ソーシャルレンディングは「担保あり」なら安全なのか

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約2年が経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

ソーシャルレンディングの「担保あり」案件とは

レンデックスの「不動産担保付きローンファンド 132号」。担保ありの案件であることが明記されています。
引用元:レンデックス

国内のソーシャルレンディング業者が公開・募集しているファンドの中には、「担保あり」とされている案件が多くあります。

たとえば、株式会社LENDEX(レンデックス。東京都渋谷区渋谷二丁目1番11号 郁文堂青山通りビル5階)が募集している「不動産担保付きローンファンド 132号」の場合であれば、融資にあたり、融資先(借手)が所得する不動産(同ファンドの場合であれば、東京都台東区に所在する土地・建物)に係り、LENDEXが、第一順位の抵当権を設定する、と明記があります。

こうしたファンドが、いわゆる「担保あり」ファンド・案件、と称されるものとなります。

「担保あり」のソーシャルレンディング案件が人気を集める理由

「担保あり」ファンドが人気を集める最大の理由は、その保全効能・安全性にあるものと思われます。

そもそも論として、ソーシャルレンディング投資が成功するためには、ソーシャルレンディング事業者が、融資先へと貸し付けた資金を、利息を含めて、しっかりと回収してくれなければなりません。
融資先からソーシャルレンディング事業者への元利金返済が滞ってしまえば、ソーシャルレンディング事業者から投資家への分配にも、遅延や、元本毀損が生じてしまうこととなるからです。

そして、もし借り手が資金難に陥った場合、担保が設定されていなければ、ソーシャルレンディング事業者が融資先から貸付金を回収するのは、極めて困難です。
それに引き換え、「担保あり」の場合であれば、ソーシャルレンディング事業者としては、担保権を設定してある資産(不動産など)を、市場にて売却等することができますから、貸付金債権の回収は、比較的容易となることが期待されます。

実際問題として、「担保あり」ファンドの期待利回りは、「担保なし」のケースと比べて、やや低く設定されていることがほとんどです。
それでもなお、わたしたち個人投資家にとって、「担保あり」のソーシャルレンディングファンドが魅力的に映るのは、
「いざという時の債権回収が比較的容易(であるはず)だから」
という理由があるからです。

「担保あり」というだけでは、そのソーシャルレンディング・ファンドの安全性の保証にはならない

それでは、「担保あり」となっているソーシャルレンディング案件は、本当に、安心・安全なのでしょうか。

「担保あり」のファンドでも、延滞は実際に起きている

maneo(マネオ)では、複数の「不動産担保付き」ファンドで、延滞が生じています。
引用元:maneo(マネオ)https://www.maneo.jp/apl/fund/repayment/delayhistory

たとえば、maneo(マネオ)の「不動産担保付きローンファンド1031号」の場合、ファンド名にも明記されている通り、不動産担保が設定されています。
しかしながら、maneoの公開情報によれば、2020年5月8日現在、元本回収率は22.58パーセントのまま、「延滞中」という状況に陥っています。

担保評価がいい加減であれば、「担保あり」でも意味がない

たとえば、

  • 借り手への融資額は、5,000万円、
  • 借り手が所有する、担保評価額1億円の物件に、第一順位の抵当権を設定する、

という案件があったとします。
この場合、一見すると、「貸付額の倍の担保価値を持つ物件に、先順位なしの抵当権設定。ずいぶんと固い案件だな!」と思われるかもしれません。

しかしながら、もしもその不動産の担保価値が、「1億円」などというのは過大で、実際には4,000万円程度の価値しかない物件だったら、どうでしょうか。
もしも融資先からの元利金返済が、融資直後に遅延し、ソーシャルレンディング事業者が債権回収のために担保物不動産を売却したとしても、よくて4,000万円程度にしかなりません。
この場合、5,000万円の貸付に対し、実際に回収できるのは、それ以下の金額、すなわち、元本割れが生じることとなりかねません。

このように、「担保あり」(不動産担保の場合)の案件だったとしても、その本当の意味での安全性は、担保権が設定される不動産の評価額算定が、いかに適正・公正に行われるか、に、かかっているわけです。

たとえ担保物の評価額算定が妥当でも、市況が悪ければ処分できないケースも

仮に、担保物の評価額が至極妥当なものであったとしても、市況(たとえば、不動産マーケット)が、担保評価時と比べて、悪ければ、担保評価を行ったときと同じ価額では、うまく売却が出来ないことが想定されます。
すると、ソーシャルレンディング事業者としては、

  1. 不動産市況が回復するのを待ち、案件を塩漬けにするか、
  2. 担保設定時と比べて大幅に低い価額でも、我慢して売却するか、

の選択を迫られることとなります。

前者を選んだ場合、わたしたち個人投資家の目線から見れば、出資したファンドが、かなりの長期にわたり、「延滞」状態になることを意味します。
ソーシャルレンディング事業者が後者を選択した場合、わたしたち個人投資家の投資した元本は、元本割れすることとなる公算が高まります。

「担保あり=安心」という妄信はやめ、冷静かつ具体的な投資是非判断を

このように、たとえ「担保あり」とされていたとしても、それだけをもって、
「そのファンドに出資しても、大丈夫」
とは、全く言い切れないことが、良くお分かりいただけたものと思います。

むしろ、「担保あり」とされているファンドの場合は、特に、

  • その担保評価額は、本当に妥当か
  • 今後、市況の大幅な悪化が見込まれる状況ではないか、

などといった点に、十分に注意を払い、慎重に、投資是非を判断する姿勢が必要となります。


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