アップルバンクから、ソーシャルレンディングファンド「収益不動産取得資金支援ローンファンド 2号」が公開されています。
個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。
本ソーシャルレンディングファンドの概要
同社のホームページから確認した、本ファンドの概要としては、下記の通りです。
なお、案件1、及び案件2のうち、資金の大半を融資する「案件1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。
本ソーシャルレンディングファンドの詳細情報ページのURL
こちらです。
↓
https://www.applebank.jp/fund/detail?fund_id=489
本ソーシャルレンディングファンドのスキーム図
引用元:https://www.applebank.jp/fund/detail?fund_id=489
資金の借り手
アップルバンクにとっての直接的な債務者は、AL社です。
ただし、AL社は、アップルバンクの関連会社であることが明記されていますから、
本事業の実質的な資金借り手としては、AK社、と見るのが素直です。
貸付資金の総額
本ファンドによる貸付は1,250 万円ですが、その他、複数号のファンドに分け、合計では、1億2,500万円を融資予定、とのこと。
借り手の資金使途
AL社(アップルバンク関連会社)は、アップルバンクから借り入れた資金を原資に、AK社(※本事業の最終債務者)に対する融資を行います。
AK社は、AL社からの融資金を原資に、名古屋市内の地下鉄名城線、JR東海道本線の2路線3駅徒歩圏にある、1棟の賃貸マンションを購入します。
本ソーシャルレンディングファンドの貸付・運用の期間
17ヶ月の貸付・運用となります。
設定担保
AL社は、AK社に対する自らの貸付債権の保全のため、AK社がAL社からの融資金を元手に取得する賃貸マンション1棟の土地、建物に、第2順位で抵当権設定(登記留保)をする、とのこと。
アップルバンクのAL社に対する貸付債権保全については、フォローと言いましょうか、下記のような記載があります。
貸金業者であるAL 社は、アップルバンクの100%子会社であり、代表取締役も同一ですので、実質的支配権を有しています。
引用元:https://www.applebank.jp/fund/detail?fund_id=489
まあ、よく散見されるスキームではあります。
返済原資
Ak社としては、上記不動産の売却代金を原資に、AL社に対する返済を行う計画である、とのこと。
わたしたち個人投資家の期待利回り
5.8パーセント、とのこと。
本ソーシャルレンディングファンドのポイント
私が考える、本ファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、いずれも、私の個人的な見解です。
LTVの正確な計算・把握を。
※写真はイメージです。
アップルバンク関連会社であるAL社は、AK社が今回取得するマンションの土地・建物に対し、抵当権を設定(ただし登記留保)する、とのことですが、
まず、AK社は、本件マンションを購入するために、金融機関からも借入を行うのであり、その金融機関の持つ抵当権こそが、第一順位となります。
取引利回りから算出した(※誰が算出したか、については、これといった明記がありませんが)不動産評価は、4億2,000万円であるのに対し(※ひとまず、この評価額は鵜呑みすることにします)、
金融機関からの借入額は、2億5,400万円に達します。
上記のシニアローン(2億5,400万円)の金額を控除した評価余力は、単純計算するならば、1億6,600万円(4億2,000万円-2億5,400万円)となります。
そんな評価余力に対して、AL社の貸付(シニアローンに対して劣後する、第二順位抵当権)額は、1億2,500万円。
1億2,500万円は、評価余力1億6,600万円に対し、約75パーセント。
「LTV(Loan to Value)が8割を切ってれば、概ね安全、と、どこかで読んだから、これはずいぶん安心感のあるファンドだな」
と判断したとしたら、それは、間違いですから、十分に注意してください。
この貸付のLTVは、75パーセントではありません。90パーセントです。
LTV(Loan to Value)を計算するときの「Loan」は、あくまでも、対象不動産に付いている全ての借入債務を意味します。
金融機関からの2億5,400万円と、AL社からの1億2,500万円。合計すると、3億7,900万円です。
そして、3億7,900万円は、当該不動産の評価額4億2,000万円に対して、90パーセントに相当します。
ですから、本事業のLTVは、75パーセントでは決して、なく、あくまでも、90パーセントです。
LTV90パーセント、ましてや、第二順位抵当権。それに対して、利回り5.8パーセントは、果たして、バリューか。
私の個人的な私見として、
借り手に万が一の事態が発生したことを考えると、
シニアローンがある程度たっぷりと付いている(例えば本事業の場合、評価額4億2,000万円に対して、金融機関からのシニアローン2億5,400万円は、既に6割にあたります)案件の場合、
メザニンローン(第二順位抵当権の債権)分が無事に全額回収成功、となる可能性は、
少なくとも、過信には耐えぬだろう、と考えています(繰り返しますが、私見です)。
勿論、そのような抵当権だとしても、無いよりは、ましなのでしょうが…。
それでいて、本ファンドの想定利回りは、6パーセント弱です。
私のなかで、この程度の利回りは、
- LTV8割以下の、
- シニアローン、
という案件であれば、まあ、納得ですが(※実際、そのような構成のファンドは、いろいろと存在します)、
実質LTV9割で、ましてや、メザニンローン、という場合、どうでしょうか。
このあたりは、リスク・リターンのバランスについて、冷静に判断する必要があるかもしれません(繰り返しますが、私見です)。
本記事執筆現在の資金応募状況は
引用元:https://www.applebank.jp/fund/detail?fund_id=489
資金募集終了まであと1日、というところですが、ちょっと苦戦気味ですかね。
まとめ
記事中には、私の個人的な見解が、多々、含まれておりますが、
あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。
主要ソーシャルレンディング事業者各社を、事業者としての規模や、利回り、手数料、といった複数の視座から比較検証した、こちらの過去記事も、おすすめです。ぜひ、ご覧下さい。
↓
【ソーシャルレンディング各社徹底比較】投資家登録数・累計投融資額・年利平均…。主要ソーシャルレンディング各社を7つの視座から横断比較してみた結果、見えてきた真実とは。
それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。
本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。
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