ロボアドバイザーのメリット・デメリットとは|投資一任型・助言型ロボアドバイザーのリスク・仕組みから徹底解説

ロボアドバイザーとは

ロボアドバイザーは、投資家が、オンライン上、ないしはスマートフォン向けアプリ上で、簡単な質問に回答することによって、

  • 各投資家の投資目的や資産状況に応じた「リスク許容度」が自動的に算定され、
  • そのリスク許容度に見合う、複数の資産クラス(株式や債券、コモディティ等)を組み合わせた「ポートフォリオ」が提案され、
  • 投資家が、その提案内容を受け入れる決定をすれば、ポートフォリオを構成するために必要な銘柄の取得(購入)や、適宜のリバランス、さらには、支払う税金の最適化に必要な作業等を、プログラムが自動で提供してくれる、

インターネット上(ないしは、アプリ上)のサービスの事を指します。

国内で提供されているロボアドバイザー・サービスには、

  • 投資家の投資目的・資産状況を踏まえた「リスク許容度」に応じた、最適なポートフォリオの提案まで、をサービスとして提供する、「助言型ロボアドバイザー」と、
  • ポートフォリオ内容に沿った銘柄購入・リバランス・税金最適化作業等まで行う、「一任型ロボアドバイザー」がありますが、

このうち、特に後者のサービスは、「資産運用に興味はあり、かつ、老後の生活資金等を考慮すれば、資産運用の必要性は重々理解しているけれど、投資のために勉強したり、実際に銘柄購入などの作業を行うような時間・労力をかけることが、難しい」という、いわゆる”現役世代投資家”にとって、様々なメリットのあるサービスとして、近年、大きな人気を集めています。

ロボアドバイザーの仕組み

投資家がロボアドバイザーに投資する場合、その仕組みとしては、主に下記のようになっています(※一任型ロボアドバイザーの場合)。

  1. 投資家が、ロボアドバイザー側の発する質問に対して回答を行う。ロボアドバイザーは、投資家の回答に応じて、各投資家の「リスク許容度」を算定・診断する。
  2. ロボアドバイザーから、「リスク許容度」に応じた、ポートフォリオの提案が行われる。
  3. 投資家がポートフォリオ内容に同意すれば、ロボアドバイザーが、ポートフォリオの内容に沿った銘柄購入を行う。
  4. 各銘柄の値上がり・値下げなどによって、ポートフォリオが崩れてきたら、ロボアドバイザーが自動的にリバランスを行う。
  5. 上記のリバランスの際には、必要に応じて、値上がりしている銘柄の売却益を、値下がりしている銘柄の売却損で打ち消す、「税金最適化」処理などが行われる。

それぞれ、詳しく見て参りましょう。

ロボアドバイザーの発する質問への回答(リスク許容度の算定)

投資家がロボアドバイザーを利用する場合、まずは利用開始前に、ロボアドバイザー側の発する複数の質問に対して、オンラインで回答する必要があります。
これらの質問は、各投資家の「リスク許容度」(※)を算定するために用いられます。

(※)リスク許容度とは

基本的に、大きなリターンを求めれば、それだけ、大きなリスクを背負うこととなります。
また逆に、リスクを背負うことを忌避すれば、期待できるリターンも小さくなります。
合理的な投資家は全て、「許容し得るリスクの範囲内で、出来るだけ大きなリターンを得たい」と考えますが、実際に自分がどの程度のリスクを許容する能力(人的資産も含めた資本力)があるかを、客観的に把握することは難しいものです。
ロボアドバイザーは、投資家の回答内容(資産の状況や年収、投資の目的、年齢等)に応じて、3段階~9段階程度の「リスク許容度」を、各投資家別に自動的に算定します。

リスク許容度が大きければ大きいほど、ハイリスク・ハイリターン(=下落した場合の下げ幅は大きいが、上昇相場に入ったときの増加幅も大きい)なポートフォリオが提案され、逆に、リスク許容度が小さければ小さいほど、ローリスク・ローリターン(=想定される下落幅は大きくないが、その分、たとえ市場が上昇に転じたとしても、資産の増加幅が小さい)なポートフォリオが提案されることとなります。

ロボアドバイザーが投資家に対して発する各質問項目の内容としては、下記のような物があります。

  • 投資家の年齢
    基本的に、年齢が若ければ若いほど、人的資産(その人が今後生涯にわたって稼ぐことのできる給与所得等の総額)が大きいため、リスク許容度は大きく算定されます。
    年齢が高い投資家の場合、今後収入を得ることが出来る期間が短いほか、相場が短期的に大きく下落した場合、その下落に伴う損失を取り戻すための時間(相場の急落が生じると、その後、急落前の水準を取り戻すまでに、数年単位の期間を要することもあります)が残されていないケースもあるため、必然的に、リスク許容度は小さく見積もられることとなります。
  • 投資家の収入(年収)
    年収が高ければ高いほど、その後生涯にわたって稼ぐことの出来る収入量が多い、と解釈されるため、リスク許容度は高く見積もられます。
    年収が少ない場合、相場の下落に耐えうるほどの定期・安定収入量が無い(=相場の急落に伴い、保有資産が大幅に目減りしてしまうと、追加投資をやめ、資産運用自体を中止してしまう可能性が高い)、と判断される関係上、リスク許容度は、必然的に低く算定されます。
  • 投資家の資産残高
    資産量が多ければ多いほど、相場が下落し損失が生じたとしても、その損失を許容できる「幅」が大きいものとして、リスク許容度は高く算定されます。
    資産が少ない投資家の場合、わずかな相場下落が、投資家の資産残高に大きな影響を及ぼしてしまうリスクがあるため、リスク許容度は小さめに見積もられます。
  • 投資家の「投資目的」
    余裕資金の運用、及び「長期投資」を前提としている投資家の場合は、リスク許容度が高く見積もられる傾向があります。
    逆に、退職後の資産運用を目的としている場合や、短期での資産運用を志向している投資家の場合、リスク許容度は低く算定されます。
  • 相場急落時の対応
    「株式市場が急落した場合、株式を買い足しますか?それとも、市場から撤退しますか?」などという質問が投げかけられることもあります。
    これは、投資家の、市場下落に対する(主に心理的な)耐性を測るための質問であり、相場急落時に買い増しするような投資家については、「リスク許容度が高い」と判断されます。
    逆に、相場急落時に投資資産の早期売却を志向する投資家の場合、「(下落に対する耐性が低く)リスク許容度が小さい」と算定されることとなります。

ロボアドバイザーのリスク許容度診断について詳しくは、左記の別記事を参照下さい。

ロボアドバイザーから、ポートフォリオの提案を受ける

ロボアドバイザーからの質問への回答が終わると、ロボアドバイザー側が投資家のリスク許容度を診断し、各投資家のリスク許容度に合った(=取り得るリスクの中で、リターンを最大化し得る、有効フロンティア上の、)ポートフォリオを提案します。

ポートフォリオは、互いに相関性(※)の低い、下記のような資産クラスが組み合わせられていることが一般的です。

(※)相関性とは

ロボアドバイザーの行うポートフォリオ運用の主な目的は、資産の分散投資です。
そして、分散投資の目的は、「リターンの水準を可能な限り維持しながら、リスクを低減させること」です。
これを実現するためには、互いの相関性の低い資産クラスを組み合わせることが効果的、とされています。

例えば、日本の株式市場の平均株価は、米国の株式市場の影響を受けやすい、とされています(=米国株が下落すると、日本株も下落しやすい)。
投資家が、米国株と日本株だけに投資している場合、互いの相関性が高い資産クラスであるため、市況が悪化すると、資産全体が大きく目減りしてしまうリスクがあります(=米国株が下落すると、それに連動するようにして、日本株も下落し、結果的に資産全体が大きく下落する)。

これに対して、例えば、債券投資(国や企業が資金調達を行う際に発行する債券への投資)の場合、株式とは相関性が低い、と言われています。金などのコモディティも同様です。

このため、株式と合わせて、債券や金などを投資対象としてポートフォリオに組み入れておくことで、たとえ、一時的な相場急変が生じたとしても、そのショックを軽減させることが期待できます。

  • 米国株式
    世界の経済成長の中心地であるアメリカの各企業の株式。
    なお、一言に「米国株」といっても、アップルやフェイスブック、アマゾン等の大型株から、中型・小型株まで様々ですが、基本的には、幅広く米国株式市場の銘柄全体に対して投資できる、投資信託やETF(上場投資信託)が投資対象とされることが一般的です。
  • 日欧株
    ヨーロッパ(主に西欧)企業、及び、日本企業の株式に相当します。
    米国株式と相関性の強い資産クラスですが、アメリカとの間で、一応、地理的な隔たりがありますので、一定程度の分散効果が期待されています。
  • 新興国株
    中国やインド、ブラジルなどといった、経済新興国の株式にあたります。
    株式クラスである分、米国株式や日欧株との相関性は低くありませんが、やはり、地理的な分散効果が期待されています。
    また、新興国株式の場合、同国の急激な経済発展によって、急速に評価額が向上するケースがあります。
    このため、一定程度の資産を投資しておかないと、「世界経済全体の発展から利益を享受する」という、分散投資のメリットを享受し損ねるリスクがあります。
  • 米国債券
    米国政府が発行する債券などに対して投資する資産クラス。
    米国株式などが下落した場合でも、債券についてはその影響を受けない(=相関性が低い)ケースもあり、高い分散効果が期待されています。
  • コモディティ
    金(ゴールド)などの実物資産。株式との間で相関性が低い(=分散効果が高い)、という特徴があるほか、インフレーションに強い(通貨の価値が下落した場合でも、金の価値は維持されやすい)、という特徴があります。

上記のような資産クラスを、ポートフォリオ全体の中で、どのような割合で振り分けるか(例えば、全体に占める株式の比率を高くするのか、それとも、債券の比率を多めにするのか、等)、は、前段で算出された「リスク許容度」に拠ります。
基本的には、リスク許容度が高ければ高いほど、ポートフォリオ内における株式の比率が高まります。
逆に、リスク許容度の低い投資家向けのポートフォリオにおいては、株式の比率が低く、債券の占める割合が多くなることが一般的です。

ロボアドバイザーが、ポートフォリオの内容に沿った銘柄購入を自動的に行う

投資家が、ロボアドバイザーによって提案されたポートフォリオ内容に同意し、かつ、ロボアドバイザーの定める最低投資金額を送金すると、(一任型のロボアドバイザーの場合は、)ロボアドバイザーが自動的に、ポートフォリオ内容に沿った銘柄購入を執行します。

各資産クラス向けの購入銘柄(投資信託・ETF)は、ロボアドバイザーによって様々ですが、一例として、国内ロボアドバイザー業界大手「ウェルスナビ」の、資産クラス別の購入銘柄(ETF)を確認してみましょう。

資産クラス 銘柄(ETF) 特徴
米国株式 VTI Vanguard Total Stock Market Index Fundの略称。
アメリカの証券会社大手「バンガード」が提供しているETF(上場投資信託)であり、米国株式市場全体(3,500以上の株式銘柄)を投資対象としており、各社の時価総額に応じてウェートが調整されています。
組み入れ上位銘柄には、スマートフォン開発などで知られるアップル社や、マイクロソフト、アマゾン・ドットコム、フェイスブックなどが並びます。
日欧株 VEA 西ヨーロッパ、並びにアジア太平洋地域の各社株式を投資対象としており、組み入れ銘柄数は3,900を超えています。
組み入れ銘柄上位には、サムスン電子やネスレ、ロッテ・ホールディング、豊田自動車、アストラゼネカなどが並びます。
新興国株 VWO 中国や、ブラジル、台湾、南アフリカなどの、新興国に所在する企業群を投資対象としています。
組み入れ銘柄数は5,000件以上で、組み入れ上位銘柄には、台湾セミコンダクターやテンセント、アリババグループ、中国建設銀行などがあります。
米国債券 AGG iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF。
米国投資適格債券市場全般を表す指数と同等水準の投資成果を目指す投資信託であり、保有銘柄数は9,600件以上。
アメリカ合衆国財務省(UNITED STATES TREASURY)が発行体とされる銘柄が、組み入れ全体の30パーセント強に達しています。

ロボアドバイザーの行うリバランス

運用開始後、何らかの要因で、初期に設定されたポートフォリオからの乖離が発生すると、ロボアドバイザー側が自動的にリバランスを実施します。
ロボアドバイザーが行うリバランスには、基本的に、以下の4種があります。

  • 定期的なリバランス
    ロボアドバイザー各社は、「半年に1度」「1年に一度」などとスケジュールを定めたうえで、定期的にリバランスを実施します。
    実施されるリバランスの内容としては、初期のポートフォリオ設定時と比較して値上がりしている(=ポートフォリオに占める割合が増加している)資産クラスを売却し、値下がりしている(=ポートフォリオに占める割合が、本来よりも低下している)資産クラスを買い足す、という処理になります。
    値上がり資産の売却によって、課税関係が生じる可能性があります。
  • 臨時のリバランス
    定期的なリバランス以外に、市況が急変した場合に、臨時でリバランスを行う機能が搭載されたロボアドバイザーもあります。
    一般的には、株式市場が急落した際に、一時的に株式のシェアを低くし、債券などの資産クラスの割合を高くする、という処理が行われることとなります。
  • 積立に伴うリバランス
    国内で展開されているロボアドバイザー・サービスの中には、定期的な積立投資に対応しているサービスが複数あります。
    積立によって追加された資金でどの資産クラスを購入するか、は、ロボアドバイザーが判断しますが、この際、ポートフォリオに占める割合が低下している資産クラスを追加購入することによって、ポートフォリオを適正に保つリバランスが実施されることがあります。
    この場合、資産の売却はありませんから、課税関係は生じません。
  • 一部出金に伴うリバランス
    投資家からの申請に応じて、投資資金の一部出金を行う場合にも、自動的にリバランスが実施されることがあります。
    具体的には、投資家からの出金要請に応じての売却を、ポートフォリオに占める割合が本来よりも増大している資産クラスを中心に行うことによって、出金処理後のポートフォリオが、リスク許容度に沿った適正な内容となるよう、自動的にリバランスが実施されることとなります。

ロボアドバイザーの行うリバランスについてより詳しくは、別記事をご覧下さい。

ロボアドバイザーによる、税金最適化処理

資産クラス、ないしは銘柄ごとに、含み益(ETFの取得時と比べて、ETFの価額が向上している場合等)が生じている場合、これが実現(=売却によって、含み損が実際の利益として実現すること)すると、約20パーセント程度の所得税が生じることとなります。
ロボアドバイザーの中には、含み益の実現に合わせて、逆に含み損の生じている資産クラスを売却することによって、含み損を実現させ、その損失を、実現利益に対してぶつける(=相殺する)ことで、納税額を節税する、「税金最適化」の機能が搭載されているものもあります。

ロボアドバイザーの種類

国内で提供されているロボアドバイザーは、

  • 最適ポートフォリオ、並びに、ポートフォリオに沿った推奨銘柄の提案のみを行う、助言型のロボアドバイザーと、
  • ポートフォリオ内容に沿った銘柄購入・リバランス、更には、税金最適化まで、一括して(ワンストップで)行う、一任型のロボアドバイザー・サービスに、

大別されます。

助言型ロボアドバイザーの特徴

助言型ロボアドバイザーの多くは無料で利用することが出来、

  • 各投資家が、自身の年収や資産量、投資目的等に応じた「リスク許容度」を確認することが出来るうえ、
  • 算定されたリスク許容度に合った、最適なポートフォリオ内容を確認し、
  • かつ、そのポートフォリオを実現するために必要な(推奨される)投資信託銘柄等を把握するために、

役立てることが出来ます。

また、助言型ロボアドバイザーの中には、「投信工房」など、提案されたポートフォリオに合致する投資信託を、オンラインで一括購入できるサービスが付帯提供されているケースもあります。

中にはユーザー登録すら不要で利用できる助言型ロボアドバイザーもあり、気軽に利用できる、というメリットがある反面、実際の投資(銘柄の購入やリバランス)は、原則として投資家自身が行わねばならず、手間がかかる、というデメリットがあります。

一任型ロボアドバイザーの特徴

ポートフォリオの提案に留まらず、そのポートフォリオ内容に沿った、具体的な銘柄購入・リバランスまで行ってくれるのが、一任型のロボアドバイザーです。
投資家においては、資産運用の大半の実務を丸投げ出来る、というメリットがある反面、投資信託の信託報酬(経費)とは別に、ロボアドバイザー・サービスの運営会社に対して、1パーセント程度の手数料を支払う必要がある、というデメリットもあります。

主要ロボアドバイザー・サービス一覧

日本国内には、現在、投資一任型・助言型を合わせると、10社以上のロボアドバイザー・サービスが提供されています。
そのうちの一例としては、下記のような事業者・ロボアドバイザーがあります。

タイプ サービス名 運営会社
投資一任型 WealthNavi ウェルスナビ株式会社
投資一任型 THEO 株式会社お金のデザイン
投資一任型 THEO+docomo 株式会社お金のデザイン
投資一任型 楽ラップ 楽天証券株式会社
投資一任型 ON COMPASS マネックス・アセットマネジメント株式会社
投資一任型 LINEスマート投資 LINE Financial株式会社
投資一任型 FOLIO ROBO PRO 株式会社FOLIO
投資一任型 SUSTEN 株式会社sustenキャピタル・マネジメント
投資一任型 ダイワファンドラップオンライン 大和証券株式会社
投資一任型 らくらく投資 楽天証券株式会社
投資一任型 マネックスアドバイザー マネックス証券株式会社
投資一任型 Wealth Wing 株式会社スマートプラス
助言型 投信工房 松井証券株式会社
助言型 SMBCロボアドバイザー 三井住友ファイナンシャルグループ
助言型 SMART FOLIO みずほ銀行
助言型 SBI-ファンドロボ 株式会社SBI証券

ロボアドバイザーのメリットとは

個人投資家が、オンラインで気軽に利用できる投資サービスとして、ここ数年、大きく認知度を高めてきている、ロボアドバイザー。
そんなロボアドバイザーには、主に、下記のようなメリットがあります。

投資一任型ロボアドバイザー利用のメリット

まずは、ポートフォリオ提案に留まらず、銘柄購入やリバランスまで実施してくれる、「一任型」のロボアドバイザーのメリットを確認してみましょう。

富裕層向けとされてきた資産運用サービスを、割安な手数料で受けることが出来る

一任型のロボアドバイザー・サービスが提供する、

  • 投資家のリスク許容度の算定や、
  • リスク許容度に見合った投資ポートフォリオの提案、
  • ポートフォリオ内容に沿った銘柄購入、及びリバランス、税金最適化、といった諸作業は、

元来、プライベート・バンカーやFP(ファイナンシャルプランナー)が、富裕層投資家を対象として提供してきた、有人・対面型のサービスをモチーフとしています。

ただし、有人・対面でサービスを提供するためには、自然、1人のプライベート・バンカー(ないしは、FP)が対応できる人数にも限りがあり(※)、必然的に、預けてくれる資産の量が大きい、富裕層に限定して、サービスが提供されてきました。

(※)富裕層限定の理由

例えば、ファイナンシャルプランナー(ファイナンシャル・アドバイザー)が、年間報酬として2,500万円程度を確保したい、と考えているとします。
基本的に、ファイナンシャル・アドバイザーの報酬料は、投資家からの預かり資産額の1パーセント程度、とされていますから、2,500万円程度の年間報酬を確保するためには、25億円程度(2,500万円÷1パーセント)の資産預かりをする必要があります。
そして、1人のファイナンシャル・アドバイザーが、親身になって誠実に対応できる顧客の人数としては、10人~20人程度が限界です(例えば、欧米のファイナンシャル・アドバイザーやプライベート・バンカーの場合、各投資家の投資に関する相談のみならず、相続に関する相談や、はたまた、投資家の子の教育・留学先に関する相談にまで、対応することが一般的です)。
仮に、精力的なプライベート・バンカーが、20人の顧客に対応する、としても、1人の顧客当たりの預かり資産の必要額は、1億円以上(25億円÷20人=1億2,500万円)となります。
1億円以上の投資資産を預けてくれる投資家、となると、必然的に、富裕層に限定されてしまうこととなります。

これが、従来型の対面・有人型の資産運用サービスが、(一般投資家には提供されず)富裕層のみに提供されてきた理由です。

また、そうしたサービスと似た内容を、やや小口にて(数百万円程度~)投資家に対して提供する、「ラップ口座」と言われる証券会社のサービス・商品は、年率で、預かり資産の3パーセント前後(手数料に加えて、信託報酬の報酬料など)の手数料がかかることが一般的、とされており、その割高な手数料が、主に若年投資家層からは、敬遠される要因となってきました。

しかし、オンラインで提供されるロボアドバイザー・サービスの場合、上記のようなサービスが、アルゴリズムに沿って作成されたプログラムによって、自動的に提供される関係上、サービス提供会社としてもコスト負担が少なく(=顧客が増えたとしても、それに比例してコストが増大するわけではない。むしろ、顧客が増えると、顧客1人あたりのコストは低減していく)、結果として、投資家においては、年率で0.5パーセント前後~1パーセント程度の、割安な手数料負担によって、資産運用に関するサービスを利用することが出来るように、スキーム設計が為されています。


ロボアドバイザーの手数料体系の詳細は、別記事をご参照ください。

投資家の感情に左右されることなく、長期投資が無理なく実施出来る

短期的な投資によって利益を出すためには、かなりの熟練、及び投資テクニックが必要とされるほか、短期的な利益追求を宿命とするプロ投資家(ヘッジファンド等)との競争を強いられる関係上、一般個人投資家の勝算(短期投資における勝算)は、決して大きくありません。

しかしながら、長期投資を前提とするのであれば、短期的な利益計上が命題とされるプロ投資家と比較して優位な立場に立てる(例えば、ヘッジファンド・マネージャーは、相場急落の際、自分では「売り急がずホールドしておけば、いつか市況は回復する」と分かっていたとしても、多数の顧客からの強い要求に応じる形で、致し方なく、資産売却を強いられることもあります)関係上、一般個人投資家にも、勝機がめぐってくることとなります。

このように、少なくとも個人投資家においては、短期的な投資(数年未満程度の期間を前提とした投資)よりも、長期投資(少なくとも10年以上)のほうが、最終的には投資リターンを得やすい、ということは、各種検証にて実証されています。

しかしながら、投資家が自ら資産運用を行う場合、特に相場急落時に心理的に動揺してしまうことにより、長期の資産運用を行うことが難しい(=相場の急落に耐えられず、資産を安値で売却し、市場から退却してしまう)、というデメリットがあります。

この点、ロボアドバイザー投資の場合であれば、銘柄の購入やリバランス、適宜の売却、といった処理の全てを、ロボアドバイザーに一任することが出来ますから、人間(投資家)の感情に左右されることなく、安定的に、長期投資を実現することが可能とされています。

分散投資を手軽に行うことが出来る

分散投資には、

  • リターンの水準を一定程度に維持したうえで、
  • 互いに相関性の低い、異なる資産クラスを組み合わせることによって、ポートフォリオ全体のリスクを低減出来る(市況悪化時のショックを軽減できる)

という効果があります。

ロボアドバイザー・サービスの多くが、数千単位の保有銘柄を持つETF(上場投資信託)を投資対象としていますので、様々な国と地域のアセットクラスに対して、投資家自身が意識することなく、資金を分散投資することが可能となります。

ドルコスト平均法による積立投資で、「高値掴み」を回避できるロボアドバイザーがある

資金を一度に投入するのではなく、少額ずつ、定期的に追加投資していく「積立投資」は、投資の「時間リスク」を分散するために効果的です。
国内のロボアドバイザー・サービスの大半が、投資家の銀行口座などから定期的に投資資金を引き落とす、「積立投資」機能を搭載しているため、投資家においては、最初にロボアドバイザー側の設定を済ませておけば、あとは特段操作せずとも、自動的に、積立投資を執行することが可能となります。

また、ドルコスト平均法の活用で、

  • (投資対象のETF等投資信託が)安い時は、多く買い、
  • 高い時は、少なく買うことで、

投資信託1口あたりの購入価格を平均化し、いわゆる「高値掴み」のリスクを軽減することが可能とされています。


ロボアドバイザーを活用した積立投資について詳しくは、別記事をご覧下さい。

低コストなETFが投資対象とされていることが多い

ロボアドバイザーが投資対象とする銘柄は、ロボアドバイザー各社の運用方針によって異なりますが、主要なロボアドバイザー業者では、その投資対象として、米国の証券会社などが販売している、上場投資信託(ETF)が想定されています。
ETFの場合、信託報酬等の経費率が低い(年率で0.5パーセント以下であることが一般的)ため、投資家のコスト負担が少なくなる、というメリットがあります。

分別管理、及び、投資者保護基金による保護

金融商品取引法第43条の2で、ロボアドバイザー運営会社各社は、投資家の資金、及び資産(ETFなど)を、自身の資産とは分けて管理する、「分別管理」を行うことが定められています。
たとえば、国内ロボアドバイザー業界で大手と言われるウェルスナビの場合、

  • 投資家の保有するETFについては、世界最大規模の証券預託機関であるDTC(The Depository Trust Company)にて管理され、
  • 現金は、三井住友銀行、みずほ信託銀行、およびりそな銀行に信託されている、

という特徴があります。

また、国内の主要ロボアドバイザー事業者の多くは、日本投資者保護基金の会員企業となっています。
このため、万が一、ロボアドバイザー運営会社が破綻し、かつ、適切な分別管理が為されていないことによって、投資家の資金返還がスムースに実行されない場合でも、日本投資者保護基金の投資者保護によって、投資家の資金が、上限1,000万円まで、補償されることとなります。

リバランスの手間がかからない

自身が許容できるリスクに応じた、最大の投資成果(リターン)を得るためには、自身の資産クラス・ポートフォリオを、有効フロンティア上の最適配分に維持する必要があります。
しかし、有効フロンティア上の最適ポートフォリオを、投資家が手作業で維持し続けるのは、実は意外と大変です。

  • 各資産クラスの値上がり(増大)、値下がり(目減り)が生じると、自然と、ポートフォリオのバランスが崩れていくこととなりますし、
  • 積立投資や一部出金を行う場合も、無作為に資産購入・売却を行うと、ポートフォリオが崩れる要因となります。

例えば、退職金の運用を目的として、65歳から、資産運用を始める、という投資家がいたとします。
この投資家のリスク許容度は、若年投資家と比較して低い(人的資産が小さいし、一時的な損失が生じた場合、これを回復するために十分な時間が残されていない可能性もある)ため、最適なポートフォリオとしては、株式の比率よりも債券の比率が高い、ある程度保守的なポートフォリオとなります。

しかし、資産運用を開始してしばらく経過し、その間、株価の急激な値上がりがあった、とすると、

  • ポートフォリオにおける、株式の比率が向上し、
  • これに反比例する形で、ポートフォリオにおける債券の比率が低下することによって、

本来推奨されるポートフォリオよりも、「ハイリスク・ハイリターン」なポートフォリオが実現してしまう可能性があります。

この場合、(そのまま株価上昇が続けばいいですが、)株価の下落などによって、多大な損失が生じ、その損失を回復する間もないまま(※一旦株価が全世界的に急落すると、その後、急落前の水準を回復するまでに、5年以上の歳月を要することがままあります)、多額の損失を抱えて、資産運用を終了しなければならなくなる恐れもあります。

こうした事態を避けるために、投資家においては、定期的に(ないしは、臨時に)ポートフォリオの見直し、すなわち、リバランスを実施する必要があるのですが、このリバランスは、特に投資初心者にとっては、かなり大変な作業です。
特に、含み益の生じている資産クラスを売却する場合、含み益が実現することによって課税関係が生じ、投資パフォーマンス低下の要因となってしまうケースもあります。

この点、リバランス機能の搭載されたロボアドバイザーの場合であれば、リバランスを自動的に執行してくれるほか、税金最適化機能が組み込まれたロボアドバイザーならば、リバランスに伴う税負担を軽減するトレードが自動執行されることもあります。

助言型ロボアドバイザー利用のメリット

続いては、銘柄購入・リバランス等は行わず、あくまでも、リスク許容度に応じた最適ポートフォリオの提案、及び、そのポートフォリオを実現するための推奨銘柄の提案まで、に留める、助言型ロボアドバイザー活用のメリットを整理してみましょう。

ポートフォリオ構築を無料で行うことが出来る

助言型ロボアドバイザーの場合も、一任型のロボアドバイザーと同様、投資家自身が、ロボアドバイザーからの質問に回答することによって、ロボアドバイザーが各投資家のリスク許容度を診断し、各投資家に向けた最適ポートフォリオの提案を受けることが出来ます。

「投資にあたって、分散投資を行うことが重要」と頭では理解していても、

  • どのような資産クラスを購入するべきなのか
  • 自分の年齢・資産状況の場合、どの程度のリスクを許容することができるのか
  • リスク許容度に応じた、最適なポートフォリオ(資産クラス別の内訳)はどのようなものか

といった点を把握するには、投資家自身で、現代ポートフォリオ理論などを勉強する必要があります。

この点、助言型ロボアドバイザーを利用すれば、投資家は、無料で(利用手数料を負担することなく)、自身のリスク許容度に合致した最適ポートフォリオの提案を受けることが出来る、というメリットがあります。

最適ポートフォリオに応じた投資銘柄推奨を受けることが出来る

ポートフォリオの提案を受ければ、あとは、投資経験のある投資家であれば、
「それでは、米国株式のためには、あのETFを購入して、債券のためには、このETFを買っておいて…」
などと、具体的な計画を立てることが出来ますが、投資経験の少ない若年投資家層等にとっては、その作業もまた、簡単な事ではありません。

この点、助言型ロボアドバイザーを活用すれば、

  • リスク許容度に応じた、最適ポートフォリオの提案を受けることが出来るのみならず、
  • そのポートフォリオを実現するために必要な、投資信託等の銘柄情報を、ロボアドバイザーに提供してもらうことが出来る、

というメリットがあります。

NISA制度を活用することが出来る

一部を除き、一任型のロボアドバイザーの場合は、NISA(少額投資非課税制度)を利用することが出来ません。
基本的に、一任型のロボアドバイザーの場合、

  • まず、運用スタートの時点で、投資信託等を購入し、
  • その後、リバランス等に応じて、資産クラスの組み替えや、新たな投資信託の購入等を繰り返す、

という性質があるため、年間の非課税投資額に120万円という上限があり、かつ、一旦利用してしまった非課税購入枠は、その後、当該年度の間は復活しない、という特徴のあるNISAとは、相性が今一つ良くない、というのがその理由です。

しかしながら、助言型ロボアドバイザーの場合は、一任型のロボアドバイザーと異なり、ロボアドバイザー自身が銘柄の購入処理などを行うことは(一部の例外を除いて)ありませんから、後は、推奨された銘柄を、

  • NISA口座を活用して購入するか、
  • もしくは、一般口座で購入するか、は、

各投資家の個々の判断にゆだねられています。

投資家自身に投資ノウハウが蓄積されやすい

助言型ロボアドバイザーの場合、一任型のロボアドバイザーとは違って、実際の投資信託の買い付け・購入処理や、その売却・リバランス等の作業は、投資家自身が執行することとなります。
提案されたポートフォリオを確認したうえで、そのポートフォリオを実現すべく、助言型ロボアドバイザーが提案してくる投資信託以外の商品を購入する、という事も、勿論、投資家が自由に行うことが出来ます。

このため、投資家自身の中に、投資のための必要スキルが蓄積されやすい、というメリットがあります。

証券会社にとって、ロボアドバイザー提供のメリット

企業が、ロボアドバイザー・サービスの提供(※ここでは、一任型のロボアドバイザー)を事業として行いたい場合、

  • 投資家の資金を運用するために、「投資運用業」の登録が、
  • そして、投資家からの資金を募集したり、投資口座開設を受け付けたりするために、「第一種金融商品取引業」の登録が必要となるほか、

投資のためのアルゴリズム開発や、それを執行するためのプログラム・システムの整備など、莫大な手間暇・イニシャルコストがかかります。

それにも関わらず、ここ数年、新規のロボアドバイザー・サービスは増え続け、ロボアドバイザー市場は拡大を続けています。
ロボアドバイザーの運用会社各社は、なぜ、そこまでのイニシャルコストをかけてまで、ロボアドバイザー事業に参入するのでしょうか。

投資家から、預かり資産の金額に応じた手数料を徴収できる

ロボアドバイザー各社は、各個人投資家から、それぞれの運用残高(預かり資産残高)に応じて、手数料を徴収することが一般的です。
手数料の具体的な料率は、ロボアドバイザーによって様々ですが、主要各社においては、下記のような手数料設定が為されています。

  • ウェルスナビ:
    預かり資産の1%(ただし、現金部分を除く)。預かり資産の3000万円を超える部分には0.5%。
  • THEO(テオ):
    運用資産額の0.715パーセント~1.10パーセント(税込)。
    積立・出金の実績によって、手数料が割引となる、「THEO Color Palette」が導入されている。
  • 楽ラップ:
    固定報酬型の場合、最大年率0.715パーセント。
    成果報酬併用型の場合、固定報酬が年率最大0.605パーセント、別途成功報酬が運用益の5.5パーセント。

ロボアドバイザー運営会社にとっては、知名度向上等に伴い、預かり資産残高が増えれば増えるだけ、自社の売上高も大きくなる「ストック型」の収益源とすることが出来るため、メリットがあります。

自社の投資信託や、提携先証券会社の投資信託を販売することで、手数料収入等を得ることが出来る

ロボアドバイザー運営会社として、自ら(ないしは、グループ企業)が運用・販売にあたっている投資信託を、投資家向けに推奨銘柄として提案することで、ファンドの販売促進等を図ることが出来る場合があります。

また、提携関係にある証券会社等の販売する投資信託を推奨銘柄とすることで、提携先証券会社からキックバックを受けたり、コミッション収入を受け取ることが出来る場合があります。

※ただしこの場合、投資家との間の利益相反に注意する必要があります。

投資家の囲い込みツールとして活用出来る場合がある

投資家は、ロボアドバイザー・サービスに投資家として登録を行う際、自身の年収や、資産残高、といった情報を入力します。
ロボアドバイザー運営会社(証券会社)としては、そうして登録させた投資家ユーザーに対して、自社の本業(プライベート・バンキング・サービス等)を売り込む、クロスセル戦略を採ることが出来る場合があります。

ロボアドバイザーのデメリットは

上記したように、一任型のロボアドバイザーも、助言型のロボアドバイザーも、投資家、及び運用会社、それぞれにとって、様々なメリットがあることが分かります。
しかしながら、そうしたメリットの反面、各ステークホルダーにとって、下記のように、複数のデメリットの存在も指摘されています。


※ここでは、ロボアドバイザーのデメリットについて簡潔にご紹介しますが、ロボアドバイザーの抱える問題点についてより詳しくお知りになりたい方は、別記事をご覧下さい。

一任型ロボアドバイザーのデメリット

まずは、投資一任型のロボアドバイザーに投資する、投資家にとってのデメリットを確認してみましょう。

売却のタイミングによっては、元本割れのリスクがある

国内で展開されている大半のロボアドバイザー・サービスは、世界経済との連動を目指し、投資対象銘柄が多岐にわたるETFを、主たる投資対象としています。
また、投資家のリスク許容度にもよりますが、基本的には、米国株式等を中心とした、先進国株式ETFが、投資ポートフォリオの中で大きな(少なくとも数割以上程度の)シェアを占めています。

このため、昨今のリーマンショックや、コロナショックのように、大規模な経済変動・市況悪化が生じた場合、ロボアドバイザーの運用成績も、少なくとも一時的に、マイナス(=累積投資してきた元本額を、資産評価額が下回っている状態。元本割れ)となる可能性があります。

なお、世界経済は、たとえ、一時的には大きな下落を経験したとしても、その後、一定の期間をかけて(短ければ、数ヶ月程度。長い場合は、数年~10年前後)、元の水準を回復し、その後は、元の水準を上回るパフォーマンスとなる、と言われています。
このため、ロボアドバイザーの運用成績についても、一時的な下落シーンを乗り換え、市場の回復期まで運用を続けることが出来れば、再度、上向く可能性もあります。

しかし、投資家個々人の事情(感情的に元本割れを長期間許容できない、等という、心理的な要因や、どうしても資金を換金しなければならない、という、経済的な都合など)によって、どうしても、運用を中止しなければならない場合、そのタイミング(=保有資産の売却のタイミング)によっては、抱えている含み損が実現し、投資家の資産が、ロボアドバイザー運用開始前と比べて、大きく毀損してしまうリスクも存在します。

投資家が自分でETF等を購入する場合と比べて、総コストが割高となる

投資家が、一任型のロボアドバイザーで資産運用を行う場合、

  • ロボアドバイザーが購入する、ETF等の信託報酬と、
  • ロボアドバイザーに対して支払う、手数料の、

合計値を、コストとして負担する必要があります。

大半のロボアドバイザーが投資対象としている投資信託・ETFは、証券口座を開設すれば、投資家自身で購入することが出来るものばかりです。
もしも、投資家が、自分自身でETF等を購入する場合、少なくとも、ロボアドバイザー・サービスに対する手数料支払いは無用となります。

そうして考えると、(一任型の)ロボアドバイザーを利用する場合、同じ投資対象(ETF)に対して投資をするのにも関わらず、(ロボアドバイザーの手数料の分だけ)コストが割高である、と言えます。

たとえ投資成績がマイナスでも、手数料を支払い続ける必要がある

一任型のロボアドバイザー・サービスの大半は、そのロボアドバイザーに預けている資産残高に応じて、手数料が計算されています。
もしも、市況悪化等によって、運用成績がマイナス(=元本割れが生じている状態)であったとしても、そのロボアドバイザーに資産を預けている以上、ずっと、手数料が生じ続けることとなります。

※ただし、国内のロボアドバイザー・サービスの中には、サステン(susten)のように、完全成果報酬型の手数料体系を採用しているケースもあります。
サステン(susten)について詳しくは、下記記事を参照下さい。

完全成果報酬型ロボアドバイザー「SUSTEN」(サステン)とは|投資の仕組み、メリット&デメリットまで検証

下落相場では利益を出しづらい

ロボアドバイザー・サービスの場合、基本的には、ロング(買い)で利益を出すことを志向しており、ショート(売り)からトレードに入る、という機能は持ち合わせていません。
これは、国内のロボアドバイザー・サービスの大半が、
「世界経済の長期的な成長に対して、長期・積立・分散・低コストにて投資を継続する(=バイ&ホールドを継続する)」という投資スタンスを採用しているため、です。

信用取引機能(=ショート(売り)からトレードを行う機能)を搭載しているロボアドバイザーであれば、下落相場でもコンスタントに利益を出し続けることが(物理的には)可能ですが、国内のロボアドバイザー・サービスの大半は、そうした機能が搭載されていません。


参考:
ロボアドバイザーは儲かるのか|投資家、及び、ロボアドバイザー運営会社、双方の目線から検証

「人工知能(AI)による運用」というレベルまで達しているロボアドバイザーは少数派

国内のロボアドバイザーの多くは、人間が吟味したアルゴリズムに従って、プログラムによる自動売買が為されている、という状態であり、人工知能(AI)による機械学習・ディープラーニングが、トレードの中核に据えられているサービスは、まだまだ、少数派です。

なお、人工知能(AI)を活用したロボアドバイザー・サービスの具体案としては、

  • SNSや、インターネット上のブログ記事などから、テキストマイニング、及び文章の数値化を行い、
  • そうして数値化されたデータを、機械学習の教材、並びに、インプット値として入力し、
  • 人工知能(AI)が、インプットデータに対応するアウトプットデータ(株価の将来予測値など)を出力する、

などといった活用事例が検討・研究されていますが、実際に個人投資家が活用できるレベルで、こうした人工知能(AI)技術が搭載されたロボアドバイザー・サービスは、まだまだ、マイナーな存在です。

投資家の資産全体を俯瞰したアドバイスの提供は、現在のロボアドバイザーにはまだ不可能

ロボアドバイザー・サービスは、かつて、プライベート・バンカーや、富裕層専門のFP(ファイナンシャル・プランナー)が、自身の顧客に対して有償で提供してきたサービスを、オンラインで割安に、一般個人投資家に対して提供することを目的として、運営されているものです。
しかしながら、現在のロボアドバイザー・サービスが、アドバイス・運用の対象とできるのは、あくまでも、「投資家が、ロボアドバイザー・サービスにて運用する、と決めた資産額」のみであり、その投資家の資産全体や、人生設計の全般を俯瞰したアドバイス提供・サービス提供は、現行のロボアドバイザーには不可能、とされています。

例えば、旧来の有人型のプライベート・バンキング・サービスでは、

  • 資産を運用に回すべきか、それとも、低利な住宅ローンの返済に回すべきか(※基本的に、住宅ローンの金利は安いため、繰り上げ返済に資金を回すよりは、資金を投資・運用したほうが、全体的なメリットは大きい、と言われています。しかし、住宅の売却等を想定している場合は、別段となることもあります)
  • 相続税対策を行うにあたり、どのような投資商品をポートフォリオに組み入れるべきか(現物不動産投資や、生前贈与の活用など)
  • 近日中に、定期保険の満期を迎える予定であり、一定額の保険金を収受できる見込みであるから、投資ポートフォリオをどのように拡大するべきか、

等といった相談に対するアドバイザリー(助言)を行うことが一般的でしたが、現在のロボアドバイザーの技術では、こうした高度な相談に対して応じることは、難しい、というのが実情です。

特定のSNSや、証券会社の顧客でないと、利用できないロボアドバイザー・サービスもある

ロボアドバイザー・サービスの中には、

  • LINE(ライン)ユーザーのみを限定的に対象とした「LINEスマート投資」や、
  • 大和証券の顧客のみを対象とした「ダイワファンドラップオンライン」など、

一部のSNSユーザーや、証券会社顧客等のみを対象としたサービス展開が為されているケースがあります。

この場合、特定のSNSや証券会社を利用していない、ないしは、利用することに興味のない投資家にとっては、サービス利用は選択肢に入らないこととなります。

資産クラスの配分や、資産クラスに応じて取得する銘柄等について、投資家が自由に選択することが出来ない

一任型のロボアドバイザーの場合、投資家のリスク許容度の判定や、判定されたリスク許容度に応じたポートフォリオ(資産クラスの配分)の作成、及び、資産クラスごとの銘柄購入まで、全てロボアドバイザー側が自動的に執行します。
このため、投資家において、具体的な資産クラスの配分や、各資産クラス向けのETF・投資信託選択・購入などを、主体的に行うことは出来ません。

※ただし、ロボアドバイザー・サービスのマイページ等において、リスク許容度を手動で変更することによって、間接的に、ポートフォリオの内訳を変更することが出来るロボアドバイザーもあります。

ロボアドバイザーの提案内容・運用内容に関する疑義

ロボアドバイザーは、投資家に対して10項目前後の質問を行い、この質問への回答内容に応じて、最適(※最適であるとロボアドバイザーが考える)なポートフォリオの提案、及び銘柄選択を行います。
ただし、一部の研究者等からは、「数点の質問への回答のみをもって、各投資家の真の投資上のニーズを把握することは難しいはず」との指摘も為されています。

また、米国(アメリカ)等の一部のロボアドバイザー・サービスでは、ロボアドバイザーが取得する投資信託の売れ行きに応じて、ロボアドバイザー運営会社が、投資信託の販売会社等からキックバックを得ている可能性についても示唆されています。
もしもそうした取引が横行しているようであれば、投資家とロボアドバイザー事業者との間の利益相反にもつながりかねず、問題視する向きもあります。

ロボアドバイザー運用会社とは別の証券会社での口座開設が必要となることがある

ロボアドバイザーが事業として成立するためには、

  • (投資家からの投資を募集するために)第一種金融商品取引業の登録と、
  • (投資家の資産を運用するために)投資運用業の登録が、

必要となります。

国内のロボアドバイザー・サービスの中には、ウェルスナビのように、サービス運営会社が、上記双方の登録を取得しているケースもありますが、中には、ロボアドバイザー・サービスの運営会社が、「投資運用業の登録は得ているが、証券会社としての登録は受けていない」というケースも想定されます。

この場合、ロボアドバイザー会社としては、投資家の資産運用は行えるものの、

  • 投資の募集や、
  • 投資家の、「投資口座」開設などは受け付けることが出来ないため、

別途、証券会社(第一種金融商品取引業)と提携し、2社の共同事業の形で、ロボアドバイザー事業を展開している事例もあります。

こうした「2社体制」でのロボアドバイザー・サービスに投資を行う場合、投資家においては、ロボアドバイザー運用会社へのユーザー登録と、別途、証券会社への投資口座開設手続きとを、別々に行わなくてはならなくなり、手間がかかることとなります。

ロボアドバイザーによる運用が開始されるまでの間に「時差」が生じるケースがある

国内のロボアドバイザーの中には、投資家登録完了後、早ければその翌営業日には、資産運用が開始される、というサービスもあります。
しかしながら、中には、資産の運用開始が、「投資一任契約締結の翌月中旬開始」等とされており、

  • 投資一任契約の締結から、
  • 実際に資産運用が開始されるまでの間に、

長い場合では1か月程度の時差が生じるケースがあります。

短期的に大きな利益を上げるトレードには向かない

国内のロボアドバイザー・サービスの大半は、長期的(少なくとも10年以上)に、コンスタントに積立投資を行うことによって、時間リスクを分散しながら、世界経済の成長に応じた投資収益を得ることを目的としており、短期のトレードで利益を上げるようなシステム・アルゴリズムは搭載されていません。

FX投資や仮想通貨投資のように、レバレッジを活用した取引も想定されていない関係上、短期間で大きな利益を上げたい、と考えている投資家にとっては、使い勝手の悪いサービスである、と言わざるを得ません。

※ただし、一部の新興ロボアドバイザー・サービスの中には、人工知能(AI)を搭載し、短期間の値動きを予測し、短い運用期間でも一定のリターンを得ることを目的にサービス設計されている事例もあります。

米ドル建てて運用するロボアドバイザーの場合、為替リスクもある

国内で主流派とされるロボアドバイザー・サービスの場合、取得する銘柄が、アメリカの証券会社にて販売されている、米ドル建てのETFとされているケースが多くあります。
この場合、投資が米ドル建てで執行される関係上、投資家の、円建てでの資産評価額(ETF等の評価額)も、ドル/円の為替相場・変動の影響を受けることとなります。

10年・20年単位での長期投資を前提とすれば、多少の(短期的な)為替差損は、為替差益の存在によって解消され得ますが、投資家の都合などで運用をストップする場合、資産売却のタイミングによっては、大幅な為替差損を被ることとなる可能性もあります。

利回りが事前に決まっていない

ロボアドバイザー投資の場合、基本的には、取得するETFの値上がり益に期待して投資することとなりますので、その具体的な値上がり幅・率については、誰も正確には見通すことは出来ません。
大半のロボアドバイザーは、「世界経済は、長期的に見れば、成長を続ける」という前提のもとに、全世界へと分散投資するETFを投資対象としていますが、そのETFが、

  • いつ頃までに、
  • どのくらい、

値上がりするのか、は、当然、誰も言い当てることは出来ません。

このように、「利回りが事前に決まっていない」という点は、ソーシャルレンディング不動産クラウドファンディングなど、事前にある程度の想定利回りが約定されている投資に慣れた投資家にとっては、ストレスに感じるポイントかもしれません。

助言型ロボアドバイザーのデメリット

続いて、銘柄の実際の購入は行わず、あくまでも、最適ポートフォリオの提案まで、をサービス領域とする、「助言型ロボアドバイザー」を利用した投資のデメリットについて確認していきましょう。

銘柄の購入やリバランスは、投資家自身で行う必要がある

助言型ロボアドバイザーの場合、投資家のリスク許容度に応じた最適ポートフォリオの提案、及び、最適ポートフォリオを実現するために推奨される銘柄情報の提案、までは行ってくれますが、

  • その後の、具体的な投資信託・株式等の購入処理や、
  • 適宜のリバランス等については、

投資家自らが執行する必要があります。

※ただし、助言型ロボアドバイザーの中には、ワンクリックで、推奨される投資信託銘柄の購入処理が出来る機能が付帯しているケースなどもあります。

ロボアドバイザー・サービス提供会社の投資信託販売促進を目的としているケースがある

助言型ロボアドバイザーの中には、取得推奨の投資信託が、そのロボアドバイザー・サービスを提供している企業(証券会社等)、ないしは、その関係会社・グループ企業の販売している投資信託に限定されているケースがあります。
中には、ETFなどと比較し、信託報酬等の経費率が割高となっている投資信託もありますので、実際の購入判断においては、慎重な検討が必要です。

証券会社にとって、ロボアドバイザー提供のデメリット

最後に、ロボアドバイザー・サービスを提供する、運営会社にとって、ロボアドバイザー事業への参入には、どのようなデメリットがあるか、確認しておきましょう。

イニシャルコスト(初期投資)が多額

ロボアドバイザー事業を展開するためには、まず、必要な許認可として、「第一種金融商品取引業」及び「投資運用業」の登録が不可欠です(一任型ロボアドバイザーの場合)。
第一種金融商品取引業の登録を受けるためには、その要件として、

  • 資本金額は5,000万円以上、
  • 純資産額も5,000万円以上、
  • その他、主要株主に関する規制や、他に行う事業に関する規制などもあり、

登録の取得は、決して容易な物ではありません。

各登録の取得にあたっては、行政書士や弁護士などに、登録申請手続きを代行させることが出来ますが、相応の報酬料の支払いが必要となります。

また、ロボアドバイザー・サービスを実際に顧客に対して提供するためには、

  • ユーザー向けのインターフェイスや、
  • 投資アルゴリズムの設計、
  • アルゴリズムに基づいた投資商品の購入・売却プログラムの作成

など、様々なシステム開発・初期投資が必要となります。

預かり資産からの手数料だけで、初期投資・ランニングコストをペイすることは簡単ではない

(一任型の)ロボアドバイザー・サービスを本業とする企業の主たる収入は、投資家の預かり資産額に応じて投資家から収受する、(ロボアドバイザーの)利用手数料です。
ロボアドバイザー各社の利用手数料は、概ね、年率で1パーセント程度に設定されていますが、この利用手数料のみで、

  • 初期投資したイニシャルコストを回収し、かつ、
  • システム運用・整備などに必要な人件費などのランニングコストをペイしていくことは、

決して容易ではありません。

また、ロボアドバイザー業界内での、事業者間の競争も激化している関係上、広告宣伝費も多額に及ぶケースが多々あります。

現に、国内のロボアドバイザー業界の大手企業であるウェルスナビ(東証マザーズ)であっても、今なお、広告宣伝費支払い後の損益については、赤字が継続しています。

なお、ロボアドバイザー事業者同士で、投資家の獲得競争が過熱する中、新興ロボアドバイザー事業者の中には、敢えて、ロボアドバイザーの利用料を「完全成果報酬型」とし、「投資家の資産が増えない限り、手数料は徴求しない」ことを打ち出すケースもあります。

確かに、完全成果報酬型とすれば、投資家に対しては訴求しやすくなりますが、その分、手数料収入が不安定化する要因ともなりかねず、注意が必要です。

ソーシャルレンディング・ラボとは-Author Info-

ロボアドバイザー検証チーム
ソーシャルレンディング・ラボは、国内の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)、及び、不動産クラウドファンディング業界情報の検証メディア。
ロボアドバイザー情報専門の検証チームでは、日本国内、並びにアメリカを中心とした海外国にて展開されているロボアドバイザー(RA)サービスに関する最新情報を提供するほか、ロボアドバイザー業界の市場調査、各社の新サービスの検証などを実施する。

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