目次
ソーシャルレンディングの基本的な仕組みとは
ソーシャルレンディングとは、端的に言えば、
- ”お金を借り、事業に活用したい”と考えている、事業者(企業)と、
- ”お金を投資し、利益を得たい”と考えている、投資家(主に個人投資家)とを、
インターネットを介して、結びつけるサービスです。
資金の借り手となる企業と、資金の出し手となる投資家との間には、ソーシャルレンディング事業者が、プラットフォームビジネスを展開しています。
現在、日本国内では、20社以上のソーシャルレンディング事業者が、事業を営んでいます。
ソーシャルレンディング投資の基本的な流れをフローで表すと、下記のようになります。
- 「お金を借りたい」と考えている企業等(主に法人。個人事業主の場合もある)が、ソーシャルレンディング事業者と協議(借り入れの相談等)を行う。
- ソーシャルレンディング事業者が、「ファンド」(匿名組合)を組成し、自らのホームページ上で、投資家向けの募集・勧誘を行う。
※上記の勧誘業務を行う関係で、ソーシャルレンディング事業者は、第一種、ないしは、第二種金融商品取引業の登録事業者である必要があります。 - 投資家が、ソーシャルレンディング事業者のホームページを通して、特定のファンドに、出資申込を行う。
※出資が成立すれば、投資家と、ソーシャルレンディング事業者との間で、「匿名組合契約」が締結されることとなります。 - ソーシャルレンディング事業者が、借り手企業に対し、資金を融資する。
※ソーシャルレンディング事業者と借り手企業との間では、「金銭消費貸借契約」が締結されます。 - 借り手企業が、ソーシャルレンディング事業者に対し、元利金の返済を行う。
- 借り手企業から受け取った返済元利金を原資にして、ソーシャルレンディング事業者が、投資家に対し、分配・償還を行う。
ソーシャルレンディングのメリットとは
ソーシャルレンディングには、投資家、及び、借り手企業、それぞれにとって、複数のメリットが期待されています。
投資家にとっての、ソーシャルレンディングのメリット
- 提示されている期待利回りが高い:
国内ソーシャルレンディング事業者が組成・公開しているファンドの場合、低い場合で年率1~3パーセント前後、高い場合では年率10パーセント前後の期待利回りが提示されています。 - 少額から投資をスタートできる:
ほとんどのソーシャルレンディング事業者は、1万円程度の少額からの投資申込を受け付けています。
なかには、1円から出資できる、とするソーシャルレンディング事業者も存在します。 - 投資手続きが簡単:
ソーシャルレンディング事業者への投資家登録や、ファンドへの出資申込等、投資にまつわる諸手続きのほぼ全てが、インターネットを介すことによって完結します。 - 投資状況の一元管理が可能:
国内ソーシャルレンディング事業者の多くが、マネーフォワード(https://moneyforward.com/)の自動連携に対応しています。こうした個人資産管理アプリ(家計簿アプリ)を使用すれば、比較的容易に、投資状況の一元管理を行うことが出来ます。 - 社会的インパクト投資が可能:
国内のソーシャルレンディング事業者の中には、マイクロファイナンス機関向けの融資案件など、社会的インパクトに注視したファンドを組成しているケースがあります。こうしたファンドに出資する場合、経済的リターン(分配金収入)と併せて、公益性の高い投資案件へと投資することが可能となります。 - 上場企業関連会社が運営しているサービスもある:
ソーシャルレンディング・サービスの中には、上場企業や、その子会社が運営しているサービスも複数あります。 - 不動産等の担保が設定されているファンドが多数ある:
国内で募集されているファンドの中には、不動産(物的担保)や、保証(人的担保)等の担保が設定されている物が多数あります。 - ほったらかし投資が可能:
ソーシャルレンディング投資の場合、一旦、ファンドへの出資手続きが完了すれば、その後、ファンドの実際の運営は、ソーシャルレンディング事業者が行います。このため、投資家としては、ファンドの運用期間中、ファンド運用の実務作業に関与する必要がありません。 - 運用期間の長短が選べる:
ソーシャルレンディング事業者が募集しているファンドの場合、各ファンドの運用期間は、ファンドによって千差万別です。短い物であれば数ヶ月間、長い物で1年~複数年の運用期間が設定されており、バラエティに富んでいますので、各投資家の資金ニーズに応じて、運用期間の長短を検討することが可能です。
借り手企業にとってのメリット
- 銀行等一般的金融機関と比較し、スピーディーな融資審査:
日本の銀行等金融機関の場合、融資審査には、短くても数週間、長ければ1カ月以上の時間がかかることも、決して珍しくはありません。
それに対し、ソーシャルレンディング事業者の場合、銀行等と比し、スピーディーな貸出し審査が為されるものと期待されています。 - 借入元本の満期一括返済が可能:
銀行からの資金調達の場合、融資実行日から、ある程度、期間が経過すると、借入元本の分割返済がスタートすることが一般的です。
しかしながら、ソーシャルレンディング事業者から資金融資を受ける場合、借入元本部分については、金銭消費貸借契約満期の一括返済が許容される場合があります。 - 担保掛け目が大きい:
銀行等金融機関の場合、担保掛け目(担保物の評価額に対する、貸出金額の割合)は、7割程度が相場、と言われています。
これに対し、ソーシャルレンディングの場合、担保評価額の8割(※場合によっては9割程度)の貸付を行う場合があります。 - 早期繰り上げ返済が許容されるケースがある:
ソーシャルレンディング事業者の場合、貸付条件において、早期の繰り上げ返済を「可」としているケースがあるため、借り手企業としては、自身の手元キャッシュフローの多寡や、事業の進捗状況に応じて、返済期間の短縮を検討することが可能です。
ソーシャルレンディングのリスクとは
上掲致しましたように、メリットも少なくない、ソーシャルレンディングではありますが、反面、複数のリスク・デメリットも存在します。
投資家にとってのリスク
- 元本割れのリスク:
ソーシャルレンディング事業者と投資家との間で締結される「匿名組合契約」において、ソーシャルレンディング事業者は、投資家に対し、投資家の出資する投資元本について、その保証を行いません。
このため、ソーシャルレンディング投資において、投資家は、元本割れのリスクを許容する必要があります。 - 延滞リスク:
ソーシャルレンディング事業者が投資家に対して行う分配・償還の原資は、あくまでも、借り手企業がソーシャルレンディング事業者に対して支払った、返済元利金です。
このため、万が一、借り手企業からソーシャルレンディング事業者に対する元利金返済が遅延した場合、ソーシャルレンディング事業者から投資家への分配・償還にも、遅延が生じることとなります。 - デフォルト(貸し倒れ)リスク:
借り手企業が経営破綻等した場合、ソーシャルレンディング事業者が行った融資についても、返済不能(デフォルト)となる恐れがあります。その場合、投資家が出資した資金についても、大きく毀損してしまうこととなります。 - 事業者リスク:
匿名組合契約の特性上、投資家が出資した資金は、匿名組合の営業者(=ソーシャルレンディング事業者)の財産として取り扱われることとなります(※正確には、ソーシャルレンディング事業者の貸借対照表上の、預り金負債項目勘定となります)。
このため、万が一、ソーシャルレンディング事業者が経営破綻し、破産手続きへと移行した場合、投資家が出資している資金についても、棄損してしまう恐れがあります。
借り手にとってのデメリット
借り手企業にとって、ソーシャルレンディング事業者からの資金調達金利は、銀行等金融機関からの調達金利と比較し、高利となっています。
借り手企業は、ソーシャルレンディング事業者に対し、
- ソーシャルレンディング事業者が投資家に対し提示する「期待利回り」に、
- ソーシャルレンディング事業者自身の報酬(=営業者報酬)料率を加算した、
借入利息を支払う必要があるため、です。
借り手企業が支払う借入利息は、低い場合でも5パーセント前後、高い場合では10パーセント以上(※いずれも、年率)となり、こうした高い資金調達金利は、借り手企業の経営・損益を、圧迫する恐れがあります。
ソーシャルレンディングの課題・問題点
上掲した以外にも、国内ソーシャルレンディング業界においては、いくつかの課題・問題点があります。
- 投資の集中:
人気のソーシャルレンディング事業者が、新ファンドを組成・公開するタイミングにおいては、当該ソーシャルレンディング事業者のホームページにおいて、投資家からのアクセス・出資申込が殺到する事があります。
この場合、出資競争(クリック競争)に敗れた投資家において、「投資したかったのに、投資が出来なかった」というケースが発生します。 - 借り手に関する情報が匿名化されている場合がある:
国内ソーシャルレンディング業界においては、長きにわたり、貸金業法の規制の関係で、借り手企業を特定し得るような情報が、投資家に対し、非開示(=匿名化)とされてきました。
2019年に入り、金融庁から、「ソーシャルレンディング投資家は、貸金業者にあたらない」との公式見解が発表されたことにより、この「匿名化」については、少しずつ、各ソーシャルレンディン事業者において、緩和されてきていますが、依然として、複数のソーシャルレンディング事業者において、借り手企業に関する具体的情報が、引き続き、匿名化されているケースがあります。 - 税制上の優遇措置がない:
日本国内において、ソーシャルレンディング投資は、比較的歴史の浅い、新種の投資手法となります。このため、長い歴史のある不動産投資や、上場株式投資等と比較し、税制上の優遇措置が講じられていません(例:投資で損失が生じても、他分野の所得との間での損益通算が出来ない。申告分離課税が選択できず、総合課税のみの適用とされている、等)。
ソーシャルレンディングの始め方&FAQは
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