仮想通貨「TonCoin」(トンコイン)とは-かつてテレグラムが開発を主導していたレイヤー1ブロックチェーンのネイティブ・トークン
TonCoin(トンコイン)に関する「よくある質問」
ここからは、TonCoin(トンコイン)に関して想定される「よくある質問」を、質疑応答の形式で、確認して参ります。
TonCoin(トンコイン)のコントラクトアドレスを教えて下さい
イーサリアム・メインネット、及び、BNBチェーン上の、TonCoin(※より正確には、ラップド・TonCoin)のコントラクトアドレスは、以下の通りです。
- イーサリアム・メインネット
- 0x582d872a1b094fc48f5de31d3b73f2d9be47def1
- BNBチェーン(旧:バイナンス・スマートチェーン)
- 0x76a797a59ba2c17726896976b7b3747bfd1d220f
情報の出典:
https://docs.ton.org/participate/crosschain/bridge-addresses#mainnet-ton-ethereum-toncoin-bridge
TonCoin(トンコイン)は、どこのブロックチェーン上にデプロイされていますか?
大元である、オリジナルのTonCoin(トンコイン)は、TONブロックチェーン上にデプロイされています。
一方で、
- イーサリアム・メインネット、及び、
- BNBチェーンには、
それぞれ、Wrapped TONCOIN(ラップド・トンコイン)が存在します。
「TON」の意味は、何ですか?
「TON」は、「The Open Network」(=開かれたネットワーク)の頭文字をとった略称です。
TonCoin(トンコイン)は、どこの取引所に上場していますか?
TonCoin(トンコイン)が上場している(≒他の仮想通貨銘柄との間で、流動性ペアが提供されている)取引所としては、以下のようなものがあります。
- 中央集権型取引所
-
- KuCoin
- Bitfinex
- OKX
- HTX(Huobi Global)
- Bybit
- Gate.io
- Bitget
- MEXC
- その他
- 分散型取引所
-
- PancakeSwap
- Uniswap
- Biswap
- Nomiswap
- DeDust
- その他
TonCoin(トンコイン)とテレグラムの関係を教えて下さい
TonCoin(トンコイン)はもともと、人気チャットアプリ「テレグラム」の運営元が独自に開発していた、レイヤー1ブロックチェーンでした。
独自通貨「グラム」の発行等により、多額の資金調達も行っていたのですが、その後、米証券取引委員会から「米国証券法に違反した」として提訴される事態に。
これに対して、テレグラム社は当初、控訴し争う姿勢を見せていましたが、2020年5月、テレグラムの創業者とされるパーヴェル・ドゥーロフ氏は、自身のブログ記事で、TonCoin(トンコイン)開発の撤退を表明。
その後、TonCoin(トンコイン)の開発は現在のTON Foundation(TON財団)に後継され、現在に至ります。
TonCoin(トンコイン)概要・公式サイト等
- 公式サイト
- https://ton.org/
- ブリッジサイト
- https://bridge.ton.org/
- TonCoin(トンコイン)チャート(コインマーケットキャップ)
- https://coinmarketcap.com/ja/currencies/toncoin/
- Twitterアカウント
- https://twitter.com/ton_blockchain
- テレグラム(アナウンス)
- https://t.me/toncoin
- https://www.linkedin.com/company/ton-blockchain/
- GitHub
- https://github.com/ton-blockchain
- TON Foundation
- https://www.ton.foundation/
- コントラクト監査(certik)
- https://skynet.certik.com/projects/the-open-network
- DeFi Llama
- https://defillama.com/chain/TON
- DappRadar
- https://dappradar.com/dapp/the-open-network-ton
- エコシステム内アプリ紹介サイト
- https://ton.app/
Ton(オープンネットワーク)の仕組み・概要・詳細
画像引用元:Ton(オープンネットワーク)
ここでは、仮想通貨「TonCoin」(トンコイン)の発行などで話題の、Ton(オープンネットワーク)の仕組みや概要、詳細、といったポイントについて、1つずつ、確認を進めて参ります。
The Open Network (TON): 分散型インターネットの未来を担うブロックチェーン
The Open Network (TON)は、分散型インターネットの未来を創造することを目指す、革新的なブロックチェーンプラットフォームです。
TONは、独自のシャード化アーキテクチャと高度なコンセンサスアルゴリズムによって、従来のブロックチェーンの課題であるスケーラビリティ、セキュリティ、信頼性を克服し、数百万TPSの処理能力を実現しています。
また、スマートコントラクトと分散型アプリケーションを開発するための強力なツールを提供することで、開発者コミュニティの活性化を促進し、新たな分散型サービスの創出を加速しています。
TONは、分散型インターネットの進化に不可欠なテクノロジーであり、未来のインターネットの基盤となることを目指しています。
1.1 TONブロックチェーンの構造: シャードとマスターチェーン
TONブロックチェーンは、シャードとマスターチェーンという二層構造を採用することで、スケーラビリティとセキュリティの両立を実現しています。
シャードは、ブロックチェーンを複数の小さなブロックチェーンに分割することで、トランザクション処理能力を高め、スケーラビリティを向上させます。
一方、マスターチェーンは、すべてのシャードを同期させ、ブロックチェーン全体の整合性を維持する役割を担います。
これにより、TONは、分散型アプリケーションの大規模な展開と高速なトランザクション処理を可能にする、スケーラブルで安全な基盤を提供しています。
1.1.1 シャード: スケーラビリティを実現する分散化されたアーキテクチャ
シャードは、TONブロックチェーンのスケーラビリティを実現する、重要なアーキテクチャ要素です。
TONは、単一のブロックチェーンではなく、複数のシャードと呼ばれる小さなブロックチェーンに分割されます。
各シャードは、ブロックチェーン全体のステートの一部を管理し、トランザクションを処理します。
シャードは、独立して動作するため、ブロックチェーン全体の処理能力が分散され、処理速度が向上します。
つまり、シャード化によって、TONは、従来のブロックチェーンが抱えていたスケーラビリティの限界を克服し、数百万TPSの処理能力を実現しています。
シャードの動作は、以下の特徴によって支えられています。
- 分散化された処理:
- 各シャードは、独立したノードによって管理されます。
これにより、処理能力が分散され、単一のノードへの負荷が軽減されます。 - 並行処理:
- 複数のシャードは、同時にトランザクションを処理できます。
これにより、処理速度が大幅に向上します。 - データの分割:
- 各シャードは、ブロックチェーン全体のステートの一部のみを管理します。
これにより、各シャードのデータ量が減少し、処理速度が向上します。
シャード化は、TONが数百万TPSの処理能力を実現する上で、非常に重要な役割を果たしています。
TONのスケーラビリティは、分散型インターネットの成長にとって不可欠であり、シャード化は、この目標を達成するための、重要な技術革新と言えます。
また、シャード化によって、TONは、従来のブロックチェーンの課題であった、スケーラビリティの限界を克服し、分散型アプリケーションの大規模な展開を可能にする、次世代のブロックチェーンプラットフォームとしての地位を確立しています。
1.1.2 マスターチェーン: マルチチェーンシステムの同期と整合性
マスターチェーンは、TONのマルチチェーンシステムにおける重要な役割を果たす、中心的なブロックチェーンです。
マスターチェーンは、すべてのシャードを同期させ、ブロックチェーン全体の整合性を維持する役割を担います。
この同期と整合性の確保は、分散型システムの健全な動作に不可欠です。
マスターチェーンは、以下のメカニズムによって、シャード間の同期と整合性を維持しています。
- ブロックハッシュの共有:
- マスターチェーンは、すべてのシャードの最新のブロックハッシュを記録します。
シャードは、マスターチェーンに最新のブロックハッシュを通知し、マスターチェーンは、すべてのシャードのブロックハッシュを共有します。 - コンセンサスアルゴリズム:
- マスターチェーンは、独自のコンセンサスアルゴリズムである”Catchain”を採用しています。
Catchainは、Byzantine Fault Tolerance (BFT)を実現するアルゴリズムで、マスターチェーン上のノードは、不正なノードが存在しても、合意形成を達成することができます。 - クロスチェーン通信:
- マスターチェーンは、シャード間の通信を仲介します。
シャード間でメッセージを送信する場合、メッセージは、まずマスターチェーンに送信され、マスターチェーンから目的のシャードに転送されます。
マスターチェーンは、TONのマルチチェーンシステムにおいて、中心的な役割を果たすことで、全体的な整合性とセキュリティを保証しています。
マスターチェーンは、シャード間の同期と通信を管理し、ブロックチェーン全体の信頼性を維持します。
これにより、TONは、複数のブロックチェーンが安全かつ効率的に連携する、分散型インターネットの基盤を確立しています。
1.1.3 ワークチェーン: 独自のルールで機能するブロックチェーン
ワークチェーンは、TONブロックチェーンにおける独自のルールで機能するブロックチェーンです。
各ワークチェーンは、マスターチェーンに接続され、独自のステート、コンセンサスアルゴリズム、スマートコントラクト言語を持つことができます。
ワークチェーンは、マスターチェーンのセキュリティとスケーラビリティを継承しながら、特定のユースケースに最適化された機能を提供します。
ワークチェーンは、以下のような利点を提供します。
- 柔軟性: ワークチェーンは、独自のルールで設計および構築できるため、特定のユースケースに最適化された機能を提供できます。
- カスタマイズ: ワークチェーンは、独自のコンセンサスアルゴリズムやスマートコントラクト言語を採用できます。
これにより、特定のユースケースに必要な機能やパフォーマンスを最適化できます。 - 独立性: ワークチェーンは、マスターチェーンとは独立したステートを管理します。
これにより、ワークチェーンは、マスターチェーンの影響を受けずに、独自のアプリケーションやサービスを展開できます。
ワークチェーンは、TONエコシステムにおける、多様性と柔軟性を高める、重要な要素です。
ワークチェーンは、分散型アプリケーションの開発と展開のための、新たな可能性を拓きます。
例えば、EVM互換のワークチェーンを構築することで、Solidityで開発されたスマートコントラクトをTON上で実行することが可能になります。
これにより、Ethereumの開発者コミュニティが、TONエコシステムに参加しやすくなり、TONの採用が促進されます。
ワークチェーンのユースケース
ワークチェーンは、以下のような様々なユースケースで活用できます。
- プライベートブロックチェーン: ワークチェーンは、企業や組織が、独自のプライベートブロックチェーンを構築するのに役立ちます。
- 特定のユースケース向けブロックチェーン: ワークチェーンは、サプライチェーン管理、金融サービス、ゲームなど、特定のユースケースに最適化されたブロックチェーンを構築できます。
- クロスチェーン相互運用性: ワークチェーンは、異なるブロックチェーン間で通信および相互運用性を可能にします。
これにより、分散型アプリケーションの機能と可能性が拡大します。
ワークチェーンは、TONエコシステムの拡張性と多様性を高め、分散型インターネットの進化に大きく貢献する要素です。
1.2 TONのスーパーサーバー: 分散型インターネットの基盤
画像引用元:Ton(オープンネットワーク)
TONは、単なるブロックチェーンではなく、分散型アプリケーションやサービスを大規模に実行するための、分散型スーパーサーバーとしての役割を担っています。
TONは、独自の技術であるセル、スマートコントラクト、TON仮想マシン(TVM)によって、分散型インターネットの基盤となる、高度な機能を提供しています。
これらの技術は、分散型アプリケーションの開発と展開を容易にし、安全で信頼性の高い分散型インターネットの実現に貢献します。
1.2.1 スマートコントラクト: 自律的なコードと分散型アプリケーション
スマートコントラクトは、TONにおける分散型アプリケーション開発の基盤となる、重要な技術です。
スマートコントラクトは、ブロックチェーン上で実行される自律的なコードであり、人間の介入なしに、事前に定義された条件に基づいて、自動的に契約を実行します。
スマートコントラクトは、従来の契約方式に比べて、透明性、セキュリティ、効率性を大幅に向上させ、分散型アプリケーションの開発と展開を可能にする、画期的な技術です。
スマートコントラクトは、以下の利点を提供します。
- 透明性:
- スマートコントラクトのコードは、公開されているため、誰でも確認できます。
これにより、契約の内容が透明化され、不正や改ざんのリスクが軽減されます。 - セキュリティ:
- スマートコントラクトは、ブロックチェーンのセキュリティによって保護されます。
これにより、コードの改ざんや不正な実行を防ぎ、契約の信頼性を高めます。 - 効率性:
- スマートコントラクトは、自動的に実行されるため、人間の介入が不要です。
これにより、契約の処理速度が向上し、コストが削減されます。
スマートコントラクトは、様々なユースケースで活用できます。
- 分散型金融(DeFi): スマートコントラクトは、分散型金融アプリケーションの構築に不可欠です。
DeFiアプリケーションは、スマートコントラクトによって、従来の金融システムの仲介者を排除し、ユーザーに直接金融サービスを提供します。 - サプライチェーン管理: スマートコントラクトは、サプライチェーンの追跡と管理を自動化できます。
これにより、商品の流通過程における透明性とセキュリティが向上します。 - デジタルアイデンティティ: スマートコントラクトは、デジタルアイデンティティの管理に役立ちます。
ユーザーは、スマートコントラクトによって、独自のデジタルアイデンティティを作成し、管理できます。
スマートコントラクトは、分散型インターネットの進化において、非常に重要な役割を担っています。
スマートコントラクトは、新たな分散型アプリケーションの開発と展開を促進し、分散型インターネットの未来を創造します。
1.2.2 TON仮想マシン(TVM): スマートコントラクトの実行エンジン
TON仮想マシン(TVM)は、TON上でスマートコントラクトを実行するための、仮想実行環境です。
TVMは、スマートコントラクトのコードを解釈し、実行する役割を担います。
TVMは、安全で効率的なスマートコントラクト実行のために、独自のアーキテクチャと命令セットを採用しています。
TVMは、以下の特徴を持っています。
- スタックベースのアーキテクチャ:
- TVMは、スタックベースのアーキテクチャを採用しています。
これは、データがスタックと呼ばれるメモリ領域に格納され、LIFO (Last In First Out)方式で処理されることを意味します。
スタックベースのアーキテクチャは、スマートコントラクトの実行を高速化し、メモリ使用量を削減します。 - 独自の命令セット:
- TVMは、独自の命令セットを持っています。
この命令セットは、スマートコントラクトの実行に必要な様々な操作を定義しています。 - セキュリティ機能:
- TVMは、様々なセキュリティ機能を備えています。
例えば、サンドボックス環境を提供することで、スマートコントラクトがシステム全体に影響を与えることを防ぎます。
また、ガスの概念を導入することで、スマートコントラクトの実行コストを制御し、DoS攻撃を防ぎます。
TVMは、スマートコントラクトの実行環境として、TONエコシステムのセキュリティと信頼性を確保する上で、非常に重要な役割を果たしています。
TVMは、スマートコントラクトのコードを安全かつ効率的に実行することで、分散型アプリケーションの開発と展開を促進し、分散型インターネットの未来を創造します。
1.2.3 セル: データの最小単位であり、あらゆる情報が格納される
セルは、TONブロックチェーンにおけるデータの最小単位であり、あらゆる情報が格納される基本的なデータ構造です。
セルは、最大1023ビットのデータと、最大4つの他のセルへの参照を含むことができます。
セルは、データの効率的な格納と管理のために、独自の設計を採用しています。
セルは、以下の特徴を持っています。
- コンパクトなデータ構造:
- セルは、データと参照をコンパクトに格納することで、ストレージ効率を高めます。
- データの重複排除:
- セルは、データの重複を排除することで、ストレージ容量を削減します。
同じデータが複数のセルに含まれる場合、そのデータは一度だけ格納されます。 - 階層的なデータ構造:
- セルは、他のセルへの参照を含むことができるため、階層的なデータ構造を作成できます。
これにより、複雑なデータを効率的に格納および管理できます。
セルのデータ構造は、TONの様々な機能を実現するために重要な役割を果たしています。
- スマートコントラクトのコードとデータの格納: スマートコントラクトのコードとデータは、セルとして格納されます。
- メッセージの格納: メッセージは、セルとして格納されます。
- ブロックチェーンのステートの管理: ブロックチェーンのステートは、セルによって管理されます。
セルは、TONのアーキテクチャにおいて、非常に重要な役割を果たしています。
セルは、データの格納、処理、管理のための、柔軟で効率的な手段を提供することで、分散型インターネットの進化に貢献しています。
1.3 TONの革新性: 従来のブロックチェーンを超える機能
画像引用元:Ton(オープンネットワーク)
TONは、シャード化アーキテクチャ、独自のコンセンサスアルゴリズム、柔軟なワークチェーンシステムなど、従来のブロックチェーンに比べて、より高度な機能を提供することで、分散型インターネットの未来を創造することを目指しています。
TONは、スケーラビリティ、セキュリティ、信頼性、柔軟性において、他のブロックチェーンと比べて、優れた性能を誇っています。
これらの特徴は、TONが分散型アプリケーションの開発と展開のための、より優れたプラットフォームとなることを示しています。
1.3.1 高度なスケーラビリティ: 数百万TPSを実現するシャード化アーキテクチャ
TONは、シャード化アーキテクチャを採用することで、従来のブロックチェーンに比べて、大幅にスケーラビリティを向上させています。
シャード化とは、ブロックチェーンを複数の小さなブロックチェーンに分割することで、処理能力を分散させる技術です。
TONでは、各シャードが独立して動作し、トランザクションを処理することで、ブロックチェーン全体の処理能力を向上させています。
シャード化によって、TONは、以下の利点を獲得しています。
- 処理速度の向上:
- シャードは、独立してトランザクションを処理するため、ブロックチェーン全体の処理速度が向上します。
TONは、数百万TPSの処理能力を実現しており、従来のブロックチェーンに比べて、大幅に処理速度が向上しています。 - スケーラビリティの向上:
- シャードは、独立して動作するため、ブロックチェーン全体の負荷が分散されます。
これにより、TONは、ユーザーやアプリケーションが増加しても、処理能力を維持することができます。 - 分散化の向上:
- シャードは、独立したノードによって管理されるため、ブロックチェーン全体の分散化が向上します。
これにより、単一のノードの故障が、ブロックチェーン全体の動作に影響を与えるリスクを軽減します。
シャード化は、TONが分散型インターネットの未来を創造するために不可欠な技術です。
TONのスケーラビリティは、大規模な分散型アプリケーションの展開を可能にし、分散型インターネットの成長を促進する上で、重要な役割を果たしています。
1.3.2 柔軟なワークチェーン: 様々なユースケースに対応する独自のブロックチェーン
TONは、ワークチェーンと呼ばれる独自の機能によって、様々なユースケースに対応可能な柔軟性を備えています。
ワークチェーンは、マスターチェーンに接続された、独立したブロックチェーンであり、独自のステート、コンセンサスアルゴリズム、スマートコントラクト言語を持つことができます。
ワークチェーンは、以下のような利点を提供することで、TONの柔軟性を高めています。
- 特定のユースケースへの最適化:
- ワークチェーンは、独自のルールで設計および構築できるため、特定のユースケースに最適化された機能を提供できます。
例えば、金融サービス向けのワークチェーンでは、高速なトランザクション処理とセキュリティを重視した設計を採用できます。
一方、ゲーム向けのワークチェーンでは、複雑なゲームロジックの実行と、ユーザーのインタラクションを重視した設計を採用できます。 - コンセンサスアルゴリズムのカスタマイズ:
- ワークチェーンは、独自のコンセンサスアルゴリズムを採用できます。
これにより、特定のユースケースに必要なセキュリティレベルやパフォーマンスを最適化できます。
例えば、高いセキュリティが求められる金融サービス向けのワークチェーンでは、より厳格なコンセンサスアルゴリズムを採用できます。 - スマートコントラクト言語の選択:
- ワークチェーンは、独自のスマートコントラクト言語を採用できます。
これにより、開発者は、特定のユースケースに最適な言語を選択できます。
例えば、EVM互換のワークチェーンでは、Solidityで開発されたスマートコントラクトを実行することができます。
ワークチェーンは、TONが様々なユースケースに対応可能な、柔軟なプラットフォームであることを示す、重要な機能です。
ワークチェーンは、分散型アプリケーションの開発と展開のための、新たな可能性を拓き、TONの採用を促進します。
1.3.3 安全性と信頼性: 独自のコンセンサスアルゴリズムと分散型アーキテクチャ
TONは、独自のコンセンサスアルゴリズムである”Catchain”と分散型アーキテクチャによって、高いセキュリティと信頼性を確保しています。
Catchainは、Byzantine Fault Tolerance (BFT)を実現するアルゴリズムであり、ネットワーク内のノードの一部が不正に動作しても、ブロックチェーン全体の整合性を維持することができます。
TONのセキュリティと信頼性は、以下の特徴によって支えられています。
- 分散型アーキテクチャ:
- TONは、分散型アーキテクチャを採用しています。
これは、ブロックチェーンのステートが、複数のノードによって管理され、単一のノードの故障が、ブロックチェーン全体の動作に影響を与えることを防ぎます。 - Catchainコンセンサスアルゴリズム:
- Catchainは、BFTを実現するアルゴリズムであり、不正なノードが存在しても、ブロックチェーン全体の整合性を維持することができます。
Catchainは、ネットワーク内のノード間の合意形成プロセスを、複雑な数学的アルゴリズムによって実現します。 - セキュリティ対策:
- TONは、様々なセキュリティ対策を導入しています。
例えば、スマートコントラクトのサンドボックス環境を提供することで、スマートコントラクトがシステム全体に影響を与えることを防ぎます。
また、ガスの概念を導入することで、スマートコントラクトの実行コストを制御し、DoS攻撃を防ぎます。
TONの高いセキュリティと信頼性は、分散型アプリケーションの開発と展開にとって不可欠です。
TONは、安全で信頼性の高い分散型インターネットの実現に貢献する、重要な技術基盤を提供しています。
TONの技術: 分散型インターネットのための高度なアーキテクチャ
画像引用元:Ton(オープンネットワーク)
TONは、分散型インターネットの未来を創造するために、高度な技術を駆使したアーキテクチャを採用しています。
その基盤となるのは、独自のネットワーク層、スマートコントラクトの実行環境であるTON仮想マシン(TVM)、そして、開発者向けのスマートコントラクト言語であるFunCです。
これらの技術は、互いに連携し、安全でスケーラブルな分散型プラットフォームを実現しています。
2.1 TONのネットワーク層: 分散型アプリケーションのための通信基盤
TONのネットワーク層は、分散型アプリケーションが安全かつ効率的に通信するための基盤を提供しています。
TONは、独自のピアツーピア通信プロトコルであるADNLと、信頼性の高いデータグラム通信を実現するRLDP、そして、ノードの検出と分散型データの管理を担うTON DHTサービスを組み合わせることで、分散型ネットワークを構築しています。
これらの技術は、TONエコシステム全体におけるデータのやり取りを円滑にし、分散型アプリケーションの性能と信頼性を高める上で重要な役割を果たしています。
2.1.1 ADNLプロトコル: ピアツーピア通信のためのオーバーレイネットワーク
ADNL (Abstract Datagram Network Layer) プロトコルは、TONのネットワーク層の基盤を担う、ピアツーピア通信のためのオーバーレイネットワークプロトコルです。
ADNLは、UDP (User Datagram Protocol) 上に構築され、ノード間の直接通信を可能にすることで、従来の集中型のネットワークに比べて、より高い柔軟性と信頼性を提供します。
ADNLは、以下の特徴を持っています。
- ピアツーピア通信:
- ADNLは、ノード間の直接通信を可能にするピアツーピア通信プロトコルです。
これにより、集中型のサーバーを経由する必要がなくなり、ネットワークの柔軟性と信頼性が向上します。 - オーバーレイネットワーク:
- ADNLは、既存のインターネット上に構築されたオーバーレイネットワークです。
これは、ADNLが、インターネットのインフラストラクチャを活用しながら、独自のネットワークを構築することを意味します。 - 暗号化と認証:
- ADNLは、暗号化と認証機能を備えています。
これにより、ノード間の通信のセキュリティが確保され、不正なアクセスやデータ改ざんを防ぎます。
ADNLは、TONエコシステムにおける様々なサービスの動作を支えています。
例えば、スマートコントラクト間のメッセージ送信、ノード間のステート同期、データの分散型ストレージなど、多くの機能がADNLによって実現されています。
ADNLは、TONの分散型ネットワークの基盤として、安全で信頼性の高い通信環境を提供することで、分散型インターネットの進化に貢献しています。
2.1.2 RLDPプロトコル: 信頼性の高いデータグラム通信
RLDP (Reliable Lightweight Datagram Protocol) プロトコルは、ADNLの上に構築された、信頼性の高いデータグラム通信プロトコルです。
RLDPは、ADNLの非信頼性の高いデータグラム通信機能を拡張し、データの損失や遅延が発生しても、確実にデータが配信されるように設計されています。
RLDPは、以下の特徴を持っています。
- 信頼性の高いデータ配信:
- RLDPは、データの損失や遅延を検出し、再送することで、確実にデータを配信します。
これにより、ADNLの非信頼性の高いデータグラム通信に比べて、より高い信頼性を確保できます。 - 軽量なプロトコル:
- RLDPは、軽量なプロトコルとして設計されており、オーバーヘッドを最小限に抑えています。
これにより、ADNLの高速な通信性能を維持しながら、信頼性の高いデータ配信を実現できます。 - 柔軟なデータサイズ:
- RLDPは、任意のサイズのデータを配信することができます。
これにより、様々な種類のデータを効率的に配信できます。
RLDPは、TONの様々なサービスにおいて、信頼性の高いデータ通信を実現するために活用されています。
例えば、スマートコントラクト間のメッセージ送信、ノード間のステート同期、データの分散型ストレージなど、多くの機能がRLDPによって支えられています。
RLDPは、TONのネットワーク層の重要な要素として、分散型アプリケーションの信頼性を向上させ、分散型インターネットの成長に貢献しています。
2.1.3 TON DHTサービス: ノードの検出と分散型データの管理
TON DHT (Distributed Hash Table) サービスは、TONネットワークにおけるノードの検出と分散型データの管理を担う重要なサービスです。
DHTは、キーと値のペアを分散して保存する技術であり、TONでは、ノードのアドレス情報や、分散型ストレージに関連するデータなどを保存するために使用されます。
TON DHTは、以下の特徴を持っています。
- 分散型データ管理:
- TON DHTは、データを複数のノードに分散して保存します。
これにより、単一のノードの故障が、データの損失につながるリスクを軽減します。 - 効率的なノード検索:
- TON DHTは、キーに基づいて、効率的にノードを検索することができます。
これにより、ネットワーク上のノードを迅速に発見し、通信を確立することができます。 - 信頼性の高いデータ配信:
- TON DHTは、データの冗長性を確保することで、信頼性の高いデータ配信を実現します。
データは、複数のノードに複製され、一部のノードが故障しても、データにアクセスすることができます。
TON DHTは、TONエコシステムの様々なサービスにおいて、重要な役割を果たしています。
例えば、ノード間の接続確立、データの分散型ストレージ、分散型アプリケーションの開発など、多くの機能がTON DHTによって支えられています。
TON DHTは、TONの分散型ネットワークの基盤として、ノードの検出と分散型データの管理を効率的に行うことで、分散型インターネットの成長を促進しています。
2.2 TON仮想マシン(TVM): スマートコントラクトの実行環境
画像引用元:Ton(オープンネットワーク)
TON仮想マシン (TVM) は、TONブロックチェーン上でスマートコントラクトを実行するための、仮想実行環境です。
TVMは、スマートコントラクトのコードを安全かつ効率的に実行することで、分散型アプリケーションの開発と展開を可能にします。
TVMは、独自のスタックベースのアーキテクチャと命令セット、そして、セキュリティ機能を備えています。
2.2.1 TVMのアーキテクチャ: スタックベースの実行環境
TON仮想マシン (TVM) は、スタックベースのアーキテクチャを採用しています。
これは、データがスタックと呼ばれるメモリ領域に格納され、LIFO (Last In First Out) 方式で処理されることを意味します。
スタックベースのアーキテクチャは、スマートコントラクトの実行を高速化し、メモリ使用量を削減する上で、非常に効果的です。
TVMのスタックは、以下の特徴を持っています。
- データの格納:
- TVMのスタックは、スマートコントラクトの実行に必要なデータを格納します。
データは、スタックにプッシュされ、処理が完了すると、スタックからポップされます。 - LIFO方式の処理:
- スタックは、LIFO方式で処理されます。
これは、最後にプッシュされたデータが最初にポップされることを意味します。 - 効率的な処理:
- スタックベースのアーキテクチャは、データのアクセス速度が速く、メモリ使用量も少ないため、スマートコントラクトの実行を高速化します。
TVMのスタックベースのアーキテクチャは、スマートコントラクトの実行を効率的に行うために、非常に重要な役割を果たしています。
スタックは、スマートコントラクトの実行に必要なデータを管理し、処理を高速化することで、分散型アプリケーションの性能向上に貢献しています。
2.2.2 TVMの命令セット: スマートコントラクトの動作を定義する
TVMの命令セットは、スマートコントラクトの動作を定義する、基本的な要素です。
命令セットは、TVMが実行可能な操作を定義した、一連の命令コードです。
スマートコントラクトのコードは、これらの命令コードによって記述され、TVMによって解釈され、実行されます。
TVMの命令セットは、以下のカテゴリーに分類されます。
- スタック操作命令: スタック上のデータの操作を行う命令です。
例えば、データのプッシュ、ポップ、複製、交換などの命令があります。 - 算術演算命令: データの加算、減算、乗算、除算などの算術演算を行う命令です。
- 論理演算命令: データの比較、論理積、論理和などの論理演算を行う命令です。
- セル操作命令: セル上のデータの操作を行う命令です。
例えば、セルの作成、参照、読み込み、書き込みなどの命令があります。 - 制御フロー命令: プログラムの実行順序を制御する命令です。
例えば、条件分岐、ループ、関数呼び出しなどの命令があります。 - 例外処理命令: 実行時に発生したエラーを処理する命令です。
- 暗号化命令: 暗号化や署名などのセキュリティ関連の処理を行う命令です。
TVMの命令セットは、スマートコントラクトの機能と動作を定義する、非常に重要な役割を果たしています。
これらの命令セットによって、スマートコントラクトは、複雑な計算、データ処理、セキュリティ対策などを実行することができます。
TVMの命令セットは、TONのセキュリティ、柔軟性、そして、スケーラビリティを支える、重要な要素です。
2.2.3 TVMの初期化と実行: トランザクションの処理と実行
TON仮想マシン (TVM) は、トランザクションが処理される際に初期化され、スマートコントラクトのコードを実行します。
TVMの初期化と実行は、以下の手順で行われます。
1. **初期化:** トランザクションが処理されると、TVMは、スマートコントラクトのコード、データ、そして、実行に必要な情報をロードします。
* スマートコントラクトのコードは、セルとして格納されており、TVMは、このセルからコードを読み込みます。
* スマートコントラクトのデータは、同じくセルとして格納されており、TVMは、このセルからデータをロードします。
* TVMは、初期化時に、スタック、制御レジスタ、そして、ガス制限などの設定を行います。
2. **実行:** TVMは、初期化が完了すると、スマートコントラクトのコードを実行します。
* TVMは、スマートコントラクトのコードを命令コードとして解釈し、順番に実行します。
* 各命令コードは、特定の操作を実行します。
* 例えば、スタック上のデータを操作したり、算術演算を実行したり、セルを操作したりします。
3. **終了:** スマートコントラクトのコードが正常に実行されると、TVMは、実行結果を返します。
* 実行結果には、新しいステート、送信されたメッセージ、そして、消費されたガスなどが含まれます。
* TVMは、実行結果に基づいて、スマートコントラクトのステートを更新したり、メッセージを送信したりします。
TVMの初期化と実行は、TONブロックチェーンにおけるスマートコントラクトの動作を制御する、非常に重要なプロセスです。
TVMは、スマートコントラクトのコードを安全かつ効率的に実行することで、分散型アプリケーションの機能と信頼性を確保しています。
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