ソーシャルレンディング事業者の各種審査基準

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約2年が経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

国内のソーシャルレンディング事業者が募集しているファンドに投資をするためには、あらかじめ、当該ソーシャルレンディング事業者に、投資家口座を開設(投資家登録)する必要があります。
そして、その投資家登録を完了するためには、ソーシャルレンディング事業者各社が行う登録審査を通過する必要があります。
ソーシャルレンディング事業者各社が提示している、投資家登録審査基準としては、どのようなものがあるのでしょうか。

また、国内のソーシャルレンディング事業者の中には、借手に対する「貸し出し審査基準」の一部を公開しているケースもあります。
それぞれ、詳しく見て参りましょう。

ソーシャルレンディング事業者の「投資家審査基準」

最初にチェックするのは、ソーシャルレンディング事業者各社が、投資家登録を申請する投資家に対して行う、「投資家登録審査」の基準です。
各事業者別にみていきましょう。

SBIソーシャルレンディングの投資家審査基準

SBIソーシャルレンディングの投資家審査基準については、こちらのFAQページに詳しくまとめられています。
抜粋すると、主に下記のような審査基準が明記されています。

  • 原則としてだれでも投資家登録申込をすることが出来るが、「国内に居住していること」及び「成人(二十歳以上)であること」が必須条件。
  • 家族名義での投資家登録は原則不可。
  • 同一名義で、複数の投資家登録(投資家アカウントの複数作成)は不可。
  • 投資家登録審査を受けるためには、マイナンバーカード(もしくは、マイナンバー通知カード)など、マイナンバーがわかる資料の提出が必要。
  • (個人名義ではなく)法人名義で投資家審査を受けることも可能(ただしその場合、別途所定の書類の提出が必要)。

クラウドクレジットの投資家審査基準

越境型ソーシャルレンディングで知られるクラウドクレジットの場合、投資家審査基準としては、主に下記のようなものを提示しています。

  • 投資家登録申請の時点で、二十歳以上であり、かつ、75歳未満であること。及び、日本に在住していること。
  • 外国人であっても、日本に永住権をもち、日本に在住している場合は、投資家登録を行うことが出来る。
  • 同一の名義人で複数の投資家アカウントを作成することは不可。
  • 個人投資家の場合、書面での投資家審査申込(投資家登録申請)は不可。

参考:
よくある質問|クラウドクレジット

オーナーズブックの投資家審査基準

不動産担保付きのソーシャルレンディング・ファンドで定評のあるオーナーズブックの場合、投資家審査基準としては、主に下記のようなものが提示されています。

  • 投資家登録申請の時点で、20歳以上75歳未満であること(ただし、75才以上の場合、個別対応が為される場合がある)。
  • 法人での投資家登録も可能。
  • 投資家登録申請が為されてから、オーナーズブック側が審査を行い、その後、審査を通過した申請者に対し、ハガキが発送される。投資家登録申請から審査完了、ハガキの発送まで、概ね2~3営業日程度が必要。

参考:
よくある質問|オーナーズブック

Funds(ファンズ)の投資家審査基準

「1円から投資できる」ソーシャルレンディング・サービスとして話題を呼んでいるファンズ(Funds)の場合、投資家審査基準としては、主に下記のような内容を公開・提示しています。

  • 20歳以上75歳未満で、日本国内に居住している人物であることが必要(海外居住者の場合、投資家登録は不可)。
  • 代理人名義での口座開設は不可。
  • 法人名義での投資家登録・口座開設は可能(法人番号の提示等が必要)。
  • 同一名義での複数口座開設は原則として不可。

参考:
よくあるご質問(口座開設について)|Funds(ファンズ)

クラウドバンクの投資家審査基準

国内ソーシャルレンディング業界大手「クラウドバンク」の、投資家登録審査基準としては、主に下記の通り。

  • 満80歳以上の場合、口座開設は不可。
  • 口座開設はあくまでも本人名義のみ(=家族名義を借名しての口座開設は不可)。
  • 証券会社に勤務していたとしても、口座開設は可能(ただし、勤務先のコンプライアンス部門への確認を要する)。
  • 海外在住者の場合、口座開設は不可。海外勤務等によって国外居住者となる場合、既存口座の閉鎖手続きなどが必要。
  • 未成年者であっても投資家登録は可能。ただし、親権者もしくは未成年後見人が管理等を行うことが前提となる。
  • 口座開設にあたり、勤務先への在籍確認は行っていない(その余の手段で連絡がつかない場合、連絡が為される場合がある)。
  • 投資家登録審査申込にあたっては、マイナンバー提出が必要となる。

口座開設について | よくある質問(クラウドバンク)

ソーシャルレンディング各社の貸出審査

ここからは、ソーシャルレンディング事業者各社が、融資先(借手)へと行っている、貸し出し審査に関する情報です。

SBIソーシャルレンディングの融資審査

こちらのページでは、SBIソーシャルレンディングが融資先に対して行う審査の内容について、「貸金業法に則った営業者独自の審査基準に基づく審査」とのみ、記載されています。
また、こちらのページでは、SBIソーシャルレンディングがかつて取り扱っていた、個人向け融資の、審査基準について情報が記載されています。
具体的な審査基準としては、

  • 日本在住であり、20歳以上65歳未満であること。
  • 年収300万円以上の安定した収入(新卒生の場合は見込み年収200万円以上)があり、かつ、返済能力を有していること。
  • 学生は不可。ただし、安定した収入があれば、パート、契約社員等の種別は問わない。
  • 自宅・勤務先などに、在籍確認などの電話連絡が為される。

といった情報が記載されています。
審査結果は原則として翌営業日通知、とされています。

クラウドバンクの融資審査

クラウドバンクのHPによれば、借入申込を行った企業に対し、

  • 登記簿・決算書など、信用調査に必要な書類の提出を求めたうえで、
  • 会社訪問や代表者面談、担保物件の確認などの実地調査を行う、

とのこと。

Funds(ファンズ)の企業・ファンド審査

Funds(ファンズ)の場合、まずは、ファンド組成企業、ならびに、借り手企業に関して、下記項目の審査を行っています。

  • 各企業の実在性
  • ファンド組成企業、及び借り手企業の、財務状況の健全性
  • 必要な許認可の取得状況
  • 投資対象として信任に値するかどうか

また、組成されるファンドについては、下記項目の審査を行っているとのこと。

  • 出資対象事業の事業計画
  • 出資対象事業の法令適合性
  • 分別管理の実施状況
  • 募集予定額の合理性
  • 上記などの項目を鑑みて、投資対象として適切であるかという観点から総合的に判断

参考:
どのような審査を行っているのか教えてください|Funds(ファンズ)

各種審査結果の受け止めは「冷静・参考程度」に

まず、ソーシャルレンディング各社の投資家登録審査において、「謝絶」(=審査を通過できなかった)となった場合、ですが、
むやみに再審査を要請したり、他のソーシャルレンディング事業者に矢継ぎ早に審査申込をしたりするのではなく、
ここはひとつ、頭を冷やすいい機会を貰ったと思って、冷静に受け止めることをおすすめします。

投資家審査謝絶時は、ソーシャルレンディング投資のリスクに思いを馳せるひと時に。

実際問題として、ソーシャルレンディング投資は、決して、リスクの低い投資手法ではありません。
融資先企業からソーシャルレンディング事業者への返済が遅延すれば、ファンドは即座に延滞状態に陥りますし、
ファンドが最終的な償還を迎えるまで、投資した資金を回収することはできません。

それだけリスクのある投資商品へと投資する以上、投資家個々人の経済的な余裕は”必須要件”であり、
ソーシャルレンディング事業者の課す審査を通過できなかったのであれば、
「まだ、自分は少しだけ、早かったのかな」
と考え、まずは、自身の経済状況の更なる改善・強化に注力すべき、というのが、本筋となります。

投資をすれば、必ず、損失のリスクを負うこととなります。
反面、投資をしなければ、投資利得を得る機会はありませんが、投資によって資金を失う危険もまた、負わずに済むのです。

ソーシャルレンディング各社の「融資審査」については、参考程度の受け止めを

続いて、ソーシャルレンディング各社が融資先に関して行う、「貸し出し審査」について、ですが、
「ソーシャルレンディング事業者がしっかりと審査を行っているから、その融資先は絶対に大丈夫」
などとは、決して思わぬようにしてください。

現に、かつては「国内ソーシャルレンディング業界大手」と言われていたmaneo(マネオ)の場合、延滞案件が続出し、裁判事例にまで発展するケースが出ています。


参考:
延滞債権/デフォルト債権一覧|maneo(マネオ)
ソーシャルレンディング最大手を提訴へ「11億円損害」|朝日新聞


ソーシャルレンディング各社の行う審査については、あくまでも、「最低限度の、参考程度のもの」と受け止め、
実際の投資是非の判断については、わたしたち個人投資家それぞれが、独自の眼力によって、責任をもって執り行う必要があります。


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