円を付け、バブル後の最安値を更新しました)に、日経平均を全力で購入した投資家の資産は、今や、3倍以上の評価額(2021年8月26日現在、日経平均株価は2万7千円強)をつけていることとなります。

このように、投資において、いかに「タイミング」が重要であるか、は、理解に難くありません。

ロボアドバイザーの提供している「積立投資」を利用すれば、

  • 「安値で一気に購入する」というチャンスは、放棄することとなりますが(※いずれにせよ、安値での一括投資は、プロ投資家でもあっても、難度が極めて高い物です。「買い時」を正確に判断することは、将来価格を正確に予測することと概ね同義であり、困難です)、
  • その代わりに、「高値掴み」をしてしまうリスクを低減させる、

という効果があります。

積立と合わせて、「課税関係の生じない」リバランスを実施出来る

ロボアドバイザーの実施するリバランスには、

  • 課税関係の生じるものと、
  • 課税関係が生じないもの

の、2種類があります。

要は、資産の売却を伴うリバランスの場合、値上がりしている銘柄を売却することによって、含み損が実現してしまい、課税関係が生じるリスクがありますが、資産の売却を伴わない、「買い付け」のみに拠るリバランスの場合、この懸念がありません。

ロボアドバイザーの中には、この特性を生かして、積立投資に伴う買い付けの際に、

  • 最適ポートフォリオの割合をそのままに、資産買い付けを行うのではなく、
  • ポートフォリオに占める割合が上昇している資産クラス銘柄は、追加購入せず、
  • 値下がり等によって、ポートフォリオに占める割合が、相対的に低下してしまっている資産クラス銘柄を中心に、追加買い付けを行うことによって、

積立投資による追加購入が終わった「後」のポートフォリオを、最適ポートフォリオに近づける、「積立投資リバランス」を実施してくれるサービスも存在します。

この場合、「リバランス」の中でも、「課税関係の生じない」リバランスに該当するため、課税によって投資利益が目減りしてしまうリスクはありません。

また、積立投資に伴う、「課税関係なし」のリバランスを定期的に行うことで、「半年に一度」「一年に一度」といった頻度でロボアドバイザーが行う、「課税関係あり」のリバランス(=値上がり資産の売却を伴うリバランス)の程度を、最小限にとどめることが出来る、というメリットも期待されます。

ロボアドバイザー事業者の多くが、引き落とし手数料を無料としている

ロボアドバイザー事業者が、投資家の指定する銀行口座から、積立投資額を引き落とす場合、基本的に、ロボアドバイザー事業者は、集金代行サービサー等に対し、口座振替手数料等を支払っているものと思料されます。
しかしながら、国内ロボアドバイザー事業者の多くが、積立投資のための引き落とし手数料について、無料(=ロボアドバイザー事業者側が負担)としています。

国内ロボアドバイザー業界大手「ウェルスナビ」の運営会社が発表した、2021年12月期第2四半期決算説明資料によれば、

  • 2021年6月30日時点で、運用者数(1円以上の預かり資産がある顧客)は28万人強に達しており、
  • 預かり有価証券の残高がある口座数のうち、69パーセントの口座で、積立投資の設定が為されており、
  • 積立設定のある口座の、平均積立設定金額は、2021年6月時点で、4.4万円

とのこと。

毎月、10万人を超える顧客の銀行口座から、積立投資のための資金を引き落とすための手数料は、相当なものとなると推察されますが、積立投資額に応じた手数料収入増(年率換算で1パーセント)によって、これを吸収しているものと思料されます。

投資家が自分で(手動で)積立投資をするよりも、手間暇がかからず、楽(らく)

投資家が、積立投資による時間リスクの分散メリットを理解していたとしても、投資家自身が、自力で(手動で)、毎月定期的に積立投資を行う場合、一定の労力が必要となります。

作業にかかる直接的な時間コストのほかに、

  • 積立投資後のポートフォリオの内訳を最適に保つために、どのような資産銘柄を、どの程度購入するのか、の検討が必要ですし、
  • 「買い時」の判断にも、悩まされることとなります(例:毎月20日に積立投資を手動で行っている投資家がいた、として、当月20日時点の株価が高く見える場合、「あと数日待って、もう少し株価が下がってから、積立投資をしたほうがいいのではないか」等と、逡巡することとなります)。

ロボアドバイザーに任せ、自動的に積立投資を行う場合、上記のような、時間的な、並びに、精神的なコストを支払う必要はなくなります。

積立投資の設定を条件に、プレゼントキャンペーンを開催しているロボアドバイザーもある

国内のロボアドバイザー事業者の中には、投資家に向けて、積立投資機能の新規利用を条件に、何らかのプレゼントを提供する「キャンペーン」を開催している事例もあります。

例えばウェルスナビの場合、

  • 3か月連続で、積立投資サービスを利用した、新規ユーザー向けに、
  • 1か月あたりの積立額に応じて、最大で15,000円をプレゼントする、

キャンペーンを開催しています。


参考:
積立開始プログラム : WealthNavi

ロボアドバイザーによる積立投資のデメリット

上記したように、ロボアドバイザーを活用した積立投資には、投資家の目線から見て、様々なメリットがありますが、同時に、下記するように、複数のデメリットに対しても、留意が必要です。

積立投資の場合、投資資金全額が運用に回るまでに時間がかかる

積立投資は、「投資を始めてみたいが、すぐにまとまった資金を用意することが難しい」という投資家層にとっては、確かに、メリットがあります。
たとえ少額ずつであっても、資産を投資に回す「時期」を早めることで、少しでも早めに、分配金再投資による複利メリット等の享受を始めたほうが、中長期的には、投資家にとって有利となる可能性があるため、です。

しかしながら、既にまとまった投資資金がある、富裕層投資家にとっては、積立投資には、重大な欠点があります。
それは、積立投資を行う場合、一括投資と単純比較すると、投資可能な資金全額が投資運用に回るまでの間に、非常に長い時間がかかる、という点です。

例えば、1,000万円の投資用資金がある投資家の場合、

  • 資金を一括で投資すれば、早ければその数日後には、ロボアドバイザーによる資産運用が、1,000万円全体に対して、開始されますが、
  • 「毎月5万円ずつ」の積立投資とする場合、資金全額が投資運用に回されるまでに、16年以上の歳月がかかる(1,000万円÷5万円×12ヶ月=16.666…)こととなります。

積立投資された金額がロボアドバイザー側に反映されるまでに、数日の時差がある

積立投資サービスを提供しているロボアドバイザーの大半で、

  • 投資家の銀行口座から、積立投資のための資金が引き落とされてから、
  • その資金がロボアドバイザー側に入金され、実際に運用(=その資金を利用して、ETF等の購入が行われる)が開始となるまでに、

短くとも、数日程度の時差(タイムラグ)があります。

積立投資に利用されている、口座振替サービスの場合、銀行と、ロボアドバイザー事業者との間に、「集金代行業者」が仲介することが一般的であり、この集金代行業者が、引き落とし額を確認し、かつ、その資金をロボアドバイザー事業者に対して送金するまでに、一定の処理時間を要するため、です。

日頃から、ロボアドバイザーの投資対象ETF等の値動きを気にしている投資家の場合、
「口座引き落としが為された日は、ETFが割安だったのに、その後、数日待っている間に、割高な水準となってしまった」
等と、歯がゆい思いをすることもありましょう。

積立投資で追加取得する資産クラス・銘柄は選べない

積立投資のために銀行口座から引き落とされた資金で、どのような資産クラスの、どの銘柄(ETF等)を購入するか、は、ロボアドバイザー側が自動的に算出・判断します。
基本的に、ロボアドバイザーは、「積立投資後のポートフォリオが、各投資家の最適ポートフォリオに近づくように、」買い付けを行います。

  • 例えば、投資家が、「今は、株式系のETFが割安圏にあるから、積立投資した資金で、株式系のETFを追加取得するべきだ」と考えていたとしても、
  • ロボアドバイザーが、「ポートフォリオを、最適ポートフォリオに近づけるためには、株式系ではなく、債券系のETFを追加購入するべきだ」と考える場合、

積立投資用の資金で購入されるのは、債券系の投資信託となります。

ロボアドバイザーの場合、積立投資と一括投資の、どちらがいいのか

ロボアドバイザー投資家の間で、

  • 資金を一気に投下する、「一括投資」と、
  • 資金を逐次的に投入する、「積立投資」のうち、

果たして、どちらのほうが良いのか、という点は、議論が分かれるポイントです。

「一括投資」及び「積立投資」の、メリット・デメリットを、簡易的に早見表にすると、概ね、下記のようになります。

メリット デメリット
一括投資
  • 投資可能な資金の全量を、早期に運用に回すことが出来るため、分配金の再投資等による、複利効果を、最大化できる。
  • 相場が一段高となる直前の、「押し目」で、投資対象銘柄を多量に取得することが出来れば、その後の値上がり幅が大きくなる。
「買い時」の判断を正確に行うことは、プロ投資家であっても難しい。逆に、判断を誤れば、取得した資産の評価額が、長期にわたり元本割れしてしまうような事態にもなりかねない(例:バブル崩壊直前に、日経平均に連動するインデックス型投資信託を多量に買い付けた場合、等)。
積立投資
  • 「高い時には少なく買い」「安い時には多く買う」という、ドルコスト平均法を活用することにより、投資対象銘柄の取得単価を平均化できる。
  • 「買い時」の判断に迷わされることなく、淡々と、投資資産の積み上げを図ることが出来る。
  • 投資可能な資産全体が投資・運用に回るまで、長い期間を要することとなる。
  • 「買い時」の見極めに成功した一括投資ユーザーと単純比較すると、投資のリターンが低くなる。

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ロボアドバイザー検証チーム
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