東証マザーズ上場「GA technologies」運営の不動産クラウドファンディング「RENOSY ASSET」とは

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約2年が経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

RENOSY ASSETとは



引用元:RENOSY ASSETクラウドファンディング

RENOSY ASSET(クラウドファンディング)は、東証マザーズ上場企業である株式会社GA technologies(東京本社:東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー 40F。以下、GA technologies社)が運営する不動産投資クラウドファンディング・サービス。2018年7月のサービスサイトオープン以来、これまでに累計14本のファンドが公開・募集されています。

RENOSY ASSETの運営会社



引用元:株式会社GA technologies

運営会社HPによれば、RENOSY ASSET(クラウドファンディング)を運営するGA technologies社は、2013年3月設立。2020年1月末日時点での資本金は11億6102万3130円。グループ会社を含む従業員数は、2019年10月末時点で347名。
不動産テック総合ブランド「RENOSY」の運営を手掛けるなどして成長し、2018年7月、東京証券取引所「マザーズ市場」へと上場を果たしています。

令和2年1月29日に提出された、2019年10月期の有価証券報告書によれば、連結での売上高は39,286,477千円。経常利益は1,019,722千円。

代表取締役を務める樋口龍氏は、1982年東京生まれ。ツイッターでの発信などでも知られていますね。

RENOSY ASSETのファンド



引用元:RENOSY ASSETクラウドファンディング

RENOSY ASSET(クラウドファンディング)では、サービス開始来、これまでに14件のファンドが公開・募集されています(2020年2月23日時点)。

いずれも「RENOSY キャピタル重視型」ファンドと銘打たれており、募集は抽選方式。これまでの14本のファンド概要としては下記の通りです。

号数 募集(円) 応募(円) 倍率 運用期間 予定年利
1号 15,400,000 185,610,000 1,205% 3ヶ月 8.0%
2号 16,800,000 185,940,000 1,107% 3ヶ月 8.0%
3号 19,180,000 164,770,000 859% 3ヶ月 8.0%
4号 27,230,000 142,620,000 524% 3ヶ月 8.0%
5号 21,000,000 146,220,000 696% 3ヶ月 8.0%
6号 14,210,000 152,460,000 1,073% 3ヶ月 8.0%
7号 15,330,000 142,690,000 931% 3ヶ月 8.0%
8号 14,840,000 119,010,000 802% 3ヶ月 8.0%
9号 15,610,000 116,850,000 749% 3ヶ月 8.0%
10号 19,600,000 127,230,000 649% 3ヶ月 8.0%
11号 15,200,000 98,530,000 648% 3ヶ月 6.4%
12号 18,400,000 130,220,000 708% 3ヶ月 6.4%
13号 25,200,000 83,480,000 331% 3ヶ月 4.0%
14号 14,040,000 91,050,000 649% 3ヶ月 4.0%

RENOSY ASSETのメリット

RENOSY ASSET(クラウドファンディング)は、一般的なソーシャルレンディングとは異なり、不動産特定共同事業法に基づくクラウドファンディング・サービスです。
小口投資など、ソーシャルレンディングと同じようなアドバンテージを有していることと併せて、「優先出資」の仕組みなど、ソーシャルレンディングには無いメリットも持ち合わせています。

①1万円から投資できる

RENOSY ASSETのクラウドファンディング・ファンドは、いずれの案件も、小口(1万円)から投資できます。
多額の初期費用を要し、「敷居が高い」というイメージの強い不動産投資を、クラウドファンディングという仕組みを通して、小口化してくれているわけです。
まとまった投資資金の用意が難しい若年層や、投資未経験者にとっては、「1万円から(ごく気軽に)投資できる」という点は、大きなメリットと言えるでしょう。

②上場企業が運営

国内のソーシャルレンディング・クラウドファンディング業界において、上場企業が直接運営しているサービス、というのは、限られます。
わたしたち個人投資家としては、(たとえ小口でも)虎の子の投資用資金を預けるわけですから、サービス運営会社の信用力は、当然、大きなポイントとなります。

③短期運用ファンドが中心

少なくともこれまで(※2020年2月23日時点)公開された14件のファンドは、いずれも「3ヶ月」という短い運用期間を予定しています。
ファンドの運用期間の長短については、投資家によって好みが分かれるところではありますが、少なくとも私は(個人的には)運用期間が短いファンドのほうが好きです。
時間リスクを負担する必要が軽減されるからです。

④高利回り

第1号ファンドから第10号ファンドまでは、いずれも予定年利として、8.0パーセントという、高い利回りが想定されています。
第11号ファンド以降、投資家向けの予定年利はいささか低減傾向にありますが、いずれにせよ、(少なくとも、銀行定期預金等と比較すれば)格段に高い期待利回りが提示されているといえます。

⑤優先出資・劣後出資の仕組み

これは、ソーシャルレンディングにはない、不動産特定共同事業法ベースの不動産投資クラウドファンディングならではのメリットと言えます。
詳しくはサービス概要を参照頂きたいところですが、端的に要約すれば、

  • ひとつの投資案件に対し、投資家は「優先出資者」として出資、これに対し、サービス運営会社が、同じ投資案件に「劣後出資者」として出資する。
  • 利益分配は、優先出資者である一般投資家に対して先に実行される。
  • 逆に、不動産価値下落等によってマイナスが生じた場合、そのマイナス分は、まず、劣後出資者であるサービス運営会社が負担する、

という構成となります。

⑥投資対象物件が公開されている

例えば「RENOSY キャピタル重視型 第14号ファンド」であれば、

  • 「東京都文京区音羽2-9-7」に所在している、
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造地上11階建の物件(ワンルームマンション)の1室、
  • 具体的には、床面積18.42㎡、現在(※ファンド公開時)入居中の物件に対して投資する、

といった要領で、投資先案件に関する情報が公開されています。

投資家としては、公開されている情報に基づいて(場合によっては、実際に当該マンションを見に行くなどして)、投資するか、否か、を判断できるわけですから、これは大きなメリットと言えます。

RENOSY ASSETへの投資にあたっての注意点

上記してきたように、様々なメリットがある、RENOSY ASSET(クラウドファンディング)ですが、いくつか、放念してはならない注意点・デメリットがあります。

①応募倍率が高い

上記した、これまでのファンド一覧からもわかる通り、RENOSY ASSETの場合、一旦ファンドが公開されると(≒募集開始となると)、投資家からの投資申込が殺到する傾向があります。
少なくともこれまでの14ファンド(2020年2月23日時点)はいずれも「抽選方式」によって募集が為されていますから、投資家としては、投資申込を済ませたうえで、運営会社による抽選結果発表を待つわけですが、この倍率が極めて高い。
注目を集めた初号ファンドの場合は、募集の12倍以上の応募を集めているわけですから、

  • 募集開始に合わせて、投資申込をしたとしても、
  • 実際に抽選に当選し、投資を行うことが出来るか、どうかは、分からない、

という点は、あらかじめ理解しておく必要があります。

②出資は1案件あたり(最大で)100万円まで

利用の流れを説明するページにて明記が為されているように、RENOSY ASSET(クラウドファンディング)の場合、ひとつの投資案件に対して投資家が出資(申込)出来る上限額が「100万円」と定められています。
「まずは小額から投資したい」と考えている投資家にとっては、あまり気にならない点かもしれませんが、一般的な不動産投資と同じイメージで、比較的多額の資金を投資したい、と考えている投資家にとっては、「最大100万円」という上限設定は、余計なもののように感じられてしまうかもしれません。

③元本保証はなく、損失発生の可能性がある

ソーシャルレンディングを含めた他の投資手法と同様、RENOSY ASSETを通したクラウドファンディング投資においても、投資元本の保証が為されることはありません。
すなわち、投資家としては、投資した資金が目減りするリスク(元本割れが生じるリスク)を理解しておく必要があります。

④分配率(利回り)は確定しているわけではない

各ファンドの概要に記載されている分配率(ファンドの予定利回り)は、あくまでも”予定”のものであり、確定しているわけではありません。
上記した「優先出資/劣後出資」の仕組みにより、投資家の利回りが優先されるような仕組みとはなっていますが、不動産価値の下落が大きい場合などは、当然、予定されていた分配率が実現しないケースもあり得ますから、留意を要します。


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