【ファンドリスク?事業者リスク?】ソーシャルレンディングのリスクを徹底解剖。
個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約3年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。
昨今、高い利回りで急激に人気を集めている、ソーシャルレンディング投資ですが、
勿論、投資活動である以上、常に一定のリスクを伴っていることを忘れてはなりません。
本コンテンツでは、ソーシャルレンディングのリスクについて、
- まず、リスクの全体像を把握したうえで、
- 残念ながらリスクが実現してしまった複数の具体例を示し
- 最後に、私が考える、各リスクの実践的な軽減策をお示しする。
上記構成にて、検証を行っていきます。
長文となってしまい、誠に恐縮ではございますが、
ソーシャルレンディング投資を行ううえで、無視できぬポイントとなりますので、
是非、お付き合いください。
ソーシャルレンディングのリスクの【全体像】を知る
![まずはソーシャルレンディングのリスクの全体像を把握しましょう。](http://social-lending.online/wp-content/uploads/2018/11/sociallending-risk01.jpg)
ソーシャルレンディングのリスクとの戦いは、まず、敵の全体像を知るところから始まります。
ソーシャルレンディング投資にあたって、わたしたち個人投資家が考慮すべきリスクは、
大きく分けて、主に下記の2つに区分分けされます。
- まず1つ目が、「事業者リスク」と呼ばれるリスクです。
- 2つ目が、「ファンドリスク」と呼称されるリスクです。
まずは、それぞれのリスクの【全体像把握】を済ませておきましょう。
ソーシャルレンディングのリスクその1【事業者リスク】とは
固有のファンドにおいて、個別具体的にトラブルが発生する、「ファンドリスク」とは決定的に異なり、
複数のファンドを組成・提供しているソーシャルレンディング事業者そのものが、関連法規に違反し、不適切な業務運営を行っている、という場合を示すのが、「事業者リスク」です。
本記事執筆本日に至るまでの間、日本では、残念ながら、下記の3社のソーシャルレンディング事業者が、
運営上の問題点を金融庁から指摘され、結果として、当局から行政処分を受けています。
ソーシャルレンディング事業者が実際に行政処分を受けると、
その後、当該ソーシャルレンディング事業者が新規組成を予定していた借り換えファンドの組成や資金応募が進まない、等のトラブルが発生し、
わたしたち個人投資家としては、当該ソーシャルレンディング事業者のファンドに出資していた場合、結果として、延滞や貸し倒れに巻き込まれる可能性が高くなります。
ソーシャルレンディングのリスクその2【ファンドリスク】とは
本記事執筆本日現在、日本国内には20社以上のソーシャルレンディング事業者があり、
それぞれのソーシャルレンディング事業者が、日々、大量のファンドを組成しています。
言うまでも無く、わたしたち個人投資家は、各ファンドへの出資検討に際しては、
各ファンドの内容をしっかりと読み込み、慎重に、投資是非の判断を行う必要があります。
この投資是非の判断に、大なり小なり、ミステイクがあった場合や、
投資是非の判断そのものにはミステイクは認められないものの、社会的・マクロ的な要因に(多くの場合は、運悪く、)巻き込まれることによって、
ファンドが、延滞や、最悪の場合、デフォルト・貸し倒れ、という憂き目に遭うリスクがあります。
また、そのような事態までは至らずとも、
満期償還を迎えたファンドの最終的な成績(損益)が、マイナス、すなわち、元本割れとなってしまう、というリスクも、あり得ます。
こうしたリスク、すなわち、
ソーシャルレンディング事業者に問題があるわけではなく、あくまでも、各ファンドが先天的に内在させているリスクが、トラブルとして具現化してしまう、というタイプのリスクこそが、「ファンドリスク」と呼ばれているものの正体となります。
ソーシャルレンディングのリスクのケーススタディ
![ソーシャルレンディングのリスクの具体例を見ていきます。](http://social-lending.online/wp-content/uploads/2018/11/sociallending-risk02.jpg)
全体像の把握が済んだら、次は、ソーシャルレンディングのリスクの個別具体的なケーススタディを進めましょう。
ここからは、ソーシャルレンディングのリスクタイプごとに、
これまで実際に発生した、具体的なトラブルケースを見てみましょう。
ソーシャルレンディングのリスクその1【事業者リスク】のケーススタディ
まずは「事業者リスク」と呼ばれるリスクタイプについて、
その具体例を見ていきます。
株式会社みんなのクレジット のケース
引用元:https://m-credit.jp/
ソーシャルレンディング業界で、最初に行政処分の憂き目に遭ったのが、こちらの「みんなのクレジット」。
平成29年3月30日付けにて、行政処分が下されました。
↓
引用元:http://kantou.mof.go.jp/kinyuu/pagekthp032000621.html
- 集めた資金を、(なんと)社長が個人的な借金の返済に充てる、
- 担保有り、と書いてあったファンドが、(恐ろしいことに)実際には無担保、等、
およそ信じがたいレベルの不正行為が行われていた、という、インクレディブルなケースです。
この後取り上げる、maneoマーケット株式会社やラッキーバンクの場合、監督官庁からの行政処分の内容は、あくまでも「業務改善命令」でしたが、
この「みんなのクレジット」社に限っては、【業務停止命令】が下されていることからも、
本件が、どれだけ重大な事態であったか、ということが、よく見て取れます。
ラッキーバンク・インベストメント株式会社のケース
引用元:https://www.lucky-bank.jp/
不動産担保付きでありながら、比較的利回りの高いファンドを組成することで、人気を集めていた事業者ですが、
「みんなのクレジット」に続き、こちらは平成30年3月初旬、行政処分を受けることとなってしまいました。
↓
引用元:http://kantou.mof.go.jp/kinyuu/pagekthp032000711.html
同社の場合、
- ファンドの資金(=原資は当然、投資家からの出資金です)の、実際の貸付先が、社長の親族企業であり、このため、貸付時審査が、投資家への事前説明に反し、極めて緩い状態であったこと。
- 担保物となる不動産の評価額算出においても、およそ、適正な評価額算定が為されているとは言い難い状況であった、とのこと。
主に上記が問題視されました。
maneoマーケット株式会社のケース
引用元:https://www.maneo.jp/
日本のソーシャルレンディング業界の草分けともいえる存在の業者で、
当然、国内ソーシャルレンディング業界では、大きなシェアを誇る事業者でしたが、
平成30年7月13日付けにて、行政処分を受けることとなってしまいました。
証券取引等監視委員会からの行政処分勧告に基づき、関東財務局がmaneoマーケット株式会社に対して発した行政処分がこちらです。
↓
引用元:http://kantou.mof.go.jp/kinyuu/pagekthp032000761.html
証券取引等監視委員会による検査で、特に問題視されたのが、
maneoマーケット株式会社が資金集めを行ったファンドの、実際の運用者である、グリーンインフラファンディング社が、資金を適切に管理・運用していないことを、
ファンドの資金勧誘者たるmaneoマーケット株式会社が、きちんと把握していなかったこと。
結果として、maneoマーケット株式会社としては、正確な資金運用・管理状況の把握を怠った状況で、個人投資家に対する勧誘を継続してしまっていたわけですので、
この点が強く問題視され、行政処分へと至ってしまいました。
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