【ソーシャルレンディングファンド検証】maneo(マネオ)「事業性資金支援ローンファンド922号」の場合

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを題材に、各社の特徴や、ファンドごとのリスク・リターンのバランス等を検証する本企画。
今回は、maneo(マネオ)が2018年4月に資金募集を行ったソーシャルレンディングファンド、「業性資金支援ローンファンド922号」を題材に、読み解きを進めて参りましょう。

まずは本ソーシャルレンディングファンドへの投資申込完了エビデンスから。

今回検証対象とするソーシャルレンディングファンドは、私が個人的に出資を行ったファンドとなります。

my mane(マネオのマイページ)からのエビデンススクリーンショットはこちら。

maneo(マネオ)ソーシャルレンディングファンド投資完了01

マネオから届いた確認メールも載せておきます。

maneo(マネオ)ソーシャルレンディングファンド投資完了02

上記エビデンスにもございます通り、
今回の投資申込額は、5万円とさせて頂きました。

本ソーシャルレンディングファンドの概要

同社のホームページから確認した、本ソーシャルレンディングファンドの概要としては、下記の通りです。
※なお、案件1及び案件2のうち、資金の大半を融資する「案件1」のほうに関してのみ、下記、検証をさせて頂きます。

本ソーシャルレンディングファンドの情報URL

こちらです。

https://www.maneo.jp/apl/fund/detail?fund_id=4781

本ソーシャルレンディングファンドのスキーム図

スキーム図は下記の通りです。

maneo(マネオ)投資完了03
引用元:https://www.maneo.jp/apl/fund/detail?fund_id=4781

  1. 本ファンドでmaneoから資金を借りるのは、maneoの関連会社である、事業者EPです。
  2. 担保・保証は設定されません(無担保・無保証での貸付です)。

ファンドからの資金の借り手

資金の借り手たる事業者EPは、上述もある通り、maneo(マネオ)の関連会社とのこと。
事業者EPの事業内容としては「不動産の売買、保有、賃貸、仲介及び管理等」と記述があります。

同社の正確な商号や委細情報が見られれば、もっと面白いのですが、
残念ながら、貸金業法の規制の関係で、我々個人投資家に対しては開示されません。

maneo(マネオ)の場合、「案件担当者からのコメント」のスペースに、ちょっとした追加情報が寄せられているケースが多いのですが、
今回のファンドについては、特段、目を引くような追加情報も見受けられませんでした。

貸付資金の総額

maneo(マネオ)から事業者EPに対する融資(及びそのためのファンド組成)は、合計28回のラウンドに分割され、
総額では7億円の貸し付けとなる、とのこと(うち、今回のファンドについては、25,000,000円の融資)。

借り手の資金使途

事業者EPは、借り入れた資金を、事業資金(運転資金等)として活用する、との記載があります。

本ソーシャルレンディングファンドの貸付・運用期間

本ファンドについては、

  • 貸付実行日:2018年04月18日
  • 返済完了日:2018年11月28日

とのこと。
7カ月ほどで償還ですから、元来、比較的短期運用のファンドとなります。
またその後、2018年7月末には、繰り上げ返済によって、早期償還となりました。
実質、3カ月強の貸付・運用で終了した、ということとなります。

設定担保

本ファンドにおいては、担保・保証などの設定は為されていません。

返済原資

事業者EPとしては、基本的に、事業者EPが所有している収益不動産を、8か月以内に、売却することによって、現金を手にし、
この現金で、maneo(マネオ)に対する返済を行う予定である、との趣意が、ファンド概要には記載されています。
※場合によっては借り換えによって返済を行う可能性がある旨、記載がありました。

実際には、繰り上げ返済・早期償還となったわけですから、
上記のエグジットが、予定よりも早く完了した、ということなのでしょう。

本収益不動産については、

  • 所在:北海道札幌市内
  • 土地面積:2,580平方メートル
  • 延床面積:6,450平方メートル

との情報が記載されています。
また、「案件担当者からのコメント」の欄に、こんな記載もあります。

本収益不動産は、グループ連結売上高数十億円の運営事業者が
長期契約のもと、一棟借り上げしており、8ヵ月以内に売却、
その売却代金を原資に返済する予定です。

引用元:https://www.maneo.jp/apl/fund/detail?fund_id=4781

これらの情報から類推すると、この”収益不動産”は、

  • サブリース契約によって長期賃料保証を受けている、比較的大型の賃貸マンション、あるいは、
  • 介護事業者が長期の定期借家契約で賃借している、大型有料老人ホーム物件、
  • 人気ホテルチェーンが借り上げている、ビジネスホテル物件

などといったところだったのではないか、と、個人的には推察しています。

わたしたち個人投資家の期待利回り

7%とのこと。
無担保・無保証ファンドとしては、もう一声、欲しいところでしょうか。

本ソーシャルレンディングファンドの資金募集達成度は

満額の資金募集を達成したファンドです。

運用・返済状況は

上記致しました通り、2018年7月末に、繰り上げ返済に伴う早期償還、となりました。
私自身、本記事執筆本日現在、全額の分配を既に受け取っています。

本ソーシャルレンディングファンドのポイント

私が考える、本ソーシャルレンディングファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、あくまでも、私の個人的な見解です。

無担保・無保証、というのは、当然、気にかかるが…

わたしの場合、ソーシャルレンディング事業者を問わず、無担保・無保証系のファンドには、原則、あまり出資をしておりません。
今回のファンドの場合、資金の借り手は”maneo(マネオ)の関連会社”である旨の明記があり、maneoとしても、当該借り手企業の財務状況等について熟知していることでしょうから、その点は、ポジティブに勘案しても、良いのでしょうが、
いずれにせよ、これまで基本的に、有担保(もしくは、有保証)のファンドへと出資をするケースが多かった私にとっては、
少々、思い切った投資となりました。

事業者EPが所有している収益物件については、ある程度の価値余力が認められる。

所詮、担保設定が為されているわけではないのですから、
不動産価値についてあまり神経質に考えても、仕方がないわけではあるのですが、
まず、札幌市、といえば、道内では屈指の好立地です。
そこに対して2,500平方メートル以上の土地面積ですから、かなりの規模感の不動産であることが分かります。

maneo(マネオ)投資完了04
引用元:https://tochidai.info/hokkaido/sapporo/

上述のように、札幌市の地価平均が、1平方メートルあたり11万円強、というデータもあることを考えると、
土地部分の評価は11万円×2,580平方メートル=2億8千万円強。
この土地の上部に、延床面積6,450平方メートルの建物が乗って、
長期一棟借り上げ契約による賃料収益を鑑み、
外部専門家による評価額が、22億円強。

土地の評価額に対してかなりの上積みが為されていますから、(※もちろん、本件不動産が、札幌市【中央区】のような、超一等地に所在している場合、話は変わってきますが…)
よほどしっかりとした賃貸借契約で、かつ、かなりの高値で、優良な賃借人との間で、一棟借り上げ契約が為されているのであろう、と判断しました。

果たして、事業者EPの目論見として、この不動産を、いくらで売り抜けようとしているのか、については、特段の記載が無い以上、未知数ですが、
マネタイズのしっかりした、収益面で実績のある不動産であれば、ある程度の流動性は期待できるのであろう、と勘案致しました。

利回りは比較的高く、運用期間は短め。

もしもこの条件で、運用期間が24か月、などという条件であれば、
投資は見送らせていただいたかもしれません。
しかし、本ファンドについては、運用期間はわずか7カ月。
「案件担当者からのコメント」にある通り、8か月以内の売却・現金化を計算に入れたうえでの、短期運用となっていました。

これらの事情を総合勘案し、
少々、気にかかる部分はあれども、
わたし自身が現在、ソーシャルレンディングポートフォリオの多角化を進めたい、と考えていたこともあり、
投資実行を決断させていただいたような次第です。

結果的には、遅延等なく、むしろ早期償還によって無事に全額分配、となりましたので、
結果オーライ、といえるファンドでした。

本ソーシャルレンディングファンド検証のまとめ

ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを検証し、各社の特徴や、ソーシャルレンディングファンドごとの特色、そして、ファンド概要の読み解きのヒントを探る本シリーズ。
今回は、私自身も出資を行った、maneo(マネオ)のソーシャルレンディングファンド「事業性資金支援ローンファンド922号」を題材に、検証をさせて頂きました。

しつこいようで申し訳ありませんが、
本記事文中の表現は、いずれも、私のごく個人的な意見に過ぎません。
その点は、くれぐれも、ご承知おきください。

しかし、あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、
ファンド概要の読み込みの具体例として、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。

大手ソーシャルレンディング事業者各社を、複数視座からのランキング形式で検証した、こちらの過去記事も、おすすめです。是非、ご覧下さい。

ソーシャルレンディング会社ランキングの決定版。複数の視座から、国内人気ソーシャルレンディング事業者を、徹底ランキング致しました。

それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。


本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

Author Info

fill.media
fill.mediaの公式サイト。ソーシャルレンディング業界ニュースや、国内の各ソーシャルレンディング事業者に関する最新情報等、様々な投資関連情報を提供している。
公開済記事コンテンツは1,200件超、登録読者に向け無料にて発信しているニュース・メールの累計配信数は、8,000通を突破している。

メディア掲載歴(一部・順不同)
・朝日新聞デジタル&m
・財経新聞
・SankeiBiz
・RBBTODAY
・楽天Infoseekニュース
・excite.ニュース
・BIGLOBEニュース
・@nifty ビジネス
・Mapionニュース
・NewsPicks
・ビズハック
・MONEY ZONE
・Resemom
・SANSPO.COM
・Trend Times
・zakzak
・とれまがニュース
・徳島新聞