maneoにて、ソーシャルレンディングファンド「不動産担保付きローンファンド2021号」が公開されています。

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

本ソーシャルレンディングファンドの概要

同社のホームページから確認した、本ファンドの概要としては、下記の通りです。
なお、案件1、及び案件2のうち、資金の大半を融資する「案件1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。

本ソーシャルレンディングファンドの詳細情報ページのURL

こちらです。

https://www.maneo.jp/apl/fund/detail?fund_id=6797

本ソーシャルレンディングファンドのスキーム図


引用元:maneo(マネオ)

資金の借り手

maneoにとっての直接的な債務者は、事業者C社です。
ただし、同社はmaneoの関連会社です。
このため、本事業の実質的な債務者としては、上記事業者Cから資金を借り入れる、不動産事業者TTである、と見なすのが素直です。

貸付資金の総額

本ファンドからの貸付は、1,000万円です。
ただし、複数号のファンドを経由し、合計では8,000万円の貸付が為される、とのこと。

借り手の資金使途

不動産事業者TTとしては、今回の資金は、「仕入資金」に充てる、とのこと。

貸付・運用の期間

13カ月の貸付・運用となります。
具体的には、2019年01月28日に貸し付けを実行し、返済完了(予定)日としては、2020年02月28日となります。

設定担保

事業者Cから事業者TTへの融資に際し、

  • 不動産事業者TTが所有する土地・建物2物件
  • 不動産事業者TTが取得する、上記物件に隣接する土地・建物

上記合計3物件に、根抵当権が設定される、とのこと。
maneoとしては、事業者Cへの融資に際し、上記根抵当権に係り、質権を設定する、とのこと。

返済原資

事業者Cからmeneoへの返済については、不動産事業者TTの事業者Cに対する返済を原資として行われる、とのこと。
不動産事業者TTとしては、事業者Cに対し、対象物件の売却による返済を予定している、とのこと。
※「売却先と契約済み」との表記があります。

本ソーシャルレンディングファンドの期待利回り

5.5パーセント、とのこと。

本ソーシャルレンディングファンドの検証ポイント

私が考える、本ファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、いずれも、私の個人的な見解です。
実際の投資是非の判断においては、必ず、各投資家様それぞれ、皆様ご自身において、ご検討・ご判断を為さって頂きますよう、お願い致します。

契約は破棄されることがある。


引用元:https://www.maneo.jp/apl/fund/detail?fund_id=6797

ファンド概要には、上掲の通り、「売却先と契約済み」との表記があります。
しかし、不動産の売買契約は、契約締結後と言えども、破棄されることがあり得ます。

LTVを観察。

売買契約が破棄され、不動産事業者TTとして、新たな売却先を探さなくてはならなくなった場合、新たな売却先がスムースに見つかればいいですが、奏功しないリスクもあります。
そうして不動産事業者TTが期限の利益を喪失した場合、事業者C(maneoの関連会社)としては、担保権を行使し、債権回収を図る必要が出てきます。
そうした事態を念頭におき、本事業のLTVを確認しておく必要があります。

本件担保物の評価額は


引用元:https://www.maneo.jp/apl/fund/detail?fund_id=6797

本事業において担保権が設定される不動産の、正確な「評価額」は、厳密に言えば、記載されていません。
記載されているのは、上掲の通り、「売却予定価格」のみです。
このため、当然ですが、評価手法(例:収益還元方式)も明記されておりません。

「売却予定価格」というのは、おそらく、事業者TTが売却予定先と取り決めている価額のことでしょう。
勿論、売買契約通り、売却が完了すれば、何も問題はないわけで、今回精査を要するのは、「売却が奏功しなかった場合」のことです。
その判断の拠り所となる、公平な視座から見た担保物評価額が、明記されていない。
この点は、大きな留意を要するものと、私は考えています。
※あくまでも、個人的な見解です。

「売却予定価格」=「評価額」と受け入れたとしても、LTVは低くない。

担保物件3物件の売却予定価格合計は、約3億4,000万円とのこと。
これを一旦、「評価額」であると受け入れるとしましょう。
既に先順位債権が2億2,000万円分ございますので、これに今回の8,000万円を加えると、債権額は3億円となります。
これは、担保物件3物件の売却予定価格合計(約3億4,000万円)に対し、88パーセントほどに相当します。

本ブログがこれまで、多数のファンドを分析してきた限りにおいて、他のソーシャルレンディング事業者の場合であれば、純然たるシニアローン案件(=第一順位抵当権案件)の場合でも、LTVは80パーセントジャスト程度に抑えられています。
※ちなみに、銀行等一般金融機関の場合は、LTV(=掛け目)は7割、と言われています。

そうした相場観を踏まえると、88パーセント、というLTV設計は、極めてアグレッシブに映ります。
しかも、88パーセント、というのは、ファンド概要における「売却予定価格」を、「評価額」であると素直に受け入れた場合、の数値です。
売買契約が破棄され、新たな売却先を探索する必要に迫られた場合、一般的に言って、売却代金は当初の予定価額よりも低くなりがちです。
ディスカウントの程度によっては、オーバーローンとなってしまう可能性も否めぬものと、私は思料しています。
※繰り返しますが、あくまでも、個人的な見解です。

貸付期間が長く、また、ノンリコースローンである。

1年を超える期間の貸付は、いささか長く感じます。
特に本事業の場合、ファンド概要によれば、既に予定売却先との間で売買契約成立済であるにも関わらず、なぜ最初から、これほど長い貸付・運用期間が想定されているのか。
売買契約が破棄され、その後、新たな売却先の探索に長期間を要する恐れがあることを、あらかじめ、織り込んでいるのではないか、という、嫌な予感も、致します。
※個人的な見解です。

ましてや、


引用元:https://www.maneo.jp/apl/fund/detail?fund_id=6797

上掲明記されている通り、maneo社から事業者Cへの貸付は、ノンリコースローンです。
事業者Cはmaneoの関連会社として、本事業以外にも、複数の貸付債権等を抱えているものと思料されますが、万が一、事業者TTから事業者Cへの返済が滞り、これに伴い、事業者Cからmaneoへの返済が遅滞した場合、maneo社としては、事業者Cの所有に係るその他資産(債権等)に手を出すことが出来ません。
万が一そのような事態が実現してしまった場合、割を食うのは、私たち個人投資家です。

本記事執筆現在の資金応募状況は


引用元:https://www.maneo.jp/apl/fund/detail?fund_id=6797

上記のような状況です。

まとめ

記事中には、私の個人的な見解が、多々、含まれておりますが、
あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。

ソーシャルレンディング会社ごとの資本金額や、各案件の年利リターン、初心者へのおすすめランキング等、様々なアングルから、国内大手ソーシャルレンディング事業者をランキング形式で検証した、こちらの記事も、是非、ご参照下さい。おすすめです。

【ソーシャルレンディングランキング決定版】利回り・投資対象国・担保設定状況・出資のしさすさ。異なる視座から人気ソーシャルレンディング事業者を徹底ランキング。

それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。


本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

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