ソーシャルレンディングとウェルスナビ

ソーシャルレンディングとは

低金利の世にあって、銀行等の定期預金商品よりも高利を期待できるとして、個人投資家を中心に、広く関心を集めているフィンテック投資、ソーシャルレンディング。
合わせて、企業等の資金需要者からも、新たな資金調達手法として、注目を集めつつあります。

しかしながら、順調な市場規模拡大の反面、一部のソーシャルレンディング事業者が、不適切運営により、監督官庁から行政処分を受ける事態も発生。
複数のソーシャルレンディング事業者において、ファンドの延滞も起きており、業界成熟・投資家保護態勢確立が、目下、急務とされています。


参考:
【2021年9月最新版】ソーシャルレンディングおすすめ10社&危ない3社比較ランキング【投資初心者必見】

ソーシャルレンディングの基本的な仕組み

ソーシャルレンデイングの基本的なフローとしては、下記のとおりです。

  1. 第二種金融商品取引業者であるソーシャルレンディング事業者が、ファンド(匿名組合)を組成。
    自身のホームページ等において、投資家を勧誘。
  2. 投資家が、ソーシャルレンディング事業者と、匿名組合契約を締結(ソーシャルレンディング事業者が営業者。投資家が、匿名組合員)。
    出資金の払い込み。
  3. ソーシャルレンディング事業者が、借り手企業に対して、資金を融資(金銭消費貸借契約)。
  4. 借り手企業が、ソーシャルレンディング事業者に対し、元利金を返済。
  5. 返済元利金を原資に、ソーシャルレンディング事業者が、投資家に対し、利益分配を行う。

ソーシャルレンディングの利点

投資家、及び、借り手企業(=ソーシャルレンディング事業者から資金融資を受ける企業)、それぞれにとって、ソーシャルレンディングの利点としては、下記のようなものがあります。

投資家にとっての利点

  • ソーシャルレンディング事業者の提示する期待利回りは、銀行等の定期預金商品等と比べ、高い。
  • ほぼすべてのソーシャルレンディング事業者が、1万円程度の少額からの投資を受け付けている。
  • 投資口座開設から、益金の分配収受に至るまで、ほぼすべての投資プロセスが、インターネットで完結するため、簡便である。

借り手企業にとっての利点

  • ソーシャルレンディング事業者の融資審査は、銀行等従来型金融機関のそれと比し、柔軟であることが期待できる。
  • ソーシャルレンディング事業者の「担保掛け目」は、銀行等従来型金融機関のそれと比し、多少大きいことが期待できる(=同じ担保物だとしても、銀行よりも、ソーシャルレンディング事業者からのほうが、多額の資金を調達できる可能性がある)。
  • 借り入れ元本部分については、融資期間中の分割返済を求められず、満期一括返済を認められるケースがある。

参考:
【2021年9月最新版】ソーシャルレンディングおすすめ10社&危ない3社比較ランキング【投資初心者必見】

ソーシャルレンディングの難点

逆に、投資家、及び、借り手企業にとって、ソーシャルレンディングならではのディスアドバンテージとしては、下記のようなものが挙げられます。

投資家にとっての難点

  • 元本割れのリスクがある。
  • ファンドの運用期間中、途中解約が出来ない。
  • 借り手企業からの元利金返済が遅延した場合、資金が従来予定よりも長期にわたりファンドに拘束される可能性がある。

借り手企業にとっての難点

  • ソーシャルレンディング事業者からの資金調達金利は、高利である。
  • ソーシャルレンディング事業者が行政処分を受ける等した場合、その後、当該ソーシャルレンディング事業者からの借り換えが、急遽、不調となる可能性がある。

ウェルスナビとは

ソーシャルレンディングとウェルスナビ01

引用元:ウェルスナビ(https://www.wealthnavi.com/)

「全自動で、世界レベルの資産運用」を提唱する、ロボットアドバイザーサービス。
同社ホームページ(https://www.wealthnavi.com/)によると、ロボットアドバイザー業界においては、

  • 預かり資産
  • 運用者数

いずれも、ナンバーワンの実績を有する、とのこと。

ウェルスナビの運営会社

ソーシャルレンディングとウェルスナビ02

引用元:ウェルスナビ(https://www.wealthnavi.com/company)

ロボットアドバイザーサービス「ウェルスナビ」を提供するのは、柴山和久氏が代表取締役として率いる、ウェルスナビ株式会社です。

法人商号 ウェルスナビ株式会社
運営会社所在地 東京都渋谷区渋谷2-17-5 シオノギ渋谷ビル12F
運営会社設立 2015年4月28日
運営会社役員構成 代表取締役 柴山 和久
取締役 井上 正樹
社外取締役 天野 雄介
監査役 榎本 明
監査役 松野 絵里子
監査役 藤本 幸彦
資本金 56億8,578万円(資本剰余金含む)
※2018年10月31日現在
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2884号


上掲情報引用元:ウェルスナビ(https://www.wealthnavi.com/company) ※情報引用日は、2019年3月31日

ウェルスナビ運営会社の資本提携先

ウェルスナビ運営会社の資本提携先

引用元:ウェルスナビ(https://www.wealthnavi.com/company)

ウェルスナビのホームページによると、SMBCベンチャーキャピタルや三菱UFJキャピタル株式会社等が、資本提携先として掲示されています。

ウェルスナビの手数料

ウェルスナビの手数料

引用元:ウェルスナビ(https://www.wealthnavi.com/fee)

ウェルスナビのホームページによると、手数料は預かり資産の1パーセント(年率)であり、その余の手数料は無料としている、とのこと。
低コストの海外上場ETFを活用することによって、廉価な手数料態勢を実現した、とのことです。

上掲情報引用元:ウェルスナビ(https://www.wealthnavi.com/fee)

ウェルスナビの最低投資額

ウェルスナビの最低投資額

引用元:ウェルスナビ(https://www.wealthnavi.com/fee)

ウェルスナビのホームページによると、

  • イニシャルの最低投資額は、10万円であり、
  • その後の毎月の自動積立額の、最低額は、月額1万円である、とのこと。


上掲情報引用元:ウェルスナビ(https://www.wealthnavi.com/fee)

ウェルスナビのテレビCM

ウェルスナビのテレビCM

引用元:https://www.youtube.com/watch?list=PLxTYCrqGXkV_xNS4tndwjMyKHKqGatoRh&v=tP1FKaqc8vU

俳優である沢村一樹さんが登場するテレビCMが放映されています。
また、ウェルスナビでは、テレビCMの放映開始に合わせてキャンペーンも実施しています。
※キャンペーン詳細「最大2カ月分の手数料無料!テレビCM記念スタートキャンペーン詳細」https://www.wealthnavi.com/campaign/startup/020

ウェルスナビ利用のメリット

投資家が、ウェルスナビを含む、いわゆる投資一任型のロボアドバイザー・サービスを利用する場合、主に下記のようなメリットを期待することが出来ます。

  • 投資初心者でも、複数の資産クラスへと分散投資する「マルチアセット」型のインデックス投資を、気軽にスタートすることが出来る。
  • 他の一般的な投資一任型ロボアドバイザーとは異なり、ウェルスナビの場合は、NISA(ただし、一般NISAのみ。つみたてNISAは未対応)口座を利用して投資を行うことが出来る(運用益・分配金が5年間非課税となる)。
  • ウェルスナビ等のロボアドバイザーに投資信託選びを任せることにより、投資家は、インデックス投資に必要な銘柄選び(どの投資信託に投資するのか、の選択)に伴う労力を省略できる。
  • 資産クラス別の値上がり・値下がりに応じたリバランス作業(初期ポートフォリオから乖離してしまったポートフォリオを、最適ポートフォリオの内容に復帰させるための再調整)についても、ロボアドバイザー側に一任することが出来る。
  • ETF等投資信託からの分配金については、自動的に再投資されるため、複利効果を最大化しやすい(ただし、投資家が自分自身で無分配型の投資信託を活用する場合と比較すると、分配金への課税分だけ、投資効率が悪い)。
  • 買い付けや売却、リバランスは、いずれもロボアドバイザーが自動的に執行するため、投資家自身が「売り時」「買い時」に悩む必要が無い。
  • 積立投資サービスを提供しているロボアドバイザーが大半であり、定期的な買い付けにより、ドルコスト平均法のメリットを活かし、いわゆる「高値掴み」のリスクを軽減することが出来る。
  • 証券会社によっては、外国籍ETFを買い付ける際、外国株式と同様、いくばくかの買い付け手数料が生じることがあるが、ロボアドバイザーを通じてETFを取得する場合、投資家は購入時手数料を負担しなくて済む(もっとも、ロボアドバイザーが買い付け対象としている外国ETFの中には、国内のネット証券会社が「フリーETF」として指定しているものもある)。
  • 少なくとも、有人型の投資一任型サービス(証券会社のラップ口座サービスや、私募型のヘッジファンド等)と比較すれば、運用手数料が安い。
  • 確定申告作業不要の「特定口座(源泉徴収あり)」を利用できる。
  • ロボアドバイザー提供会社の中には、日本投資者保護基金の加入企業も存在する。

ウェルスナビ活用のデメリット

上記したように、ロボアドバイザー「ウェルスナビ」の利用においては、複数のメリットが期待されていますが、同時に、下記のようなデメリットにたいしても、留意が必要です。

  • たとえ、ロボアドバイザーの運用成績がマイナスの場合でも、年率換算で預かり資産残高に対して1パーセント相当程度の手数料が、恒常的に発生し続ける(投資家が自分でポートフォリオを組んでインデックス投資を行う場合、当然、この手数料負担は不要となります)。
  • ロボアドバイザー(ウェルスナビ)に対して支払う手数料のほかに、ウェルスナビが取得する投資信託(ETF)の信託報酬や、その他のコスト(投資信託が株式を売買する時の手数料等)についても、投資家が間接的に負担する必要がある。
  • ウェルスナビが自動的に執行するリバランスによって、含み益の生じている資産クラスが売却され、結果として、値上がり益に対する課税が生じ、運用効率が低下する恐れがある。また、リバランスによって、期待リターンの高い株式系ETFが売却されることにより、将来的な期待リターンが減衰するリスクがある。
  • 投資家が自分で投資信託を取得する場合、iDeCo口座を活用すれば、投資した資金と同額(=iDeCoへの拠出金)を所得控除することで、所得税・住民税の節税効果がある。しかし、ウェルスナビを含む投資一任型のロボアドバイザーで、iDeCo口座を利用できるサービスは、2021年9月現在、存在しない。
  • ウェルスナビを含む大半のロボアドバイザーは、「バイ&ホールド」戦略を採用しており、ショート・ポジション(売り持ち)は取らない。このため、相場の下落局面においては、利益を出しづらい。

参考:
ロボアドバイザー関連記事一覧|ソーシャルレンディング・ラボ

ソーシャルレンディングとウェルスナビを比較

ここまでは、ソーシャルレンデイングとウェルスナビ、それぞれの特徴・概要を確認して参りました。
ここからは、ソーシャルレンデイングとウェルスナビを、複数の視点から、比較してみましょう。

安全性

ソーシャルレンディングもウェルスナビも、元本割れリスクがある点に、変わりはありません。
しかしながら、運営会社(ソーシャルレンディングの場合は、ソーシャルレンディング事業者。ウェルスナビの場合は、ウェルスナビ株式会社)が経営破綻した場合の、投資家保護態勢については、相違があります。

ソーシャルレンディングとウェルスナビを安全性で比較

引用元:ウェルスナビ(https://www.wealthnavi.com/security)

ウェルスナビホームページ(https://www.wealthnavi.com/security)によると、万が一、ウェルスナビ株式会社が経営破綻し、またその際、ウェルスナビ株式会社による投資家資金の分別管理に不備があり、投資家の資産に損害が発生した場合、日本投資者保護基金が、投資家1名あたり、上限1,000万円までの補償を行う、とのこと。

これに対し、ほとんどのソーシャルレンディング事業者の場合、あくまでも、投資家資金の分別管理を提唱するのみであり、ソーシャルレンディング事業者が経営破綻等した場合、投資家の出資している資金については、原則として、別機構(例:上掲の、日本投資者保護基金)による保全措置等が取られることはありません。

最低投資額

ウェルスナビの場合、投資開始時点での最低投資額は10万円、その後の毎月の自動積立の最低額も、1万円から、と定められています。
一方で、ソーシャルレンデイングの場合、

  • ファンドへの最低投資額は、1万円程度、と、低く設定されており、(※各ソーシャルレンディング事業者によって委細は異なります)
  • かつ、「毎月一定額を自動積立」するような義務・仕組みは、投資家に課せられていません。

メディア露出

ウェルスナビの場合、上掲したように、俳優である沢村一樹さんを登用したテレビCMが放映されています。
その一方で、ソーシャルレンデイングの場合、日本国内の20社~30社前後のソーシャルレンディング事業者のうち、これまでにテレビCMを放映したことのあるソーシャルレンディング事業者は、ソーシャルレンディング・ラボの把握としては、

上記の2社のみ、という状況です。

預かり資産・投資家登録数

ソーシャルレンディングとウェルスナビを、預かり資産・投資家登録数で比較

引用元:prtimes(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000014586.html)

ウェルスナビのプレスリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000014586.html)によると、ウェルスナビの預かり資産は、2019年2月の時点で、1300億円を突破、申込件数についても、18万口座を超えていることが明らかにされています。

これに対し、ソーシャルレンデイングの場合は、大手とされるSBIソーシャルレンディングの場合で、

ソーシャルレンディングとウェルスナビを、預かり資産・投資家登録数で比較02

引用元:SBIソーシャルレンディング(https://www.sbi-sociallending.jp/total_results)

上掲のとおり、2019年2月末現在で、融資残高が約319億円、投資家登録完了数は、3万2千人弱、という状況です。

ソーシャルレンディングとウェルスナビ【まとめ】

本記事におきましては、ソーシャルレンディングとウェルスナビ、それぞれの特徴・概要をまとめたうえで、両者を、複数の視座から、比較してみました。
少しでも、ご参考と為さって頂ける内容と出来たのであれば、幸いです。

それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会いいたしましょう。

※本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ソーシャルレンディングファンドや、ウェルスナビ等のロボットアドバイザーサービス等)への投資勧誘等を目的としたものでは、ありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、ロボットアドバイザーサービスの採用等、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

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