【ソーシャルレンディングファンド分析】Ownersbook(オーナーズブック)「渋谷区マンション第2号ファンド第5回」の場合。

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを題材に、各社の特徴や、ファンドごとのリスク・リターンのバランス等を検証する本企画。
今回は、不動産担保付ソーシャルレンディング事業者として人気を集めるオーナーズブックが、2018年に資金募集を行ったソーシャルレンディングファンド、「渋谷区マンション第2号ファンド第5回」を題材に、読み解きを進めて参りましょう。

投資申し込み完了のエビデンス

今回検証対象となるソーシャルレンディングファンドについては、私も個人的に出資をしています。
Ownersbook(オーナーズブック)のマイページより抜粋したスクリーンショットがこちらです。

Ownersbook(オーナーズブック)投資完了01

本ファンドの概要

本ファンドの詳細情報ページ(https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1085/)から確認した、本ファンド概要情報としては、下記の通りです。

資金の借り手

総合不動産会社B、とのこと。同社は、東京都渋谷区に所在しており、

  • 不動産開発事業
  • 不動産投資事業
  • 不動産コンサルティング事業
  • その他投資事業

を行っている、設立後3年以上が経過した、不動産関連事業者である旨、記載されています。

※本ファンドの貸付先は、正確には、総合不動産会社Bと、総合不動産会社A、の2社、ですが、
本ファンドの募集金額70,500,000円のうち、総合不動産会社Aに対して貸し付けられるのは、50万円(全体の1パーセント以下)に過ぎません。
貸金業法の規制の関係で、貸付先企業のバスケット化(=複数化)が必要であり、その必要を満たすための小規模融資と判断し、
以後、総合不動産会社Bに対する70,000,000円の融資についてのみ、詳説していきます。

貸付資金の総額

本ファンド全体としては、70,500,000円を募集しますが、
総合不動産会社Bへの貸付は、そのうち70,000,000円です。

借り手の資金使途

不動産投資事業のために資金を活用する、とのこと。

貸付・運用の期間

投資実行日が2018/01/26。
匿名組合の償還予定日は、2019/12/20とのことです。

設定担保

2015年1月建築の、地上7階建てマンション(主に賃貸向けのマンション)が1棟、担保として供されています。

担保物件の所在地

東京都渋谷区笹塚とのこと。京王電鉄京王線の笹塚へのアクセスが便利、とのこと。

賃借稼働率の状況

本物件は、1階~6階が、住居として賃貸中、とのこと。部屋数は明記されていませんが、各戸は1DKタイプ~1LDKタイプで構成されている、とのことですので、そこそこの部屋数がありそうです。
稼働率は2018年1月17日時点で100%とのこと。
現行月額賃料は1坪あたり(共益費込みで)14,700円程度とのことですが、第三者不動産鑑定士による見立てでは、新規賃貸借契約の場合の相場値としては15,250円とのこと。

※ちなみに、本物件の最上階に限っては、3LDKタイプ1戸で構成されていて、2018年1月17日時点では、総合不動産会社Bの社長さんが自己居住為さっておられるとのこと。

物件の評価額

外部不動産鑑定士による評価、及び、Ownersbookによる評価、双方、923,000,000円(9億2300万円)とのこと。

当該物件に対する担保設定の状況

銀行からのシニアローンの担保設定が、360,000,000円(3億6000万円)分、ついています。
Ownersbookはメザニン扱い(銀行のシニアローンに次いで、第2順位)で378,000,000円(3億7800万円)を極度で根抵当権設定済。そのうち既に1億9,000万円分は事前に貸付済。
Ownersbookの残り枠は、3億7800万円-1億9,000万円=1億8800万円分ですが、このうち、今回は7000万円分の枠を使って融資しますよ、ということです。
すると残りの枠は、1億8800万円-7000万円=1億1800万円、となりますが、
この残り枠の範疇で、Ownersbookとして今後、追加募集(&融資)を行う可能性がありますよ、とのこと。

返済原資

借り手からOwnersbookへの返済原資については、ファンド概要に情報記載が見当たりませんでした。
そもそもの資金使途が、不動産投資事業、とのことなので、
総合不動産会社B(借り手)としては、本ファンドから借り入れた資金で不動産を購入し、売却、その売却代金を原資に、Ownersbookへと返済を行う、という計画なのだろうと思います。

わたしたち個人投資家の期待利回り

4.5% とのこと。

本ソーシャルレンディングファンドの資金募集達成度は

370人の投資家から資金を集め、満額の資金募集を達成しています。

運用・返済状況は

本記事執筆本日現在、運用中です。

本ソーシャルレンディングファンドのポイント

私が考える、本ソーシャルレンディングファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、あくまでも、私の個人的な見解です。

(極度額内で更なる追加融資が行われない限り)現状、極度額には余裕がある。

3億7800万円の極度額に対して、今回の7000万円を貸し付けを加えても、Ownersbookからの融資累計は2億6000万円。上述もした通り、極度額の7割弱です。
万が一、総合不動産会社Bが返済に窮するような事態に陥った場合、まずは同社が銀行から借り入れているシニアローンの返済が優先されますから、
その点を勘案しますと、これ以上のメザニン貸付は、そろそろ…とも思いますが、
少なくとも、現時点まで、を判断材料とすれば、まあ、ある程度余裕のある貸付かな、と考えました。

論理上、本物件には、あと2億円弱の評価余力がある。

不動産鑑定士によれば、本物件の評価額は923,000,000円(9億2300万円)。
うち、銀行からのシニアローン極度額が360,000,000円(3億6000万円)分。別途Ownersbookからのメザニン分が378,000,000円(3億7800万円)。
このため、極論してしまえば、あと1億8500万円分は、評価余力があります。
いざとなれば、この評価余力を用いて、借り換え(リファイナンス)、という選択もあり得るだろう、と勘案しました。

本ソーシャルレンディングファンド検証のまとめ

ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを検証し、各社の特徴や、ソーシャルレンディングファンドごとの特色、そして、ファンド概要の読み解きのヒントを探る本シリーズ。
今回は、オーナーズブックのソーシャルレンディングファンド「渋谷区マンション第2号ファンド第5回」を題材に、検証をさせて頂きました。

しつこいようで申し訳ありませんが、
本記事文中の表現は、いずれも、私のごく個人的な意見に過ぎません。
その点は、くれぐれも、ご承知おきください。

しかし、あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、
ファンド概要の読み込みの具体例として、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。

なお、別記事とはなりますが、
ソーシャルレンディング各社をランキング形式で分析したこちらの過去記事も、おすすめです。是非、ご覧になってみてください。

国内ソーシャルレンディング事業者を徹底ランキング。利回り&グローバル度&担保メリット、資本金額規模等、異なるアングルから人気ソーシャルレンディング事業者を徹底分析。

それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。


本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

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